リッパーは少しはやく20::00頃から常駐してみる予定です。 人が少ないと寂しいのでメフィオタを自認する方でお暇な人は覗いてみてください。 よそしくお願いします。
『イリーガル・エイリアン』 ロバート・J・ソウヤー (ハヤカワ文庫)
地球にやって来たエイリアンが地球人殺人事件の容疑者として逮捕され裁判にかけられてしまう。というお話。
こういう設定を日本の作家さんが思いついたとしても、たぶんギャグにしかならないような気がします。
それをギャグにせず、かといってシリアスで重苦しい話にすることもなく、
大真面目にやってしかもそれがとても面白い。
海外翻訳作品にしてはすんなり読めますし、エイリアンとかファーストコンタクトといっても全然難しくない。
トソク族(エイリアン)の謎や事件の過程が法廷で次第に明かされていく展開もミステリ的で楽しい。
SF慣れしてなくて法廷ミステリも読んだことなくて陪審員制度もろくに知らなくても
(むしろその方が)面白く読めると思います。
『六色金神殺人事件』 藤岡真 (徳間文庫)
吹雪により外界と隔絶された町。六色金神祭の最中、六色金神歌に見做した不可解な殺人事件が連続して起こる。
第1部がとにかくわけがわからないです。
宙を飛び壁に激突させられるといった奇怪な殺人事件が相次ぎ、怪しい登場人物が次々に登場。
解決のヒントも見当たらず、死んだはずの人物は蘇り、謎ばかりが増えていく。
語り手の直美さんにもちっとも感情移入できなくて、なんだか悪い夢を見ているような気分で読んでました。
なによりどういう意図で話が展開しているのかがさっぱり見当つかなくて、
本当にちゃんと解決するの?まさか夢オチとかいうのだけはやめて〜と不安になっていたら、
第2部でどうにか収拾つけてくれました。
正直メインのトリックだけなら壁に投げつけるところなのですが、それに付随して仕掛けてある小技がうまく働いていて、
解決編の中で二転三転する部分があり、もしかして本格ミステリとしてもなかなかのものなんじゃ?
と思わず錯覚しそうになります(笑)。
ただ、奇怪な殺人事件が起きているはずなのにあんまり派手に見えなかったり、
登場人物にちっとも魅力がなかったりと、ミステリとしてお話としてキツイ部分もかなりあるので
バカミス好き以外にはどうかと思いました。
そして、ミステリとして完結したあとに訪れる壮大なラストシーンには大笑い。
『アリソン2 真昼の夜の夢』 時雨沢恵一 (電撃文庫)
すっかり電撃文庫の看板になってしまった『キノの旅』シリーズの時雨沢恵一氏の長編。
アリソンとヴィルのシリーズ2作目。
今回はベネディクト兄さんが半主役で大活躍。クライマックスの立ちまわりはほんとかっこいいです。惚れそう。
そして、空振りに終わってしまったアリソンの*****がもうかわいくてかわいくて、
リッパー思わず布団の上をごーろごろ転がりまくってしまいました。
飛行機で少佐たちの様子を見たアリソンの反応も素敵。
やっぱり、ヴィルにはもうしばらく気づかないでいてほしいな(笑)
『ジンクス・ショップへようこそ』 上遠野浩平 (電撃文庫)
ブギーポップ・シリーズ13冊目。
キャラクタが一元的で深みがなく、今回出てくる”能力”も目新しさがありません。
試練にさらされた者の必死さとか、なんだかどうしようもない心の痛みや空虚さとか、
そういうこれまでのシリーズ作品で感じられたテイストも今作は影をひそめてしまってます。
心無き惨劇しかないというか。
まあ、今作は珍しくブギーポップの出番がたくさんあるので、そこだけはちょっと嬉しいですけれど。
でもやっぱり作品としてはシリーズ・ワースト。
[3/28 22:42] で、今さら殊能たん話に入りますが、美濃牛好きー(笑 リッパー
