クロスレビュー企画  「もえたん 萌える探偵小説」

 第11回お題
   『レンテンローズ』 太田忠司 (富士見ミステリー文庫)

 街角にふと現れる花屋”レンテンローズ”。店に誘われた者には、眼鏡の店員から心を癒すハーブティーがふるまわれる…。 友人が屋上から落ちる瞬間を目撃した少女。 十字架を胸に突きたてられた花嫁。 謎を狩る…アカンサスが見出す事件の真相とは…。 「レンテンローズ」「裁く十字路」2篇が収録された幻想推理譚。

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 らっこ@海獺の読書感想文対策

 太田さんの小説は何冊か読んでて、途中まで狩野君シリーズみたいなのかと思っていましたが結末は思いっきりファンタジーで意外でした。 推理作家らしい太田さんの端的な文章を補うようにつくイラストもよかったです。 花の名前をタイトルにしてるのに、イラスト以外に花らしさを感じるものはなくて終始不気味な雰囲気がついてまわる物語でした。

 
 近田鳶迩@TNM BLOG

 ≪レンテンローズ≫という花屋を中心に展開する幻想ミステリー短編集。 おお、初出は『ドラゴンマガジン』なのか。高校まで読んでました。懐かしー。 元々『新宿少年探偵団』や『3LDK要塞 山崎家』を書いていることもあって、話の展開や文章はこなれたもの。 ただ、『新宿〜』の蘇芳などと比べると、本書のアカンサスとプリムラは“推理の象徴”としての役割しか与えられていない分、ちょっと魅力に欠けます。 富士見ミステリー文庫というレーベルは、推理物としてどうかよりもキャラクター物としてどうかが問われるので、 セールス的にはちょっと辛かったのではないかと余計な心配をしてみたり。 まあ、あくまでミステリとして書かれているということでしょう。 その分、ミステリとしては他の同レーベル作品のどれよりも丁寧でスタンダード。 多くの太田作品がそうであるように、人間なら誰もが持ち合わせている負の感情をメインに据え、癒し系としての側面も交えつつ手堅くまとめています。 個人的には「裁く十字架」の救われきれない微妙な後味が好きかな。思った以上に楽しめました。 シリーズ次作への期待を込めてこれくらいの点数で。

 
 根多加良@くずかごのうわずみ

 作者の太田忠司は傷つくことで成長する少年・少女を主人公をすることが多いような気がする。
 「レンテンローズ」でも主観の少年・少女は自らの誤った選択を悔いる。 そしてレンテンローズの主人に裁かれて、もう一度その選択をやり直す。 でもそのやり直すことは、全てが元通りになるわけじゃなく、やり直す当人は最初の選択で傷つく。 繰り返すためには、自分の間違いを認めなければならない。
 やり直すという選択肢が取られたとき、その選択で傷つかないことはありえない。 でもその傷を思い起す時、そこに太田忠司特有のノスタルジアが表現される。 やり直してみせると誓うときの、過去を変えるときの一抹の寂しさ。 思い出せなくても、思い出せないことの哀愁。
 でも萌えなんでしょうか。 萌えもノスタルジアのようなものを含んでいるけど、太田忠司のとはやっぱり違いがあるのではないかと。 それがなんなのかは良く分らない。 でも作者のサイトに行けば何篇かのショートショートが読めるので、 各個人で行ってよんでみればそれがわかるかもしれませんよ、と宣伝っぽくいってみる。

 
 リッパー@鍵の壊れた部屋で見る夢

 ジュブナイル・ミステリの書き手として定評のある太田忠司氏を迎え、 さらに販促効果としては最高クラスと思しき天広直人・絵を加えた、 まさに富士見ミステリー文庫最強の1冊! …になりそこなった惜しい作品。 さすがにミステリ・プロパーの作家さんらしく、事件の仕掛けと謎解き部分は本格ミステリの枠にしっかりおさまるもの。 ライトノベルを意識したような不思議の花屋”レンテンローズ”に謎狩り悪魔の”アカンサス”といった設定は、 絵の力とあいまって、とても魅力的なものに仕上がっている。アカンサス様とプリムラ様のイラスト最高ー。きゃー素敵ー。 …にも関わらず、まあまあ良作というくらいの印象にしかなってないのは何故。 全体的に後味があまりよくないのが理由の1つなのかも。 ノブさんの素敵なお兄さんぶりとかミユキたんは萌えるんですがのう。
 「レンテンローズ」……思春期の女の子のもつ不安定さが歪な形で事件となって結実してしまうお話。苦い。
 「裁く十字路」……これは本格ミステリとして読ませるためには見取り図が必須じゃなかろうか。 文章だけでは考えるべきポイントが掴めないんじゃよー。ネタはそこそこなんだけどなあ…。 救いがあるように思わせておきながら、実は全然救われてない結末に、愕然とさせられました。

平均 7.0




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