これまでのあらすじ
天才犯罪家久我明教授と その片腕たる悪戯魔リッパーという2人の悪魔に狙われた美少女hm3号のサイト閉鎖の危機を救うべく 名探偵gMAはその卓抜した推理力を発揮する。 酩酊探偵DRは得意の酔いどれ推理によって 悪戯魔リッパーを追いつめるが、激しい舌戦の末に2人とも滝壷へと…
…なんて冗談ばかり書いていると、そのうち本気で誰かからお叱りを受けそうなので、このへんにしておきます。
『本格ミステリこれがベストだ!2003』 探偵小説研究会 (創元推理文庫)
北山猛邦のコラムや西尾維新インタビュー、さらには笠井潔X巽昌章の往復書簡における脱格系作家への言及など
メフィスト者にも見逃せない企画がいくつかある今年の「これベス」。
トリックを愛してやまない北山猛邦の姿勢がコアな本格好きに少しでも伝わればいいなと。
石持浅海があげた創作においての”べからず集”、「警察を無能にしない」以外の項目にはすごく賛成しかねる。
『アイルランドの薔薇』がリッパーの趣味に合わないのも必然だったのかと納得。
他に探偵小説研究会メンバーのおすすめ作品に『四月は霧の00密室』や『浦賀和宏殺人事件』がはいっているのは笑った。
それと、原書房の「本ミス」でヤングアダルト小説ミステリの総括を書いている鷹城宏氏が『愚者のエンドロール』を推しているのが好印象。
米澤穂信も新世代ミステリ作家の枠にはいってていい作家だと思います。
『クレイジー・クレーマー』 黒田研二 (実業之日本社ジョイノベルス)
デパートに勤める主人公は陰湿なクレーマー・岬と万引き犯”マンビー”という2人の悪魔に悩まされていた。
エスカレートしていく岬の嫌がらせ。主人公の中に生まれる殺意。狂気の対決の行きつく先は…
黒田研二氏の作品もこれで9作目(クイーン兄弟名義の共著がほかに2冊)。
どの作品も必ずむむ…と唸らされてしまうような仕掛けやネタがあって、
リッパーは黒田作品を読むたびに「今回はこのネタか!」と感心しておる次第なのであります。
はて、今回もいつものように登場人物かあるいは作者が意図的に何かを隠しているのか、
あるいは今回はサイコミステリと謳っているし凝った仕掛けはなくて狂気なサスペンスだけなのかしら
等と思案しながら、でも何かあるに違いないと構えて読んでいました。
にもかかわらず、やっぱり今回も「はわわ〜、そんなネタなの〜!」と驚かされてしまう結果になってしまいまして、
作者にまんまとしてやられたのが悔しいやら楽しいやら。
クレーマーと主人公の2人の繰り広げる戦いが、常軌を逸しつつも”現実におこりうるかもしれない”と思わせるリアリティがあって、
読んでてぞっとするところが何ヶ所か。クレーマーも*****も出来れば一生関わり合いにはなりたくないな。
『鬼流殺生祭』 貫井徳郎 (講談社文庫)
舞台は維新明けの東京。語り手の九条は霧生家の殺人事件に関わってしまう。
当主が大きな権威を持ち、縁戚同士の婚姻を続ける霧生一族に一体何が起こったのか。
時代表記が明治ではなく”明詞”になっています。これってゲーム『サクラ大戦』の”太正”と同じ意図なんでしょうかね。
時代小説的な舞台設定をとりつつもパラレルワールドであるという。
親戚同士でなければ結婚しないという因習、呪われた血族、複雑に入り組んだ家系図、
日本家屋における殺人事件など、舞台や道具立ては古典探偵小説の雰囲気が漂っております。
序盤を読んで家系図を見直したときにふと思いついたことが事件の動機の部分そのままでした。
むむむ、そのへんリッパーの思考回路がちょっと毒されすぎですか(苦笑)。
霧生家の謎や事件のハウダニットの方はさっぱりわからなかったので、そこの真相はなるほどと感心いたしました。
某謎については同じネタを使った作品(霧舎巧作品)を読んだことがあったんですがのう…。
新味はあまり感じないけれど、手堅くて重厚な本格探偵小説でした。
講談社ノベルススレでなぜか 元長柾木氏の日記のURLがはられていました。 単にメフィスト賞作家への言及があるからか「新現実」への小説寄稿つながりなのか、 どういう意図なのかは知りませんけど、久しぶりに元長さんの日記を見て『sense off』というゲームのことを思い出しました。 『sense off』は元長さんがシナリオを書かれたエロゲーで、 三條美凪(さんじょうみなぎ)という名前のヒロインを登場させたり、森博嗣作品へのオマージュともとれる数学ネタや台詞回しを使っていたりと、 麻耶雄嵩ファンや森博嗣ファンは思わずにやりとしてしまうような作品だったなあと。 とはいってもミステリではなくてSFなお話だったんですけどね。
思い出したついでに当時(2000年9月)書いた『sense off』感想文を読み返してました。
ミステリとはあまり関係ないけど興味ある人いるのかなあ? 一応アップしておきます。
…なんかgMAさんのミステリ感想文に近い書き方をしてますね(笑)
ちなみに現在のリッパーはエロゲーやギャルゲー方面はほとんど引退状態なので『AIR』以降のネタを振られても反応できませんのであしからず。
西尾維新と『月姫』の類似なんてわかりませんよう。
麻枝准とか高橋龍也の新作は出たんですか?