[3/28 22:44] 美濃牛<そんちょともう1人のコンビがいたでしょう。あの2人のエピソードでじいいんと感動してしました リッパー
[3/28 22:45] 師匠、涙ポイント変だと思う!!絶対。 コリ
[3/28 22:47] 涙ポイント変<がーん(*o*) リッパー
[3/28 22:49] 変変!!絶対へんだよー コリ
[3/28 22:51] 「鎮火報」で泣いたり「人魚とミノタウロス」で泣いたり「世界は密室でできている」で泣いたりしたら リッパー
[3/28 22:51] 変なのですか? しくしく リッパー
[3/28 22:52] 密室は泣きますよー。>リッパーさん gMA
[3/28 22:52] 「世界は密室で〜」好き・・・ キュウ
[3/28 22:52] 高里で泣いちゃまずいですかね、やっぱ。嫌泣いてはいないんですけど 合耕
[3/28 22:52] 鎮火報のどこでなけるのか小一時間・・・(ry コリ
[3/28 22:53] 高里のどこでなけるのかこれまた小一時間・・・ コリ
[3/28 22:54] 浦賀の「とらわれびと」は泣きそうになりました。 su2i
[3/28 22:54] 「双樹に赤 鴉の暗」でけっこうときめいちゃったんで……<高里 合耕
[3/28 22:55] 泣くなら「世界は密室でできている。」でした。 hm3号
[3/28 22:55] 「世界は〜」は装丁からして泣けますよねー 合耕
この流れで泣いた作品の話にいくかと思いきや、高里ネタが出たついでにリッパーが思わず
[3/28 22:56] 高里はリベザルに萌える作品なのでぃす!(断言(マテ リッパー
と発言してしまったことからそこから萌えトークに転がっていってしまいました。 その場の流れで対話が二転三転していくのがとても楽しかったです。 あと、ここだけ抜粋してしまうとコリさんがツッコミ厳しいキャラのように見えてしまいますが(笑)、実物はとてもチャーミングなお嬢さんですので。 まあ、リッパーとは
[3/28 23:00] む、コリさんとはいずれ萌えのなんたるかを議論し決着をつけねばなりますまい(笑 リッパー
[3/28 23:01] そうね。そうね。受けて立つし。腐女子代表として(w>師匠 コリ
ということでリッパーvsコリの宿命のライバル関係が成立いたしましたので、 次の機会には熱い闘いを繰り広げることになるかもしれません。
なんか全然総括になっていませんけど、今回は参加しなかったまだ見ぬメフィスト賞ファンの皆さんの参加をお待ちしております。 次はDR.メフィスト師匠が参加できるようなスケジュールでやりましょうか?
今回の参加者でサイト持ちな方へのリンク。
久我先生 switchingmystery
ゆしゅけさん (The Rhetorical) Locked-Room
木さん 1963年生まれ・独身(石崎幸二ファンサイト)
gMAさん gMA's world
su2iさん 永世
シノダさん ケムリズム(舞城王太郎ファンサイト)
hm3号さん B級読書家
matsuoさん Mystery Laboratory
リッパーが知らないだけで他にもサイトをお持ちの方がいらっしゃいましたら教えてくださいまし。
『密閉教室 ノーカット版』 法月綸太郎 (講談社)
88年に出版され現在は講談社文庫で発行されている『密閉教室』の草稿版を単行本化した作品。
ガムテープで閉じられた教室。そこにあるはずの机と椅子はすべて消えうせ、
代わりに喉をえぐられ血まみれになった級友の死体があった。
リッパーはこの『ノーカット版』で初めて『密閉教室』を読みました。
ネット上のいくつかの感想を見たところ、そういう人ってあまりいらっしゃらないようです。
