『プロローグ』





その日、運命の日に彼はみた。
愛しい人の最期を・・・
何百年経とうとも、絶対に忘れぬと。
目の前の少女は微笑んだ。
死を目の前にしても尚、いつもと変わらない優しい表情。
少しでも長くみていたいのに、視界を何かが邪魔する。
どうして泣いているの?私はいつだってあなたの傍にいるのに。
小さく笑って少女が彼の頬に手を伸ばす。
その口ぶりは、まるで「明日も会えるでしょう?」と言う風だ。
ああ、そうだね・・・また会える。
笑顔で満足そうに頷いた少女の目にもまた涙が浮かぶ。
生まれ変わっても、私は迷わずあなたの元へ・・・
少女は静かに目を閉じていく。
安らかに眠るような姿を瞳に映し、彼はもう声はかけなかった。
最期まで紡がれなかった言葉。
また会った時に聞けばいい・・・どれだけ時間を経ても見つけだせるのだから。