それにしても、hm3号兄君様がネットラジオで一気に人気急上昇していく様を見守るのは、 好きだったアイドルがブレイクして有名になっていくときのような、 嬉しくもあるけど置いていかれてしまうような一抹の寂しさもあるという微妙な乙女心なのです。
極秘オフ会の報告書を改訂しました。
4月28日に「久我先生東京オフ幹事激励会」という名の極秘オフ会に行ってまいりました。 主催はDR師匠で、参加者は主賓の久我先生、リッパー、略さん、コリさん、イワサキの近所さんの6名でした。 イワサキの近所さんとは2月のオフのとき、丁度リッパーと入れ替わりになって挨拶だけした記憶があります。他の人とは顔なじみ。
最近酒びたりだのなんだのとネタにしているお詫びに、DR師匠が読みたがっていた『忘れ雪』と『六色金神殺人事件』を持っていく。 もう1冊持っていった『イリーガル・エイリアン』は久我先生の手に。久我先生から奥田哲也という作家の本を2冊お借りしました。
1次会2時間半くらいおしゃべり。
本の話。『地球平面委員会』は賛否両論。いや、賛というよりはあの驚愕の真相が有りかどうかという程度のものですけど。 DR師匠が「『ミステリアス学園』を読んだ人〜」と問うたのでリッパー1人だけ手を上げたら、とあるお嬢さんにぶん殴られました。 ひ、ひどい。わたくしが何をしたっていうんですか、**お姉さま!(涙) いくらわたくしが**お姉さまが好きな作家ではなく『ミステリアス学園』のようなアレな本を読んでいるからといって、 霧舎学園で喜んでいるからといって、リベザル萌えとか…… ごめんなさい、お姉さまにぶたれてもしょうがないような気がしてきました。 あとは、某嬢が霧舎のあかずの扉研シリーズが好きらしいとか、 『ラグナロク洞』は結構いいと思いましたが『マリオネット園』の惨状がちょっとなあ…。 2月のオフで会ったhmお兄ちゃんの印象とかサイトの話題も出ておりました。
1次会のみでリッパーは退散。楽しかったです。 **お姉さまはちょっと怖かったですけどね。前回のhm君の気持ちが少しわかったというかなんというか(笑)
ところでオフ会にて久我先生が「先生スレ、もう半年もやったしそろそろいいでしょう」と衝撃の発言。 わたくし思わず「おやめにならないでくださいまし」などと出過ぎたことを言ってしまいました。 いけません。久我先生がいらっしゃらない先生スレなんてアザラシに逃げられた帷子川みたいなものでございますわ。 (って久我先生は珍獣扱いですか(笑))冗談はともかく、リッパーが先生スレで遊ぼうと思ったのは久我先生がいたからなので、いないと困ります。 メフィスト賞をあまりおさえてないためにそのネタの授業をするのが精神的に負担になりつつあるということのようなので、 それなら僭越ながらリッパーがこれからは先生になってそのへんのフォローをすればいいのかなと思い立った次第。 それに「いつか先生やってみようかな」というのは参加しだした頃から考えてましたし。 久我先生、是非これからも先生スレ頑張ってくださいまし〜。とサイトに書いておけば逃げられませんねと(悪党)
そんなわけでリッパーも先生になってしまいましたので、 先生スレの参加者ますます募集中。 hm3号さんはラジオでめいっぱいなんでしょうか?
