吸血鬼(バンパイヤ) 美夕(ミユ)

「海がさらった宝石」


登場人物

美夕 ・・・吸血鬼(バンパイヤ)闇の監視者(女)

ラヴァ ・・・美夕を吸血鬼に目覚めさせた。美夕といつも一緒にいる(男)

北見匡(きたみきょう) ・・・引っ越してきた学生(男)

水波(みなみ) ・・・水族館の館長、実はかくれ神魔(男)

水波マリ(みなみまり) ・・・館長の娘。リマとは双子の姉妹

水波リマ(みなみりま) ・・・館長の娘。マリとは双子の姉妹。人魚。

匡の父

科学の先生

女子生徒1

女子生徒2

ナレーション


月明かりに浮かび上がる影・・・

美夕N   暗く冷たい闇(よる)の次元(せかい)に神魔(かれ)らは眠っている・・・
静かな時(とき)もない闇(よる)の空間(くに)・・・
人間(ひと)の乱れた精神(こころ)が神魔(かれ)らを招き、闇(やみ)からはぐれ人間界(そこ)にまぎれる・・・
はぐれ出(いで)し日本神魔(にほんしんま)を狩り、そして・・・かれらの眠りの監視者・・・

・・・美夕・・・吸血鬼 美夕(バンパイヤ ミユ)

美夕   「(くすっ)こんばんは、望むなら永遠をあげる・・・
あなたの・・・その血と交換に・・・
苦しみもないあなただけの永遠の空間(くに)・・・
ずうっとあなただけ・・・
(くすくす)ね?あたたかいでしょ?もうなにもいらないの・・・
これで安心・・・
大丈夫・・・さびしくないから・・・ほんとだよ、一人がいいの。
ここは一人がいっぱい・・・
(くす)だからぁ、平気だって言ってるのに、ラヴァったらへんなの・・・そろそろいかなくちゃ!
まいごさんの神魔がまってるもんっ」

目の前にまぁるい空間が浮かび上がる。
そこには一人の男子学生が映っている。

美夕   「彼・・・転校生だって3組の子がいってた。2週間前に来たって・・・でも・・・」

ラヴァ    「・・・」

美夕    「気をつけないとまた消えちゃう・・・狙われそう・・・」

ラヴァ   「そうだね・・・きれいな子だもん・・・」

 

美夕    「2ヶ月前にもテニス部の・・・あの先輩もかっこよかったよね〜
       でもなんの霊だろうね?男ばっか誘っちゃって・・・
       やっぱ霊なの?」

 

ラヴァ   「でしょ−?」

 

北見    「あ・・・」

 

北見あるものをみてはっとする・・・それはとても綺麗な女の子だった。

 

女子生徒1 「マリーっいくよ−!」

 

マリ      「う・・・うん」

 

北見     「あ・・・」

 

友人の元に走っていくマリ。

 

北見     「海の・・・宝石・・・」

 

遡ること2週間前・・・
引っ越しの途中・・・眼下に広がる景色・・・
そして海に面して水族館がある。

 

父   「いい所じゃないか!ほらお前も海の空気を吸ってみなさい。
潮の香りがいいぞ!」

 

北見  「何でこんな田舎に引っ越すかね〜」

 

車から降りることなくちょっと機嫌が悪い北見。

 

父   「何言ってる!お前は海がすきじゃないか。」

 

北見 「まぁね

あそこの水族館だけじゃん!近代的できれいなの」

 

父   「あぁ・・・ここは水害がしょっちゅうでね、また立て替えたらしい」

 

北見 「ふーん」

 

父   「そうだ!そうだ!お前が小さい頃はよく水族館に行ったな〜」

 

北見  「・・・」


北見その時、なぜかその水族館が気になった。そして頻繁に行くようになる。
人気がなく、自分の足音だけが館内に響く・・・


コツン・・・コツン・・・


水波  「・・・君(きみ)・・・魚がすきなのですか?
      水族館(ここ)へよく来るね。一週間通いづめだ
      遠い昔の私を見るようだ」

振り向くと、そこには眼鏡をかけ、綺麗な顔立ちの紳士的な男性が立っていた

 

