「……強い電波を感じる」
 僕は、電波に流されるまま。
 姉さんの、姉さんの、首筋を――
「アホ臭」
 自分のバカげた行動も良い加減嫌になってくる。目の前に姉がいると、どうしてこう、いつも。
「――僕は、空回りするんだろ」
 溜息をついて、僕は姉さんを背負った。
「よっ、と……」
 上手いこと背負えたと思った瞬間。

 ぽよんっ

「……!?」
 擬音にして表すなら、そんな感じだった。
「……でかい」
 思わず呟く程、この感触は相当でかい。夏だから薄着なせいもあるのだろうけど、恐らくそんじょそこいらの乳デカアイドルなんざ問題外だ。
「……こほん」
 気をとりなおし、廊下に出る。意識するな、意識するな。これは集中力の問題だ。意識しなければきっと大丈夫だ。そうだ集中だ勉強の時みたいに集中だ集中だ集中だ集中――

 ふにっ

 廊下に出て一歩を踏み出した時、僕は姉さんを少し持ちかえた。落ちそうだったので、上に持ち上げたのだけど。
「……柔らかい」
 何故か僕はとてもエロい事をしている気がする。背負うための手が姉さんの尻なんぞを撫でてしまっている気がする。
「……違う違う違う違う!」
 もう一度持ち変える。さー、今度こそちゃんと姉さんの部屋に……。大丈夫だ、すぐ隣だ落ち着け僕。
 ふーふーと息をつき、僕はいつもの調子を取り戻す。……ぁぁもぅ。
「ぴざまん」
 その時、耳元でそんな呟きが聞こえた。この季節に何ホザいてどんな夢見てんだこの脳味噌ぽけぽえさんはとか思った矢先。

「かぷっ」
「#$ДΘ3ゞ(゚∀゚)?!」
 
 い、一瞬意識が飛んだぞヲイ。
 ヘンテコな擬音(っていうか声だろ)と共に。首筋にかじりついてくれて。
胸尻だけでも色々ヤヴァイのになんつー事かましてくれますかこの人は……思わず落とす所だった。
「ふむ〜」
「ちょっ、姉さんやめてくれ、甘噛みしないであぁもぅ!」
 こうして、姉さんの部屋まで、僕の大冒険は続くのだった。

「……この人は」
 ようやくベッドに姉さんを下ろし、僕は脇に腰掛け。溜息をつく。
「幸せそうに寝息立ててさ……とんだ眠り姫だよ」
「ったく」
 そんな風に(寝てる間にですら)振り回されても、風邪ひくといけないので一応タオルケットをかけておく。
「……なんか、僕」
 自信無くすなぁ。
 この人の前だと、どうして色々崩れるんだろ。
「…………」
 しばらく、姉さんの顔を眺める。安らかな寝顔。
 ふと気がつくと僕は、無意識の内に甲で姉さんの頬を撫でて垂れた髪を弄んでいた。
 そして、
「ん……?」
 姉さんが、目を覚ました。
「起きた?」
「? ???」
 僕と自分の姿を見て、姉さんは多量の「?」を頭上に浮かべた。
「あれ? ぴざまん星人とおしろもなかは?」
「……どんな夢ですかそれ」
 僕は苦笑を漏らした。

「んー……。あれ、私きみのへやに……」
「いたから連れてきました」
 そう説明すると。
「……そっか」
 姉さんは……おいおいおいおい、タオルケットの端を両手できゅっと握り緊めて、自分の顔までもってくる。つまり顔を隠したのだろうか。
「……わたし、へんじゃなか」
「超極曲解していらっしゃる可能性があるので説明を一応させて頂きますが僕は姉さんの裸体を見る及び服装を脱がす行為等をしておりません」
 そりゃ、確かに……体に触れたかもしれないけど事故だ事故。
 むしろ僕の方が首筋噛まれるというスゲェ素敵行為受けたけど。……噛まれた所唾で濡れてる……。
 姉さんは僕の解説の後、首をかしげ。そして、僕の目を覗き込んで行った。
「着たままの方が、好きなの?」
 ……だから。勘弁してくださいって言ってるでしょうが姉さん。

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