『名探偵カマキリと5つの怪事件』 ウィリアム・コツウィンクル (早川書房)
バグランドという昆虫の国を舞台に名探偵カマキリと助手のバッタ博士が活躍する児童向け冒険譚。
ホームズのパスティーシュもの短編集。
カマキリ探偵がささいな手がかりから登場キャラの行動や性格を当ててみせるシーンなどの
ホームズ譚のパスティーシュ部分がなかなかほほえましい。
くいしんぼうで女性に弱くてドジっぷりがお茶目なバッタ博士の奮闘ぶりがかわいいです。
バッタ博士が大好きなブラックベリーパイを焼き上げてさあ食べようというところで、
カマキリ探偵に事件だと無理矢理連れさられてしまうシーン最高。エプロン姿なバッタ博士のイラストもありますし(笑)
5つの短編の中では「首なし怪物の怪事件」のオチが独特の余韻があって特に印象に残りました。
小学校の図書館に並べて将来のミステリファンを育てて欲しい本。
『クレヨン王国 道草物語』 福永令三 (講談社青い鳥文庫)
美少女隊(軍士官学校の少女たち)というのが登場してきて、すわクレヨン王国に美少女萌えの要素が導入されたのか!?
とびっくりしていたら、最終的にストンストンのラブロマンスが展開されるにいたり再度びっくり。
囚人の大脱走というオープニングから、まさかこんな話の展開になるとは。
ユニークなキャラクタが好き勝手に動きまわるドタバタ活劇な面白さは相変わらずだし、
逃亡犯ダガーと泣かせ太鼓のエピソードもしんみりできていい。
未読の『四土神』とかも読んでみようかなと思いました。
今週は他にアリスを読んでました。 北山猛邦の新刊が『「アリス・ミラー城」殺人事件』ということで、アリスネタを知っていた方がより楽しめるかなと。 実はアリス原作って1度も読んだことなかったんじゃよー。
『赤い柩』 奥田哲也 (立風書房)
吸血鬼伝説の講義のためにオカルトじみた伝説をもつ山荘を訪れた少女漫画家御一行。
近くの湖畔で全身の血を抜かれた女性の死体が見つかり…
血を抜かれた死体を登場させたりと吸血鬼をモチーフにしているわりに雰囲気はすごく普通。
読む前はもっとホラーじみた話なのかと思っていた。
漫画家の女性たちが話の中心にいて、その描き方がなかなか面白い。
若くして成功してしまったことで女王様化してしまった女性、社会経験が少ないゆえの無垢さ、編集者との軋轢、厳しい職業であることなどなど。
そうだろうなあと納得してしまうような、すこしせつないような。
派手な死体が出てくるものの推理や捜査にはあまり重きが置かれず、
ミステリとしてはいまいちパッとしないなあと思っていたら、
最後に探偵役が導き出した”犯人はなぜそんなことをしたのか?”の回答ロジックに絶句、うっひゃーっと感嘆。
でも同時にバカだーという笑いもじわじわこみあげてくる。素晴らしい。
この作品の発行は1993年。文庫化もされていないようで、現在では入手困難とのこと。ちょっと惜しい。
『エンド・クレジット』 奥田哲也 (廣済堂ブルーブックス)
関係者が次々と死んでいく呪われたホラー映画。
制作スタッフの捜索を依頼された女探偵は否応なく殺人事件に巻きこまれてしまい…。
女性の私立探偵を主役にすえたハードボイルド風ミステリ。
ヒロインに萌え要素がないのと、ハードボイルド調なものをリッパーがあまり好きではないということもあって、なんかいまいち。
もしテレビドラマでやるなら主役の美鳩たんは深津絵理にやってもらってキュートな面を打ち出してくれたら
もっとヒロインに感情移入できて面白くなるかもしれないなあなどと埒もないことをつらつら考えながら読んでいた。
セクハラ刑事との会話は悪くない。
話はハードボイルド調ではあるが事件の謎は本格ミステリなもの。
ホラー映画に見立てた殺人事件の”犯人はなぜそんなことをしたのか?”という謎に驚愕の回答が与えられる。
うわー、バカだぁー(誉め言葉)呆れると同時に、よくこんな変なこと思いつくなあと感心してしまった。
多少お話やキャラクタがしょぼくても1点だけでも驚愕に値するロジックとかトリックさえあれば許せる、
という奇矯なミステリファンならば読んでみて損はない、かもしれない。
『死者の学園祭』 赤川次郎 (角川文庫)
”赤川次郎も初期作品は本格ミステリ”との風評につられて読んでしまった。
おすすめされていたのは別の作品だったような気がするんだけど(笑) 少し前に映画化された作品らしい。
赤川次郎の長編というと10数年前に『三毛猫ホームズの推理』を読んで以来。
