第1話 イマジネーション(前編)

 

                                                      present by ちひろ


 

「ただいまぁ〜・・・・・・っても誰も居ないか。」

そういって、ボクは薄暗い部屋の中から、自分の寝床を確認すると、そこへ着替えも済ませないままダイブした。

今はだた、泥のように眠りたかった。

 港区にある、海沿いの、今は使われてない倉庫の一角が、ボクの寝床だ。

倉庫内入ってすぐのらせん階段を登リつめたところにある管理人室を、倉庫主から借りて、多少の改装を施した、ただ寝るだけのそっけない部屋だ。

海がみえるから・・・借りた理由はただそれだけだったように思う。

そんなの他にもあるだろうと言われれば、そうとしか頷けない。

なんとも、主体性のないそっけない答えだが、それが今の自分なのだ。

ひょっとして、ボクは、終わりのない現実と、都会のざわめきを少しでも忘れさせてくれる場所を求めていたのかもしれない。

こうでも、答えとけばいいだろうか。

もっともらしい答えだ。

一応、格好がつく。

でも、これが正解ではないことは確かだ。

なぜなら、それは、自分の言葉ではないからだ。

なにかの推理小説かなんかで、自殺志願の主人公が死ぬ間際に残した最後の言葉を引用したまでだ。

縁起でもない、ボクはそういうところに希望はみいださない。

ところで、その小説の題名は・・・・・・なんだっただろうか、思い出せない。

でも、今はそんな事、どうでもいい。

とりあえず、今日はこの辺で思考を停止させてもらう。

こちらにも事情というものがあって、勘弁してもらいたい。

自己紹介は終わりだ。

それではみなさん。

「おやす・・・・・・・・・」

 

つづく

 


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