『気持ちなんて。』


 誕生日が同じだというだけの理由で、小学校の時のあだ名は「天皇」だった。
「ぼんやりとした性格とのギャップがたまらないのよね。最高のネーミングセンスだわ」
 どこが!
 冗談じゃないよっ。どうせつけるならもっと可愛い名前にしてよ。ぷんぷん。
 そしてわたしの誕生日の悲劇はこれだけに留まらない。
 それはもうそれはもう、お約束のように、誕生日とクリスマスのプレゼントが一緒なのだ。
 サンタが一日早く来るのだ。
「ねぇおかあさん、なんでわたしのところにだけサンタさんがはやくくるの?」
「それはね名雪、サンタさんもきっと不景気で大変なのよ」
 どこが!
 冗談じゃないよっ。そもそも今から10年前ってバブルの真っ直中でしょっ。確かにお母さんは一人でわたしを育てて大変だっただろうけど、この言葉は嘘だよ。詐欺広告だよっ。ジャロに訴えてやるっ。
 ていうかそもそもこれ解答になってないし! なんでこれで納得したの当時のわたしっ。

 でも。でもでもでもっ。

 今年のイブはひと味違うよ。
 なんてったって彼氏がいるもの。
 その名も。
 愛しの。愛しの愛しの。
 わたしのイトコで同居人の、相沢祐一その人だよっ!

 23日つまりわたしの誕生日にお母さんと祐一と3人でおうちでパーティーそして次の日のクリスマスイブには祐一とふたりきりでオオオオオールナイトでデートしちゃうんだよっ。ていうかしたよっ。今もうすっごい駅前ですっごいベンチに座っててイルミネーションがすっごいきれいで、祐一にプレゼントを今にも貰わんとしてる最中なの。
「名雪、目閉じてくれないか」
 わ、わーっ。なんだろなんだろ。
 閉じたよっ。

 ちう。

 え?
 キス?
「これが俺のクリスマスプレゼントだ」
 って。

「物では昨日にやったしな。ん? どうした名雪」
「この……」


「この甲斐性なしーーーーっ!!」






 2004.1.13 第九回SS試験 会場『くじういんぐ・ドットコム
 お題「名雪 DE クリスマス・イヴ」より

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