北見   「遠い昔・・・って・・・あなたそんなに老けてないよ」

 

水波   「くすっ・・・そうですか?・・・
あ!私、館長の水波(みなみ)です」

 

北見   「・・どうも・・・^^;」

 

水波   「あなたの目はきれいですね」

 

北見   「?」

 

水波近くにあるいすに座り話し始める

 

水波   「最近こちらに越してきたんですか?」

 

北見   「え・・・あぁ・・・そうです」

 

水波   「近所の学校から実習で来る以外、
ここに来る人がほとんどないのでね。
こうやって従業員以外の人とお話するのは久しぶりです。
まぁ・・・人間が苦手なのでいいのですが・・・」

 

北見   「はぁ・・・」

 

水波   「魚たちがうらやましいですよ。
水は騒音をさえぎってくれるし・・・それに・・・」

 

北見   「それに?」

 

水波   「時間を忘れさせてくれる。できれば・・・
私も水にたゆっていたいのですがねぇ。」

 

北見   「おれも・・・人間は死んだら空にもぼっていくって言うけど、
おれは水がいい。
この前死んじゃった母さんの骨も、海にまいてやりたかった・・・」

 

水波   「気に入ったよ、君のこと。こちらにおいで、君の目は美しい
だから・・・あの子を見る資格がある!彼女は海の宝石だ」

 

水波の案内で水族館の奥に入っていく・・・目の前に大きな水槽が出現する

 

北見    「・・・?」

 

水槽の中には綺麗な女の子が優雅に泳いでいた。足の代わりにひれがついている

 

北見    「人・・・魚?(にんぎょ)」

北見    「これ本物?生きてる?」

 

そっと水槽に手を伸ばす・・・
どきっ!水槽の彼女と目が合いどきっとする男子生徒。

 

北見    「宝・・・石。 海の宝石・・・」

 

水波    「その宝石は見た者を虜にする・・・
人魚の肉を食べると永遠が手にはいるという・・・
人魚の心を手に入れれば・・・どうなるんだろうね?」


北見    「・・・。」


水波    「この子は・・・私の・・・娘だよ」


北見    「む・・・すめ?」


水波    「君は特別だよ。彼女(リマ)に会いたければいつでもおいで。
        私は君のこと気に入ったのでね」

 

北見N   夢か幻か・・・よく分からない・・・
でも海の宝石は水族館にあるし・・・
俺は彼女に会いに来る・・・だって・・・会いたいから・・・
宝石は世の女性を虜にするらしいけど、この宝石は俺を虜にした・・・
あぁ・・・俺も水の生物になりたい

 

学校の教室(2−2組の前)

 

北見 今日廊下であったあの子が気になって探すことにした・・・
なぜなら・・・彼女は「海の宝石」によく似ていたからだ。

 

北見    「あ!ちょっと待って!上履きの色がえんじだったから
2年生だと思うんだけど
髪の短いくせ毛の・・・君らのクラスにいない?・・・かなり目立つ子なんだけど・・・」


女子生徒2「う〜ん・・・そんな子居たかな?」


美夕    「私・・・知ってる」


女子生徒2「美夕・・・?」


北見    「み・・・ゆ・?」


美夕    「うん、私、美夕。あなたの探している女の子知ってるよ」


女子生徒2「じゃ!私たちは・・・」(教室から出ていく)


北見    「で、彼女の名前は?クラスは?・・・」

 

美夕    「だ−めっ」(ちょっとおどけたように・・・)

 

美夕    「あの子はダメ!・・・永遠がほしければ・・・私があげる」

 

北見    (からかいやがって・・・)

 

美夕    「(くすくす)4組だよ」

 

北見    「え!?・・・」

 

美夕    「今は化学の実験室にいるわ・・・
いかない方がいいと思うけど」

 

化学実験室
先生と話しているマリがいる・・・

 

マリ    「ねぇ?今度の日曜日水族館に行かない?」


先生    「それってデートの誘いかぃ?」


マリ    「やだ、先生ったら(笑)」


先生    「こら、机の上に座るなんて行儀悪いぞ」


マリ    「いゃ〜ん、意外とうるさい〜」


先生   「何だ?彼氏にでもふられたか?」


マリ    「べっつに〜」


先生   「だったら若い者同士で行きなさい。
      それに・・・日曜日私は用事がある
      皆さんご存じの婚約者とのデートだ」

 

