これは荒井由実として、最後のアルバム。
スチールドラムを細野晴臣、バックコーラスを山下達郎、吉田美奈子、
大貫妙子、尾崎亜美が担当するという豪華さ。
《さざ波》
《14番目の月》
《さみしさのゆくえ》
《朝陽の中で微笑んで》
《中央フリーウェイ》
《何もなかったように》
《天気雨》
《避暑地の出来事》
《Good luck and Good bye》
《晩夏(ひとりの季節)》
秋の光にきらめきながら 指のすきまを逃げてくさざ波
二人で行った演奏会が始まる前の弦の響きのよう
湖にボートを浮かべ漂っている。さざ波の波紋ってすうっと広がっていく。
オーケストラの音合わせに似てるね。
これから始まる事への期待感もあって、ちょっとどきどき。
愛が終わるのをたしかめずに
ひとりここへ来てよかったの
ちょっとおとなだよね。愛が終わろうとしてるのに、心穏やか。
それとも放心状態で漂ってるの?
秋が深まりゆく中、愛をなくした彼女はじたばたせずに、
それを正面から受けとめようとしてるんだ。耐えるって事は人間を強くするからね。
あなたの気持ちが読みきれないもどかしさ だからときめくの
愛の告白をしたら最後 そのとたん 終わりが 見える
タイトル曲。ユーミン自身が結婚をひかえ、ちょっぴり感傷的になってるのかな。
でも、この詩はほんとにそう。恋は追いかけられるより追いかけるほうが楽しい。
私にほほえんでくれた、とかっていうちっぽけなことに一喜一憂してるときが幸せ。
告白されたら、もうそのドキドキ感はなくなっちゃうもんね。
つぎの夜から 欠ける満月より
14番目の月が いちばん好き。
かたちあるものには、終わりがくる。満月になっちゃったら、後は欠けていくだけ。
だったら、14番めの月で止まっていてほしい。この気持ちもよくわかる。
でも、そーんなに不安になるくらい今が幸せってことでもあるのかな。
ユーミンと松任谷さんの関係っていいなあ。お互いを尊重しあっていて、自由な関係。
でも、信頼関係があるからこそ、ずっと一緒に仕事やっていられるんだよね。
こんなわたしでもいいと 言ってくれたひとことを
今も大切にしてる私を笑わないで
曲名から受ける印象とは違ってのりのいい曲。
遠くで暮らしている人が、昔言ってくれた言葉をずっと忘れられずにいる。
きっと向こうはもう忘れちゃってるんだろうけど。
悪ぶるわたししか知らず あなたはまたすぐ行くけど
他人の淋しさなんて救えない 夕日に翼見送る
あの人がいない間に私は変わったのに、それに気づかずまた旅立って行った。
わたしはいつも見送るばかり。
でも、これで私のなかでなにかが終わった。
朝陽の中で微笑んで 金のヴェールのむこうから
夜明けの霧が溶けはじめ ざわめく街が 夢をさます
プロモーシヨンビデオをみるような、そんな情景が目にうかんでくる。
夜明けの霧が溶けはじめ・・・とか、ざわめく街が夢をさます・・・ってとこが
いかにもユーミンらしい表現だね。
カード一枚 ひくように
決まるさだめが とてもこわい
運命なんてほんと、一瞬の決断で決まってしまうこともある。
そう思ったらなんだか、ためらってしまうよね。
でも、こんな宇宙の片隅であなたとめぐり逢えたことを大切にしようよ。
中央フリーウェイ 右に見える競馬場 左はビール工場
この道は まるで滑走路 夜空に続く
ユーミンの代表作といえる曲。私はどうしてもこの景色が見てみたくてBFに頼んで
連れていってもらいました。中央自動車道もこの辺はそんなに渋滞してないから
すいーっと、走れたよ。加山雄三はこの歌を聞いたとき、あれは高速道路であって
フリーウェイじゃないと文句いったらしいけど、♪中央高速〜じゃちょっとねぇ。