(短編は去年スニーカー文庫のミステリアンソロジーで読んだ。)
作中に電電公社なんて名称が出て来てびっくり。そうか25年くらい前の作品なのか。
そのわりに女の子の話し言葉に違和感がある意外は特別古くさくは感じられなくて、
昔も今も高校生くらいのキャラクタとかドラマ作りはあまり変わってないのかなあと思った。
つまらなくはないが、ミステリとしてはいまいち物足りない。青春小説としては…
うーむ、ロマンス部分がさらっと流されてるので結構どうでもいい感じ。
好奇心旺盛で探偵気取りなお嬢様というヒロインは悪くなかった。
『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル (角川文庫)
"Alice in Wonderland"! 少女アリスが不思議の国を旅するお話。
子供の頃に読み逃してしまい、いつか読みたいなあと思いながらも機会をつかめずはや10数年。
ようやく原作のアリスを読むことができた。
奇想天外なキャラクタはともかくとして、ナンセンスな展開やきちがいじみた会話などがちょっと意外だった。
まさかこんなに狂ったお話だったとは。もっとメルヘンチックなものだとばかり思ってた。
やっぱり原作をちゃんと読まないとなあ。
作品そのものを楽しむよりも、ハートのクイーンやチェシャ猫などいろんな作品に引用されている有名なキャラクタを
「こんなキャラクタなんだ。へえー」と感心しながら読んでいた感じ。
もし、子供の頃にアリスを読んでいたら果たしてどう感じただろう。
純粋に楽しんだか、あるいは子供ながらに「めちゃくちゃなお話だー」と評価するか。
子供の頃を思い返すと後者かなあ。理屈っぽいがきんちょだったし。
『鏡の国のアリス』 ルイス・キャロル (角川文庫)
鏡の中の世界にあべこべの現象。チェス駒の民をはじめとした多彩なキャラクタたち。
『不思議の国のアリス』と比べると若干マイナーな感のあるアリス第2作目。こっちの方がファンタジー色は濃くなっている。
一角獣がアリスを見て言った「おれはいつも、子供なんて、お話の中の化け物だと思っていたよ」という台詞が衝撃的。
それと、前作から読みながら何度も「もっとアリスをかわいく書いてくれえ〜」なんて思っていて、
無意識にアリスに萌えを期待していたことに今さらながら気がついた。うう、わたしはなんて駄目な読み手なんだろう。
『被害者は誰?』 貫井徳郎 (講談社ノベルス)
超名探偵・吉祥院慶彦が事件の謎を解く短編集。4編収録。
「被害者は誰?」、ちょっとアンフェアでズルい気がする。
「目撃者は誰?」、2つの視点が意外な形で着地。
「探偵は誰?」、ロジックが楽しい。オチもいい。
「名探偵は誰?」、んご、騙されたー。
軽妙な語り口でお気楽に読め、かつパズラーあり騙しありの短編が揃っている。
初心者からコアな人まで楽しめることうけあいの良質なミステリ短編集。
特によかったのは「探偵は誰?」
『「アリス・ミラー城」殺人事件』 北山猛邦 (講談社ノベルス)
ルイス・キャロル作品をモチーフにした異形の館「アリス・ミラー城」に探偵たちが集められた。
探偵たちの目的は館に存在すると噂されるアリス・ミラー。そして密室殺人が…
今年の本格ミステリのベスト級作品。
犯人の動機や設定の荒唐無稽さなどリアリズムの面から批判されそうな点はあるものの、
作品にこめられた本格ミステリ要素は今年読んだ作品の中で出色の出来栄え。
孤島に集った人物たちが次々殺されていくという古式ゆかしい形式に加えて、
探偵役が複数、ミステリ談義、密室、犯人消失、死体装飾などなど心をくすぐるマニアックな道具立てがてんこもり。
さらに、これまでの北山作品の大きな弱点だったキャラクタ造型にもかなり力をいれたようで、
なかなか個性的な登場人物が顔を揃えている。
物理トリックに対してのこだわり方はこれまでと同じ。密室状況に関して複数の推理を提示してみせるところが心憎い。
また、序盤でなされる探偵たちによる物理トリック談義が非常に面白い。
先日出版された『本格ミステリこれがベストだ!2003』(創元推理文庫)での北山氏の寄稿と合わせて読むと、
本格ミステリへの(物理トリックへの)あふれんばかりの愛情と悲観的な見方がひしひしと伝わってくる。
数々のトリックやネタの中で一番気に入ったのは、犯人がわざわざ密室状況を作った理由。これは凄い。
読了後はその真相に感嘆。