マリ    「あっそ。私だって若い方がいいんだけど・・・だって・・・
       誰も水族館なんて行きたがらないんだもん・・・」

 

北見    「俺がいく!」

 

マリ     「・・・!?あ・・・今朝の・・・」

 

北見    「2週間前越してきたばかりの3年3組北見匡(きたみきょう)
水族館大好き男だから、行きたい!・・・君と一緒に」

 

マリ     「は?」

 

マリ突然の出来事に顔が赤くなる

 

先生    「よかったな水波、私は教員室に帰るから・・・」

 

北見    「きみさぁ、あの先生の事好きなのか?」

 

マリ    「はぁ?・・・いぇ・・・あの・・・そういうわけでは・・・」

 

北見    「ねぇ?君海の宝石って知ってるよね?」

 

マリ    「えっ!?」

 

ちょっとおどおどしたように・・・

 

マリ    「さぁ・・・何のことか分かんない。
海の宝石ってアクアマリンの事でもいうの?」

 

二人の会話を近くの木に座ってみているラヴァ

 

北見    「何だよ!ばっくれんなよ。お前・・・あの水族館のあの・・・」

 

マリ    「私も帰るわ」

 

北見    「待てよ!浜辺の水族館の・・・あれ君にそっくりなんだよ」

 

マリ    「いや・・・何のこと?何行ってるの?離して!!いたい!」

 

勢いでマリの腕をつかむ北見・・・

 

北見    「あっ・・・ごめん、君・・・いや・・・すまない、
俺どうかしてるな」

 

マリ    「海の宝石って・・・」

 

北見    「?」

 

マリ    「誰から聞いたの?」

 

北見    「あぁ・・・水族館の館長・・・」

 

マリ    「そう・・・知りたいな、その宝石の事」

 

教室
ラヴァと話している美夕

 

美夕    「・・・うん 分かったラヴァ・・・ふぅん・・・海の宝石ね・・・」

 

ちょっと悲しそうな美夕を見て頭を優しくなでるラヴァ

 

美夕    「や−だ、ラヴァなぐさめてくれてるの?
そりゃちょっと複雑だけど・・・」

 

ラヴァ   「きれいな子だったしね」

 

美夕    「でも彼をマークしていれば神魔に出会えそうね。
前に逃がしちゃった神魔(やつ)今度は逃がさないもの」

 

海岸を歩くマリと北見

北見の少し前をはだしで歩くマリちょっとうかれている・・・
マリ振りむく

 

マリ    「いやね・・・さっきからじっと見てまだ疑っているの?」

 

北見    「あ!ごめん・・・つい・・・その・・・」

 

マリ    「この足はちゃんとほんものよ」

 

制服のスカートをちょっと上げて北見に見せる
ちょっと顔を赤らめる北見

 

北見    「いや・・・わるい」

 

マリ    「うふふ・・・さわってもいいよ、確かめてみれば?
自分の手で・・・」

 

北見    「い・・・いいよ・・・もう・・・」

 

マリ    「ねぇ・・・その・・・水族館で見たっていう人魚・・・

       その人魚がもし・・・あなたを欲しいっていったら・・どうする?」

 

北見    「あげるさ!当然だろ?」

 

マリ    「じゃあ・・・私ここで、またね」

 

北見    「あ・・・送るよ」

 

マリ    「いいの。今日知り合ったばかりじゃない!」

 

そういうと彼女は走った・・・

 

 

彼女の家・・・なぜか水族館のドアを開ける

 

マリ    「ただいま」

 

水波    「お帰り、遅かったね」

 

マリ    「・・・うん」

 

水波    「彼・・・だね?マリ・・・久しぶりにおいしそうな少年だ・・・

        リマもね、嬉しいって・・・」

 

マリ    「そっかな?」

 

水波    「おや・・・おかしな事いうね・・・マリ、お前達は一つなのに・・・」

 

マリ    「そうね、私の瞳を通してリマは外の世界と触れる

 

