最終話 RECOLLECT MY BOY−HOOD DAYS(後編)

 

                                                            present by まさき


 

次の日に彼女は帰ってきた。

優しく偉大な父は無言でそれを迎え、優しく強い母は抱きしめながら泣いていた。

ボクがその眼に見つめられることは二度となかった。

 

 

「なあ、こいつどうするよ」

「砂に埋めちゃおうよ」

「それおもしろそう」

いま、ボクは彼女の目の前にいる。

彼女が目の前にいる。

 

 

体から少年時代のボクが抜け出ていく。

小さな背中がボクの後ろに続く一本の道を駆けていく。

前には真っ白な砂浜が広がっている。

ここにはボクが忘れたかった、そして戻りたかった家族がいる。

 

 

あの時の後悔がその後のボクの意識を複雑化し、過去と記憶の細分化により自分さえも見失っていったんだ。

以来、その時々にボクは周囲にとっても自分にとっても都合のいい自身を造りだすことによって、あたりさわりのない生活をするようになった。

少しでも振り返る勇気さえあれば、後ろに枝分かれする道はなかったのに。

 

 

しかし、いま、ボクは記憶の先端にいる。

いくつもの自分を拾い集めながらここに辿り着いた。

遠かった故郷に帰ってきたんだ、やっと。

 

 

砂浜にボクの足が降りる。

そして歩き始める。

真っ白な砂浜にしっかりとした足跡が残る。

ボクはボクの思い出に近づいていく。

 


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