いくつかの場面を再読しながら、なるほどなあと膝をうちまくる羽目になった。
アリスというモチーフや舞台・キャラクタ設定のすべてが本格ミステリに奉仕しているような作品で、
とても面白かった。傑作である。
以降、本筋とは直接関係ないが、登場人物の名前と『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の関連性について。
窓端(マッドハッター、きちがい帽子屋)、観月(三月兎)、山根(ヤマネ)、
海上(うみがみ→亀もどき)、鷲羽(グリフォン?)、堂戸(ドードー鳥)、以上『不思議の国』。
古加持(こかじ→並べ替えで 小鹿?)、ルディ(トイードルディ)、以上『鏡の国』。
无多と入瀬については思いつかなかったのだが、2ちゃんの北山スレで
无多(ないだ→ダイナ(アリスの飼い猫))という指摘があった。あー、そうかそうか。
入瀬は入瀬(イルセ←アリスから1文字ずらし)とのこと。
もう1人名前だけ出てくる白角は(一角獣)か。
以下ネタバレ全開の感想↓(未読者閲覧厳禁)
| メインのトリックは実に見事。冒頭を読み返してみると、誰も城に10人集まるなんて言ってなかったりする。 あくまで「『そして誰もいなくなった』みたいだね」と口にしているだけ。 古典ミステリに対するリスペクトのように思わせておいて、実はそれが人数把握についての罠になっているなんて…。 入瀬が無力なキャラクタの役割をあてられていることや(探偵じゃないことが露骨にしめされているはずなのに)、 晩餐のシーン、海上の「俺様が見たのはアリスだ!」という台詞、ルディが語るシーン、 何度となく強調される人形、いやもう再読しながらしびれまくりですわい。 アリスというモチーフだからこそ、読者はアリス=エプロンドレスの少女=人形(アリスドール)と 簡単に錯覚してしまうわけで、 そういう意味では”アリスでなければならない必然性”もあるのだ。 物語としてはひどく異形なものなんだけど、すべてがミステリのためだけに作られているという点において、 ああ、美しいなあと。 もう北山ちゃんに愛さえ感じるほどに。 |
『虚無への供物』 中井英夫 (講談社文庫)
一族が次々に悲惨な死に方をしている呪われた氷沼家。密室殺人が起き、素人探偵たちが推理合戦を繰り広げる。
舞台は色彩に彩られ、不動や薔薇の暗号が悲劇を示唆する。
戦後の狂騒の時代を舞台に、当時の社会的大事件や世相とたくみにリンクさせながら物語は本格推理小説の形をとって語られていく。
初出は40年も前、改稿による最終版もすでに30年前の作品ということで、身構えながら読み始めたのだが、ことのほか読みやすくて驚いた。
アンチミステリという風評も、ラストまで読んでもわたしの思う”本格ミステリ”の枠から外れたものとは感じられず、その意味では普通に面白かった。
解けない謎が残ることや、純文学的な動機、本格推理小説の形式をとりつつも最終的には探偵への批判めいた終わり方をすることなどが、
おそらくアンチミステリだと呼ばれるゆえんなのだと思うのだけど、
今の21世紀の本格ミステリ観からすると『虚無への供物』もアンチミステリとは呼べなくなっているんじゃなかろうか。
本格ミステリの枠も時代とともに変化しているはずだし。
探偵役が過去のミステリ作品を引用しながら推理に挑むという趣向は、
わたしたちにとっては綾辻以降おなじみのもの。
さまざまな道具立てや趣向など、今のミステリ作家たちに大きな影響を与えた作品なんだなあというのがよくわかった。
正直なところ、真相やトリックに驚いたわけでもないし、ひたすらに繰り出される推理に酔ったわけでもない。
キャラクタや物語性はとても楽しめたが、本格ミステリとしては、
もっと先鋭的で過剰な作品を読める現在では大作ではあるもののそう突き抜けたミステリ要素は感じられない。
だが、古典本格ミステリの1つの到達点として、新本格ミステリの原点の1つとして、
読む価値はおおいにあると思った。
『星を継ぐもの』 J・P・ホーガン (創元SF文庫)
舞台は2030年代の近未来。月面で宇宙服を身にまとった死体が発見される。
調査の結果五万年前に死亡したものだと判明、しかも彼は人間に本当にそっくりだった。
ルナリアンと名付けられたその種族は一体何者なのか? 異星人なのか?
異星人だとしても人間とほとんど同じ進化を遂げているのはなぜか? それともルナリアンは人間なのか?
地球にはかつて超文明でも栄えていたというのだろうか?