リマ    「い−なぁ・・・マリ・・・外は自由がいっぱい・・・」

 

マリ    「どうして私には2本の足があるの?」

 

水波    「それは私の娘だからね。」

 

リマ    「どうして私には1つの尾しかないの?」

 

水波    「彼女の娘だからね。」

 

マリ    「私たちのお母さまはどこ?」

 

水波    「泡となって海に消えた、2つの真珠を残してね・・・
水槽の中、小さな真珠から小さな鼓動が・・・聞こえる・・・」

 

マリ    「一つはマリ(わたし)」

 

リマ    「一つはリマ(わたし)」

 

水波   「そう・・・私たちの娘・・・早く大人におなり、
私に追いついておくれ、そうしたら・・・遠くへ行こう」

 

海の見渡せる神社の鳥居に座っている美夕、風で服の裾が揺れている・・・

 

美夕   「今日の風は強い・・・明日あたりまた海があばれるのかも・・・」

 

ラヴァ  「吹き飛ばされてしまいそうです・・・美夕」

 

美夕   「平気こんなの、それよりラヴァ思い出さない?
こんな夜だったよね
神魔(あいつ)とこの浜辺でおっかけっこしたのって・・・
今度はちゃんと闇に帰さないとね」

 

ラヴァ  「やはり・・・あの水族館ですか」

 

美夕   「ねぇラヴァ・・・のど乾いちゃった・・・少し・・・(血を)ちょうだい」

 

美夕   「せっかくきれいな子見つけたのに・・・
あの子くれそうにないんだもん」

 

ラヴァ  「どうぞ・・・」

 

美夕   「(うふっ)ラヴァ・・・大好き」

 

朝の学校・・・
くつ箱にそっと手紙をいれるマリ。

 

美夕   「おはよう、水波さん、早いのね・・・」

 

マリ    「あの・・・どなた?何故あたしの名前・・・」

 

美夕   「だって有名人・・・あなた男の子にもてるんだもの。私・・・美夕」

 

マリ    「はぁ?」

 

美夕   「くつ箱レターなんて・・・随分古典的」

 

顔を赤らめるマリ

 

マリ    「やだっ!見てたの?」

 

美夕   「あなたの誘いなら・・・彼断るわけないのに・・・
     何で直接あなたの口から誘わないの?いつもみたいに・・・
     手紙なんてらしくないわ」

 

美夕   「彼と面と向かうと気が揺らぐ?本気になると・・・いけない?」

 

マリ    「な・・・何?それ、どういう意味かしら?
気分で手紙書きたくなっただけよっ」

 

美夕   「ふぅん・・・デートはやっぱり水族館?」

 

マリ    「ふん!あなたには関係ないでしょ!」

 

憤慨し立ち去るマリ

 

放課後・・・水族館に向かう北見とマリ
ファーストフードの前を通る。

 

マリ    「・・・おなか空かない?」

 

北見   「あ−まぁね・・・」

 

マリ    「ちょっと・・・寄ってこうよ。水族館のへんいい店ないし・・・」

 

北見   「いいけど・・・時間・・・しまっちゃうぜ、水族館」

 

マリ    「大丈夫よ!館長さんよく知っているから、
お願いすればいいの」

 

北見   「そういえば・・・あの人も『ミナミ』って言ってたな。
もしかして親戚とか?」

 

マリちょっと黙って・・・

 

マリ    「・・・あの人・・・お父さんなの」

 

北見   「え?」

 

マリ気分を変えるように明るくお店に向かいながら・・・

 

マリ    「わたしセットにしよ〜」

 

北見   (おとうさん?)

 

海の宝石を見せてもたっら時の回想シーン・・・

 

水波N  この子は・・・私の娘だよ・・・
   君は・・・特別だよ・・・彼女(リマ)に会いたければ・・・
   いつでもおいで・・・

 

マリ    「ねー北見せんぱい!何にします?」

 

北見   「はっ!・・・」


マリ    「?」


北見   「リマ・・・館長がそう呼んでいた・・・あれ、やっぱり君?」


マリ    「・・・知らない・・・リマって・・・誰?
       どうして私といるのにほかの女の名前なんか・・・」

 

北見   「違うよ!海の宝石・・・あれは君に似すぎていて・・・」

 

マリ    「また、例の人魚?もういい!!」

 

北見    「水波!」

 

マリN   どうしよう・・・どうしたらいいの?
       私へんだわ・・・彼と面と向かうと気がゆらぐ?
       本気になると・・・いけないの?