読みづらいなあというのが第一印象。まるで千切りにしたかのような細かい章立てと、各章のタイトルが読んでいて非常にうざったい。
凝った言い回しを気取って書かれた意味なく装飾された文章も鼻につく。
いずれ改稿版も読んでみたいと思っていますが、「長すぎる。もっと簡潔に」と命じた
編集の宇山氏の判断は間違いなく正しいと感じました。
ミステリ部分はさすがでした。状況の必然性、解決に至る伏線、情報の取捨選択と推理。
論理を弄ぶ解決パートはこのうえない快感なのであります。論理萌え。
あと、佐藤友哉や西尾維新に似ているなと感じたことも書いておきます。
世界にたいする不安定さや他者にたいしての優越意識や劣等感、過剰な自意識がごちゃごちゃにぶつかりあう様は、
青春小説というより”新青春エンタ”と呼ぶにふさわしい。
この『密閉教室 ノーカット版』がもしメフィスト賞受賞作品になったとしても、おそらく何の違和感もないでしょう。
『リドルロマンス 迷宮浪漫』 西澤保彦 (集英社)
”ハーレクイン”と名乗る魔術師が彼の助けを望む人たちと会話を交わし、その中で
依頼人の隠された真実や記憶や欲望を浮かび上がらせるという連作短編集。
「人が無意識的に隠蔽したり改竄している記憶」やセクシャルな問題など、扱われているネタが西澤作品らしいなと思います。
こんな望みをかなえて欲しい、どうしてそうしたいんですか? それはこれこれこうだから、
という会話の流れの中でハーレクインがその人のもつ問題点なり隠し持っている弱さを解き明かしていく過程がスリリング。
ミステリであったり、ifのお話であったり、価値観の問い直しであったりと短編それぞれの読み口も多彩。
「イリュージョン・レイディ」が一番いいなと感じました。
それと巻末の篠田真由美さんの解説兼二次創作も面白いです。
『プリズム』 貫井徳郎 (創元推理文庫)
小学校の女性教師が死体となって発見された。直接の死因は事故とも殺人ともとれるのだが、
部屋には睡眠薬入りのチョコレートが残されていた。
4人の語り手が登場しそれぞれの視点で事件の真相を推理する中編集。
貫井作品は初読みです。思ってた以上に凄い作品でした。
なにより4人の語り手の主観によって被害者の女性教師の姿がくるくると変化していくのが面白いです。
教え子の小学生、同僚の教師、元恋人、彼女に魅了された人物、それぞれの視点から見た被害者・山浦美津子は
同じ人物でありながらまったく違った印象を与える。
その主観の違いや語り手がもっている(入手する)情報の違いによってそれぞれの推理が構築されていきます。
先の中編でたてられた説得力がありそうな推理を一度崩しておいて、また別の推理を構築する。
この繰り返しがリッパーのような推理過程萌え人種にはもうたまりません。
1つの事件に多数の推理を構築していく形式のミステリとして抜群の出来だと思います。
『水没ピアノ』 佐藤友哉 (講談社ノベルス)
鏡家サーガ第3作目。一見関連がなさそうな3つの物語が最後に結びつくという構成の作品。
買ってから1年以上放置していたのをようやく読み終えました。佐藤友哉作品の中でわりと高い評価を受けている今作。
読了してみれば確かにミステリ作品としても評価のできる作品でした。
3つの物語がリンクすることで罪が浮かび上がってくる仕掛けには感心させられます。
意図と結果のどうしようもないすれ違いってところは萌えます。
1つめの語り手には愛を感じます(リッパーが彼に対して)。鏡創士は大嫌いです。
いいところはいくつかあるので、もう少しスッキリした作品になったらいいのになあと思いました。
2つめの物語とか正直いらない。
『動かぬ証拠』 蘇部健一 (講談社ノベルス)
第3作目。倒叙ミステリの短編集。各作品の最後の1ページに絵で証拠が描かれています。