調査によって次第に明らかになっていく秘密と、追いうちをかけるように出てくる新たな謎。
1つ1つの事実が一体どんな風に整合性をつけられていくのか。
道具立てはSFでありながら、科学者たちの推理・論理はミステリ的で面白い。
ルナリアンの謎に対しての答えのいくつかは途中で想像できるのだけど、
1つ残される大きな謎のために、どうにもこうにも真相に到達できそうにない。
はたして、どんな風に決着させるのやら?と首をかしげながら終盤へ向かっていたら、
これまでの仮説の中で指摘されてきた矛盾を一気に解消する真相が…。
はわわわ、まさしくこれぞ論理のアクロバティック! 驚愕の真相! 凄い!
ロジックによって導き出された謎解きの答えがそのままSFのセンスオブワンダーにもつながっていて、
ミステリとしてもSFとしても素晴らしいオチになっている。いやあ、まいったまいった。
カッパワン第2弾唯一の本格『首切り坂』、第1弾の4作品に比べると、本格としてはちょっとレベルダウンの感は否めないかも。
カッパワンには本格を期待してたんだけど、これじゃメフィスト賞とたいして違わないような。
あと、他の2冊は伝奇バイオレンスと戦闘美少女なんだそうな。
あらまあ、美少女ですってよ。カッパワンもそういう方向なのかしら。…楽しみだなあ(笑)
二月のオフ会でお会いしたKさんがイチオシだった『星を継ぐもの』面白かったー。
SFだし、おすすめされなかったら手にとることはなかったかもしれない。
Kさんに感謝。
『虚無への供物』やっと読みました。
清涼院流水の『ジョーカー』や北山猛邦の『「アリス・ミラー城」殺人事件』に似てるーと思った(笑)。
両作品とも「虚無」がスタート地点の1つだったんだろうな。
『「アリス・ミラー城」殺人事件』の人物名について追加。
gMAさんより、入瀬(イルセ←アリスから1文字ずらし)とのこと。
それと、名前だけ出てくる白角も(一角獣)だなと思いつきました。
五月オフ会その1
24(土)に五月オフ会第1弾に参加してきました。参加者は5人。 わたくしリッパー、久我先生、Kさんの3人は二月オフですでに顔なじみ。 そして、初対面になるお二方、1人は石崎幸二ファンサイトの管理人こと木さん。 もう1人はなんと先生スレで活躍なさっている魔先生でした。 まさか来るとは思っていなかったのと、その意外な正体にリッパーさん驚愕。 いやいや、さすがにミステリ者だけありますな(意味不明)
喫茶店でお茶しながら歓談。
先生スレの先生役が3人も会してるのかよとか、
木さんが(も)メフィスト学園の執筆陣であることからメフィスト学園の話とか。
以前のチャット大会でもちらと述べておられましたが、木さんはメフィ学の積木をキャラ立てさせるために尽力していたらしい。
ミステリにはまるきっかけになった本は木さんは『生ける屍の死』、魔先生は『すべてがFになる』なんだそうな。
二月に初めてお会いした頃は「海外作品しか読んでない」とおっしゃられていたKさんも随分国内作品を読んだみたいで、
「有栖川は読みたくねー」「二階堂も嫌ー」という木さんの主張におおいに同意していた。
そういえば、駄目な本とか嫌いな作家のことは聞いたけれども、良かった作品のことをKさんに聞き損ねたなあ。
魔先生の話はいろいろ興味深い。
こういう集いの中ではリッパーさんも年齢的にわりと上の方に位置する世代であったりするので、
今の若者ってそうなんだーと感心することしきり。
ミステリファンという人種は若い頃からいっぱい読んでるのねーとあらためて感心する次第。
他には「『星を継ぐもの』の真相は衝撃的。タイトル凄いよね」「『私が捜した少年』はハードボイルドと謳われているのに主人公が幼稚園児」
「『生ける屍の死』は必読」「月刊鯨統一郎」などの話題が出ておりました。
全員で紀伊国屋書店に移動し、本を物色しながらの雑談。
久我先生は『鳥肌』を前に何やら悩んでいた様子。結局買っちゃったんでしょうか?。
魔先生は『火蛾』と『左眼を忘れた男』と『見えない精霊』を買ってました。
木さんが『ルシフェル十四歳』だったかな?
