『ダドリー・ダーズリーとたまごっち』
ある火曜日の朝のことだ。
「おはよう」
ハリーが居間に入るなり、太くて低い、ブタの鳴くような声で食卓テーブルに座っているダドリーがうめいた。
ハリーはもしかして自分に対して言っているのかと、嬉しいんだか鬱陶しいんだかわからない気分になったがそれも一瞬のことだった。ダドリーの右手に収まっているものに気が付いたからだ。
「おはよう」
またダドリーがうめいた。右の手のひらの上にはなにやら卵形の機械がある。大きさは彼の親指くらい、というと細長いものを想像するかもしれないが、ダドリーの指といったらまるで足の指が間違って付いているんじゃないかというくらいずんぐりと太く、短いのだ。特に親指はハチに三回ほど指されたかのようにぷっくり膨らんでいて、まさに卵の形そのものだった。
そんなダドリーの手の中の機械は、白色をしていて小さな画面とボタンが付いていた。マグルのあいだで昔よく使われていたというポケベルに似ているなとハリーは思った。
画面の中には猫と思わしきものが映し出されている。「zzz」マークも出てたから寝ているということなのだろう。
「おはよう、たまごっち」
どうやらこの機械はたまごっちというらしい。
そしてハリーは気付いた。
サルではなくブタから進化したに違いない、自分の従兄弟にあたるこの男は、たまごっちとかいうやつにむかって話しかけているのだ。こいつとうとう気が狂ったんじゃないかとハリーはいぶかしんだ。
「こいつ、起きろよ」
ダドリーは足をじたばたさせながらたまごっちをテーブルに二度三度たたきつけた。そしてもう一度画面を見る。しかし、猫らしきものから出ている「zzz」マークは消えなかった。
「なんで起きないんだ、こいつめ」
ダドリーはイスから立ち上がってたまごっちを床にたたきつけると、鼻息も荒く右足で何度もそれを踏みつけた。
たまごっちはぐっしゃんぐっしゃんになって、こわれた。
Fin