絵を作品のサプライズとして使うというアイディアがうまく生きているなと感じたのは、
「再会」「しゃべりすぎの凶器」「黒のフェラーリ」「変化する証拠」の4編。
「再会」はページをめくった瞬間、ああ〜っそんなあ〜と叫んでしまいました。これが一番好き(笑)。
他に面白かったのは「転校生は宇宙人」と「変化する証拠」。
しょうもないネタもありますが、別にいいかと笑ってすませてしまえるのが蘇部マジックなのです。
『Kの流儀』 中島望 (講談社ノベルス)
第10回メフィスト賞受賞作。青春ラブロマンスと血みどろの格闘エンタメ学園小説
デートして喧嘩してるだけの頭悪いお話(笑)
極真空手の使い手である主人公がプロボクサーや剣術家(狂人)らと闘うシーンは迫力もあっていいです。
ただ、”一撃必殺”が作者の信条なのか、どのバトルもあっさり終わっちゃうんですよね。
追い詰められた主人公が起死回生の大逆転とか、一度敗北してリベンジするといった
格闘エンタメのお約束がないのが少し物足りないです。
まあ、それなりに楽しめました。
『ホーム・チェリー・ホーム』 結城貴夜 (富士見ミステリー文庫)
デビュー作。妖怪2匹と同居する少女。少女の通う高校で持ち物検査で没収された物品が行方不明になるという事件がおきる。
推理するための伏線はきちんと張ってあって、真相を見抜くのはわりと簡単。
井出先生というキャラの嫌な教師っぷりがはまりすぎてて、読んでて腹立つんですよ。
教師同士の対立を描いたりと学園小説な部分に力はいってます。
妖怪と少女のパートはほのぼのとした雰囲気のホームドラマ。
この妖怪の部分とミステリ部分がもう少しうまくかみあえば面白くなると思います。
デビュー作にしては地味な印象ですが、作風はリッパー好み。
おまけの『プリズム』感想・別バージョン
ミステリのタイプとして「人がいっぱい死んで、最後に名探偵がズバッと解決」なんてのも好きなのですが、
「ミステリ好き所謂ミステリ同好会みたいなのが論理云々、きっと真相はこれなのだ!!」的な
論理積み重ね=推論のピラミッドも大好きなのれす。
しかし、メタ探偵も愛してる。九十九十九には惚れていて、ピラミッド水野は萌えでした・・・
特に真相を必ず外すという設定がいかしていたのに・・・あぁピラミッド水野・・・。
という事で、簡単ですが「論理沢山ヽ(゚∀゚)ノワショーイ」なメフィスト作家氷川さんが大好きなリッパーには
貫井さん萌え〜と叫びたくなるくらい面白かったのです。
hm3号お兄様ごめんなさい。

『密室ロジック』 氷川透 (講談社ノベルス)
会議室で死体が見つかった。関係者の行動をつきあわせると、
現場から犯人が逃走できないはずの衆人監視の密室状況であったことが判明する。
『真っ暗な夜明け』の主要人物が再登場する続編的なお話。
ぐああ、どうしてこんなに小説としてあんまりな部分が目立つんでしょうか。
さらりと流せばいいところで無駄に文章を重ねて冗長にしてしまうのは、
これまでの作品のように(作中登場人物の)氷川透視点であるならば彼のキャラクタだとして受け取れるのですが、
今作では他キャラクタの視点で同じようにやってしまっていて、そこが非常にうざったいです。
氷川ならわかるのですよ。相手の感情の分析や推測やら自分の発言や行動に対しての自嘲など、
氷川がうだうだやっているのは楽しかったりするのですけどねえ。
それと、氷川と早野詩緒里を除いたすべての登場人物のキャラクタが、
他者に対する性的な欲望や社会的地位でしか描かれてなくて、人物造形があまりにもひどいです。
当然会話も人物関係もひどい有り様で、駄目なメロドラマでも書きたいのかおまいは!とつっこみたくなりました。
殺人事件が起こって第2章になってからはようやく読める代物に。