新書コーナーを後にし、創元やハヤカワ文庫コーナー付近でたむろ。
誰の言葉だったか「『チャイナオレンジの秘密』よりは『アメリカ銃の秘密』の方がいい」とのこと。
人それぞれですなあ。リッパーもそのうちアメリカ銃読まなきゃ。
魔先生が『六色金神殺人事件』を探していた。
DR師匠に貸している本を回収したらまわしますから、またお会いしましょう>魔先生。
魔先生、Kさんと別れ、残り3人でビヤレストランへ。
酒がはいったことで木さんのスイッチが入ったのか、先月までやっていたというバイトのことやら、 投稿用に現在書いている作品の話、過去の創作話などなど、濃い話題が続く。 木さんはサイトを見て抱いていた印象よりもはるかに強烈なキャラクターの持ち主でございました。 知り合いのとある漫画家の悪戯で、単行本の著者近影に写真を使われたーなんてとんでもないエピソードもあるらしい。 ギャルゲーについても熱く語っておりましたし、ミステリな話題では 「浦賀は好きだけど創作ネタがいくつもかぶるんで嫌い」「法月綸太郎と後期クイーン問題」 「氷川透」「『密室ロジック』は駄目」などなどノンストップでほとんど独壇場。 ……いやあ、木さん凄すぎ(笑)
結局お開きになったのが22:30過ぎ。 うぐぅ、昼に始まってこんな時間に帰る羽目になるなんて、ひどいよ祐一君。 27(火)の第2弾も参加予定です。
27(火)に五月オフ会第2弾に参加してきました。まさか平日のオフ会で徹夜コースになるとは…。
参加者の半数が学生とはいえ、勤め人も中にはいるはずなのに一体どうなってるんでしょう?(笑)
参加者はリッパー、DR.メフィスト師匠、久我先生、ルークさん、ゆんたさん、イワサキの近所さん、(略)あんさん、
以下は初参加の 進井さん、さとるさん、さやさん、なずなさん、メニーさん、ネギマさん。計13人の盛況ぶり。
なづなさんは京極ファンサイトをやっている方なんだそうで、歌野の『葉桜の季節に君を想うということ』を持っていて、 DR師匠やさとるさんに「貸してー」とさんざん言われ、「本はいいけどブックカバーだけは返せ」と言っていたのが面白かった。 (本格ミステリマスターズのプレゼント企画で5冊買ったら?貰える京極デザインの特製ブックカバーをつけていた)
メニーさんは学生なのになぜかスーツ姿で登場。おまいは霧舎作品の鳴海先輩か!(笑) ネギマさんは非常にノリのいい方でボケ役の多いメンバーに対して律儀にツッコミをいれてあげるいい人でした。 さやさんはおとなしめなかわいいお嬢さんで、久我先生や先輩さんにいじられていた。 さとるさんはあの「ハイブリッドNo.9」のお方で佐藤友哉ファン。 面白い人で場を賑やかしてくれるのだけど、久我先生やDR師匠と同じく酒乱キャラでした。 リッパーの大事な愛鮫(ぬいぐるみ)をねじったり人に投げつけたり抱きしめたりとさんざん弄んでくれました。 うう、さとるさんにはもうさわらせないもん(泣)
そして、本オフのメインヒロイン、みんなの萌えっ娘、進井さん。 これがまた素晴らしい萌えキャラで、誠実そうな人柄をうかがわせる喋りもかわいいし、 「永世」によせる皆の関心度合いも高く、オフ会の話題の中心になっていました。 女性陣の関心はとくに進井さんのアルバイトに集中していた様子。 さらに3次会のカラオケボックスで進井さんがラルクの歌を熱唱したのですが、これがとんでもなく上手くて 裏声や抑揚を完璧に使いこなしていて、なんだか聞き惚れてしまいますた。ますます萌えです。
ゆんたさんは泡坂を読み始めているんだそう。
殊能をまだ読んでないということで、さとるさん達に「『ハサミ男』は絶対読んでください」と言われていた。
でも、ゆんたさんは横溝ファンらしいので『美濃牛』の方がいいような。
あと、「今日、週刊リアルロボットを買った」と言って見せてくれたのが面白かった。
ルークさんはDR師匠に忘れられていたのがちょっとショックだった様子。
リッパーはなんとか覚えておりましたが、二月のときに比べて髪をだいぶ短くしてますよね?
「『飛蝗の農場』は納得いかない」と言うて本を提供してました。
イワサキの近所さんと(略)あんさんは進井さんの話を興味深そうに聞いておられました。
イワサキの近所さんはちゃんと久我先生から奥田哲也の本は貸してもらったんでしょうか?