ちなみに当時ビール工場(サントリー)の看板は加山雄三だった。(若さだよ、やまちゃん)
町の灯が やがてまたたきだす
二人して 流星になったみたい
黄昏どきのドライブっていいよね。刻一刻と景色が変化していくんだ。
そして町の灯がまたたきだすころには、目の前にまっすぐな道がふうっと浮かびあがってきて
ほんとに空まで飛んでいけそうな気がする。
ユーミンの実家はこの府中競馬場のもう少しさき、八王子の呉服屋さん。
私はここも行ってみました。(ユーミンフリークでしょ)
ゆうべの吹雪は 踊りつかれ 庭をうずめて 静かに光る
年老いたシェパードが 遠くへ行く日 ほそいむくろを 風がふるわす
夜はあんなに激しく吹雪いていたのに、朝になれば嘘のようにおだやかになる。
老犬はひっそりと息をひきとったんだね。
人はなくしたものを 胸に美しく刻めるから
いつも いつも 何もなかったように 明日をむかえる
失ったものは大きいけど、それを美しい思い出にかえれば、なんとかたえられる。
そして、何もなかったように次の日をむかえることができる。
そうやって強くなっていくんだよね。
波打ち際をうまく 濡れぬように歩くあなた
まるでわたしの恋を 注意深くかわすように
波打ち際を歩くのって楽しいよね。突然大きな波がきたら足までぬれちゃう。
波をうまくすりぬけれる彼は恋に対しても器用なんだね。
白いハウスをながめ 相模線にゆられて来た
茅ヶ崎までのあいだ あなただけを想っていた
やさしくなくていいよ クールなまま近くにいて
ユーミンの実家の八王子から湘南へ行くには、この相模線を利用するんだ。
私も乗ってみた。すごいローカル線でたしか2両編成くらいだった。
ひとつひとつ止まっていくから、茅ヶ崎まで遠かったよ。その間ずっと彼のことを
想ってるなんてね。しかもクールな彼でも満足しちゃうのは、天気雨みたいに不安定な恋を
楽しんでるのかも。
避暑地の出来事を ひそかに待つの 南のベランダは ペンキのにおい
うたたねしてるまに どこかへ行くのね 陽が傾くまでに 帰ってきてね
曲名はなんだか妖しいムードだけど、地中海の香りのする軽快なメロディ。
まだ、恋は始まったばかりで、彼をつなぎとめておけないもどかしさ
私のハートを ひとりじめして あなたは遠くで微笑んでるだけ
ほかのひととは ちがうまぶしさ そうよきっと そうよきっと
You are my Sunshine
私はもうあなたに夢中になってしまった。
真夏の日差しのようにまぶしいあなた。
もう、わたしの気持ちはとめられない。
なつかしいあのひとに 人ごみの中で会った 微笑む顔が少しはにかむの 昔のままだわ
傷ついた恋なのに もう跡形もないのよ 偶然会えたら 泣き出しちゃうと 思っていたのに
この歌はアン・ルイスや岡崎友紀(かわいかったよね)も歌っていた。
アンの舌っ足らずな歌い方もいいけど、ユーミンの無機質な音色が
なつかしさをあおるんだよね。
今はもう 別々の恋人が待つ場所へと 降り出した雨に追い立てられて
急いでゆくのよ
つらい恋だったのに、全然平気でいられる自分にちょっとびっくり。
それは、新しい恋に夢中だからかな。
ほんとは、ちょっぴりせつない。でも、明るくGood luckと言えるようになったのは
つらい別れにたえたからこそ。
ゆく夏に 名残る暑さは 夕焼けを吸って燃え立つ葉鶏頭
秋風の心細さは コスモス
最後を飾るにふさわしい静かな曲。
夏の終わりは暑さを名残惜しく思う一方、秋風をここちよく感じるよね。
藍色は群青に 薄暮は紫に
ふるさとは深いしじまに輝き出す
夕暮れ時の美しさはひとりでこそ感じる事ができるかも。
ゆっくりと時が流れていくなかで私もひとりがんばっている。