2章では事件の目撃者となった詩緒里が状況を整理して不可能犯罪である?ことを論理だて、
3章になってようやく我らが氷川透が登場。女性陣に対してのダメっぷりに心が癒されます(笑)
そして、論理を積み重ねてついに辿りつく真相は
……うう〜ん、やっぱり事件の状況設定が曖昧にすぎて推理がばしっと決まってない印象。
ラストになんだか言い訳めいたことを書いているのですが、それなら最初から厳密な状況設定を整えて
氷川を事件に巻き込めばいいわけで。
現場へ犯人がいつ入りいつ出ていったのかとか、各人がどういうタイミングでどういうルートで移動していたのかとか、
気になることが多すぎてすっきりしませんね。推理過程にもどこかに穴があるような気がします。
ということでミステリ部分にも若干の不満が残るし、キャラクタには大いに不満がある作品なのですが、
2章と3章は面白かったのでどうにか可な作品かなあと。氷川作品未読者には断じておすすめしませんが。
『新本格猛虎会の冒険』 有栖川有栖、黒崎緑 ほか (東京創元社)
阪神タイガースをテーマにしたミステリアンソロジー。
リッパーはヤクルトスワローズファンなのですが、とりあえず買って読んでみました。
やっぱり阪神タイガースファンでありかつミステリファンである人ほど楽しめると思います。
まあ、アンチタイガースでなければ他球団のファンでもOK。野球に興味がない人でも一部の作品は楽しめます。たぶん。
黒崎緑さんとかホックとか今まで読んだことのない作家の短編を読めたのがよかった。
『船上にて』 若竹七海 (立風書房)
表題作ほか8つの短編が収録された作品集。
アンソロジーの『血文字パズル』に収録された短編を1つ読んだことがありますけど、1冊の本として若竹作品を読むのは初めて。
短編の名手との風評にはなるほどと納得です。ファンも多いわけだ。
読み口が抜群にいいし、ラストで少なからず驚かされてしまう作品も多くて面白い。
結末が少しせつない「黒い水滴」や、
「優しい水」や「かさねことのは」のアイディアが特によかったです。
『聖霊狩り 贖罪の山羊』 瀬川貴次 (コバルト文庫)
精霊狩り第1シリーズの最終巻。これまでの一連の騒動に決着がつきました。
ヤミブンの克也や耕作までが最終的に出張ってきてしまったために主役であるはずの柊一や誠志郎の活躍が少なかったような。
なんか今回の主役は裕樹でした。
『闇がざわめく』で作った精霊召喚キャラと『闇に歌えば』の誠ちゃんたちを同じ作品内で扱うというのは
パワーバランスからいってかなり難しいんじゃなかろうかと一番最初の本を読んだときに思ったのですが、
なんだかんだいってうまくまとまってました。シリーズ6冊面白かったです。
ただ、お話の最後に出てくるんじゃないかと期待していた美佳子ちゃんが結局登場してこなかったのが心残り。
誠ちゃんとの仲がどーなってるのか気になるってばよ!(NARTO風)(笑)
短編集がそのうち出る予定で、さらにシリーズとして続くかもということなので、楽しみ。
『俺だけの王道』 川田利明 (小学館)
全日本プロレスのプロレスラー川田利明の子供・学生時代のことから現在にいたるまでの半生を綴った自伝。
川田ファンは必読の書です。
別に爆笑するようなエピソードとか衝撃的な裏話などが書かれているわけではないのだけれど、
川田のプロレスに対する真摯な思いや、自分の信念を頑固に守り通して生きていこうという生き様が
読んでいて感じられて、かっこいいやら微笑ましいやら苦笑するやら。
負けず嫌いで頑固で、あまり他人に好かれるような性格ではなくて、
でもプロレスが好きで、リングの上では愚直なまでに自分を貫き激しさを前面に押し出した「痛みの伝わるプロレス」を繰り広げる。