2次会ではリッパーは(略)あんさんと進井さんとDR師匠の浦賀好き3人に囲まれてました。
久我先生は相変わらずぐだぐだになっていたので本人あんまり覚えてないでしょうけど、
進井さんにからんでいろいろ困惑させていたことはきちんと記しておかねばなりますまい。
DR師匠はやっぱりオフ会になくてはならない人材です。
平日でも人が集まるというのが判明したので7月とか8月には幹事復活ですね。
まあ、そんなこんなで楽しいオフ会でした。 駅で進井さんと固く握手をして別れる。なんだか最後まで進井さん祭りだったような。
(5/31 加筆)
そういえば、リッパーが「島田荘司1冊も読んだことない」と言ったところ大勢の人に驚かれてしまいました。 「占星術は基本」「読まなきゃ駄目」「ネタ知っていても読め」「面白くなくても読め」「最低」など非難轟々。 ははは、女の子に最低呼ばわりされるようなミステリ者だったんですね。リッパーさんってば。
恒例の本プレゼント大会。 リッパーが提供した本は、『新本格猛虎会の冒険』(→DR師匠)、『アザゼルの鎖』(→さとるさん)、 『虚無への供物』(二月オフでゲットした本、読んだので再放出→???)でした。 次回は何持っていきましょうかね…。 DR師匠から回収した『忘れ雪』はさとるさんに貸し出し(これは返してください)。 それと『六色金神殺人事件』戻ってきましたので魔先生連絡請う。 pon@big.or.jpまで。秋葉原あたりで簡易オフ会でもやりましょう。
今回のオフ会参加者のサイト
久我明さん switching mystery
DR.メフィストさん DR.MEPHISTO MEPHISTO AWARD LABORATORY
進井瑞西さん 永世
さとるさん Hybrid No.9
なづなさん 京極夏彦ニュース
ねぎまさん 妄想狂ルーレット
『阿弥陀ヶ滝の雪密室』 黒田研二 (光文社カッパノベルス)
ふたり探偵シリーズ2作目。恋人の意識に憑依され、1つの身体に2人の人格を持つヒロインの友梨。
恋人が何者かに襲撃され、入院していた子供が誘拐される。それらはシリアルキラーJの仕業なのか?
そして、新興宗教の教祖殺人事件に浮かぶJの影。
タイトルになっているわりには密室というのはおまけ程度でしかなく、作品のメイントリックは別のものになっている。
前作から引き続きのシリアルキラーJの謎に誘拐事件にバラバラ殺人と謎がいくつも平行して仕掛けられていて、
一体どうなっちゃうのかしら〜んという興味を最後まで引っ張って行く力はかなりのもの。
毎度のことながら真相は容易には見破らせてくれなくて、
特に、切断した死体の上半身が運搬中にいつの間にか消えうせ殺害現場や下半身の遺棄現場からはるか離れた場所で発見されるという、
不可解で魅力的な問題の答えには思わず唖然とさせられてしまった。無茶だけどこれは面白い。
あと、ダイイングメッセージには爆笑。え、あれってギャグでしょ?(笑)
『火の鶏』 霞流一 (ハルキノベルス)
今回の霞バカミスのモチーフは鶏。
白い羽根に覆われた部屋で起きた密室殺人。犯人は一体どこへ?。そして第二・第三の不可解な殺人事件が起きて…
鶏うんちくで攻めてくるのかと思いきや、”食”をキーワードに最近の健康食品ブームを作品内にとりこんでおり、意外にも社会派な雰囲気を漂わせている。
とはいっても、それらを過剰に描くことで奇矯な人物および組織を作り出し読者の笑いを誘おうというような作りになっているので、軽快に楽しく読める。
霞作品=バカミスのイメージを裏切らず、トリックのいくつかはアホかーっと声を上げたくなるようなバカなものではあるのだけど、
奇妙な事件をきちんと納得できるかたちで着地させる手腕は見事で、ちゃんと本格ミステリになっている。
特に密室殺人のトリックとそれを成り立たせるための事件の展開のさせ方に感心した。なかなかの逸品。
『死者を起こせ』 フレッド・ヴァルガス (創元推理文庫)
ある朝突然、見知らぬ木が庭に植えられていた。怯える婦人は隣のボロ屋敷に越してきた4人に相談をする。
木の下を掘ったが何も出てこない。そして婦人が失踪し…
悩める主人公マルク、寡黙で気のきくマティアス、
エキセントリックなリュシアン、そして元刑事のヴァンドスレール、と主要な4人のキャラクタはなかなかいい感じ。
変なキャラ好きとしては、全裸好きマティアスと天才と無能が同居したリュシアンの2人がおかしくてしょうがない。
前半なかなか事件や捜査が進まないのが少し退屈なのだけど、失踪した婦人の過去が明らかになってくる後半から俄然面白くなってくる。
冒頭に提示される木の謎や容疑者を二転三転させるあたりが特に面白かった。