そんなキャラクタの負の部分もかっこいい部分もリング上での素晴らしいパフォーマンスも全部ひっくるめて、
リッパーは川田利明ってプロレスラーが好きなのです。
講談社の季刊小説誌『メフィスト』を買いました。西尾維新の犯人当てミステリに挑戦しようかなと思い買ってきたのですが、
解答編が次回メフィストに載るとかじゃなく、近いうちにまとめてノベルス版で出るような言い方をしていたのでなんかどうでもよくなりました。
問題編を2回読むのも面倒だし、ノベルス買って解答編だけ読むというのも味気ないですからのう。
ということで巻末座談会と森の対談と往復書簡と書評を読んで放りだしました。
作品は高田さんのだけ読みました。千波くんシリーズは1度も読んだことないので試しにというやつです。
キャラは悪くないんだけど、挿入される数学問題が邪魔だと思ってしまうリッパーは千波くんシリーズには合わないんでしょうか。
往復書簡の方ではタイムリーにもこの間読んだばかりの『密閉教室』を取り上げてました。
リッパーが嫌った断章形式の記述が、
作品のリアリティをカバーしたりいろんなエピソードをつめこむことを意図してとった手法だというのを法月氏が明かしています。
ラストのコーダのことも含めて、リアリティの無さをメタフィクションな形をとってフォローしようなんて発想は、今の時代には必要ないんだろうなあという気がします。
今なら『密閉教室』のプロットをそのまま受け入れられますもんね。
そういった敷居の低さ間口の広さが良いことなのかどうかはともかくとして。
『天使はモップを持って』 近藤史恵 (実業之日本社ジョイノベルス)
オフィスを騒がせる大事件や小事件を清掃員の女の子キリコが解決、”謎をクリーンにしちゃいます”な短編集。
清掃の仕事をしていると見えてくるもの……出されるゴミや施設の汚れ具合…から推察できるものをヒントに
会社で起きたさまざまな事件を解決していく、というアイディアが面白いです。
語り手の大介君や探偵役キリコ嬢ほか主要キャラは”いい人”が多くて雰囲気が明るいのがリッパー好み。
各事件の背景は嫉妬・不倫・セクハラ・ダイエットなど人の心の傷にふれるようなものも多いのだけど、
感情移入しやすいキャラクタがそれを中和していて、苦いんだけど清々しいというか
渋いお茶と口当たりのよいお菓子を両方食して満足というか、そんな感じです。
「桃色のパンダ」が特にいいと思いました。ラストの一言も決まってる。
あと「ピクルスが見ていた」もミステリ短編として○。
ラスト2編の「シンデレラ」「最悪のヒーロー」も心にくるものがありました。
『ふつうの学校』 蘇部健一 (講談社青い鳥文庫)
主人公の通う小学校にとんでもない先生がやって来た。その名は稲妻先生!
主人公アキラの学校生活はいったいどうなるの!?
稲妻先生はほんとにとんでもない先生でして、稲妻先生がやらかす教師にあるまじき言動や行動の数々が大変楽しい。
そんな稲妻先生を激しくつっこむルイ先生がとてもいい。
語り手のアキラ君はややエロ方面にませたところがありながらもちょっと気弱な普通の男の子。
友達がいじめられてしまうところとか、憧れのかわいこちゃんの存在とか、児童文学だなあと読んでてほのぼの。
ミステリ部分はほんの少しだけ、しかもミステリファンならすぐわかってしまうようなトリックでした。
ミステリを期待して読むと肩透かしを食ってしまいますが、児童小説としてはじゅうぶん面白いと思います。
でも、席替えを男子による女の子対象のドラフト会議で決めようというネタやアキラや稲妻先生の性癖ネタなんかは、
子供が読んで面白いというよりは大人向けのネタですかねえ。そのへんは女の子の読者をおもいきり引かせてしまう恐れがありますね。
ヤクルトスワローズファンとしてはたまらないネタもあって、リッパーは凄く面白かったんですけど、ドラフト会議。
それと、キャラクタの印象がかなりいいのは羽住都さんの挿絵に誤魔化されている部分が大きそう(笑) ルイ先生かわいー(萌)
続きは間違いなく出る(と思われる)ので、今回ほとんどなかった女の子たちとの絡みとかが楽しみです。
『吸血鬼の瓶詰め 第四赤口の会』 物集高音 (講談社ノベルス)
都市伝説・民話・伝承にまつわる奇シ物(あやしもの)を主題に論議を交わし、
異説珍説こじつけ暴論いろんな解釈を導き出そうという民俗学的・雑学バラエティー第2弾。
前作『赤きマント』は独特の文体と奇抜すぎるキャラクタとその口調のせいですごく読みづらかったのですが、
2作目でリッパーの方に免疫が出来たのか作風がこなれて簡潔になってきたのか、だいぶ読みやすくなってました。
伝説や民話における共通のモティーフを導き出し論議の果てにその正体を決めつけるという趣向は前作とまったく同じなので、
『赤きマント』を読んで面白かった人は同じように楽しめるでしょう。
表題作の「吸血鬼の瓶詰め」と「花咲爺の灰」がなかなかよかったと思います。
『歪んだ創世記』 積木鏡介 (講談社ノベルス)
第6回メフィスト賞受賞作品。ともに記憶を失った男女が見知らぬ部屋で目覚めた。
記憶の手がかりを求める2人は惨殺死体を発見してしまう。
**を作品内に巻き込もうとするわ、**は出てくるわ、登場人物が自分が小説の世界の住人だと認識してるわと
掟破りのはちゃめちゃな構成が後半部分で炸裂しています。
メタフィクションを徹底的にやってみたらこうなるんでしょうかね。
ミステリな小技でいったん破綻させるまではなかなか面白かったんですけど、そこから始まる怒涛の展開には正直ついていけません。
**はなんでもできるのだが**の上位の力による邪魔で失敗するというあたりのセルフボケツッコミに辟易してしまい、
最後のオチも「あ、そう」で読み終わってしまいました。
メタフィクションとしての追求よりも、ミステリとかSFなオチのつけかたをしてくれた方がよかったかなあ。
それと、作中の幻想ホラー小説風の表現やキャラ造型に『芙路魅 Fujimi』と同じ匂いを感じました。
積木氏はミステリよりもホラーの方が向いてるんじゃないでしょうか。
『地球平面委員会』 浦賀和宏 (幻冬舎文庫)
あなたも信じてみませんか、地球が平面であることを。
荒唐無稽な思想を掲げるサークルに関わってしまった主人公は事件に巻き込まれることになる。
浦賀作品にしては随分おとなしいお話でした。
もっとドロドロした情念や凄惨な事件があった方が”浦賀らしい”んでしょうけど、こういうのも悪くないと思いました。
正直なところリッパーは浦賀作品がちょいと苦手でして、こういう作風の方が安心して読めるのです。
2人の女の子の間でふらふらと揺れ動くQの優柔不断さがいいですね。
佐久間愛にしておきなさいって、でも美人に誘惑されたらそれがたといどんなに怪しげな人でも拒否できないかもしれないよね、
と三角関係にやきもきしながら読んでいたら、事件は起きるわ、地球平面委員会の怪しさはますわ、
はたしてその真相は……、はい読んだ皆さんご一緒に「何じゃそりゃあああああ!!」(絶叫)
あうう、読み終わってみれば、そうかアレもコレも伏線だったのかと無理矢理納得させられてしまいます。
ミステリとしてはぶっとびすぎてて馬鹿馬鹿しいという類のお話ですが、こんな真相見抜ける人ってそうはいないでしょう。
でも、浦賀和宏氏ではなくて例えば渡辺浩弐氏の著作として読んだなら思いつく人がいるかもと感じました。
初夏の香りが漂いはじめる季節に、リッパーよりhm3号お姉さまへ かしこ。
にはは、ぶいっ
補足:久我先生がなぜ先生なのかはこのスレを参照のこと