       そうよいけないの。・・・苦しい・・・
外にいるのが苦しいなんて、まるでリマみたい・・・

 

水族館(家)に帰り着くマリ

 

水波   「おかえり、マリ。遅かったね・・・どうして一人なんだぃ?」

 

マリ    「!」

 

水波   「私たちには彼は必要だろう?・・・
新しい血若く健康な力あふれる血・・・
まぁ、お前が連れてこなくても彼は来るとは思うが・・・」

 

マリ    「こないわ!!!・・・こないもの!」

 

水波   「マリ・・・『来て欲しくない』・・・じゃないのか?」

 

マリ    「そ・・・そんなんじゃないわ!ここはもう引っ越した方がいいのよ、

       今日だってへんな女の子が妙なこというし・・・」

 

水波   「へんな・・・女の子?」

 

マリ   「なにか気づかれているかもしれない・・・
行方不明の男の子たちの事・・・

       学校でも噂になっているし・・・」

 

水波   「マリ・・・その女の子って・・・」

 

美夕   「・・・わたしよ・・・美夕・・・」

 

水波   「み・・・ゆ・・・」

 

美夕   「(くすくす)変わってないわね・・・相変わらすステキよあなた。
       でも・・・今回は逃がしたりしない・・・」

マリ    「みゆ・・・って・・・何なの?お父さん??」

 

美夕   「吸血鬼(バンパイヤ)・・・闇からはぐれた神魔を狩るの。ね?
神魔パパ?」

 

マリ    「はぐれ・・・しんま??」

 

美夕   「ずーっと前にね、彼には逃げられちゃったの。
きれいな人魚がね・・・
邪魔をするんだもん・・・彼女の泡が彼を包み込んで海へさらったの・・・」


マリ    「人・・・魚・・・?・・・お母さん」

 

リマN  あなたの瞳を通して・・・私は外の世界と触れる事が出来る・・・
ステキね外は自由がいっぱい・・・
ねぇ・・・時々広がる闇はなぁに?あなたの中が真っ黒になるの

 

水波N  神魔界だ・・・暗くて冷たい闇(よる)の空間(せかい)

 

リマN  暗闇は・・・こわいわ・・・

 

水波N  あぁ・・・今夜の海は嵐だ

 

ラヴァ  「悪いですね・・・少年。しばらくおやすみ・・・
と美夕がいっていたのでね」

 

ラヴァによって眠らされた北見

 

 

水波   「おいで!マリ!」

 

マリの手を強引に引っ張り逃げ出す水波

 

マリ    「お父さん!???」

 

美夕   「逃げても無駄なのに・・・今度は決して・・・
逃がさないって言ったよね」

 

バン!!!

 

リマの水槽のある部屋のドアを勢いよく開ける水波突然の出来事におびえるリマ

 

リマ    「!?」

 

水波   「おびえなくていい、この水槽は海につながっている、
その扉を開くから海へ行きなさい!」

 

リマ    「おとうさん!!」

 

美夕   「その必要はないと思うわ。今夜の海は風と大ゲンカよ、
昨日より凄いみたい
ちゃんとこの水族館ごと海へと連れていってくれるわ
それに安心して、私が狩るのははぐれた神魔だけ・・・二人には関係ないわ」

 

水波   「あぁ・・・そうだったね」

 

マリ    「やだっ何言ってるの?おとうさん。私も『しんま』でしょ?
だって・・・おとうさんの子供だもの

       リマは人魚になったから・・・違うかもしれないけど・・・ 

       私には足が・・・おとうさんと同じ2本の足・・・」

 

美夕   「マリ・・・あなたとリマは・・・まだ・・・覚醒(めざめ)てないの。
いずれ覚醒(めざめ)ちゃうかもしれないけどね。
あなたが今まで誘い込んだ人間はお父さんが必要としていたの。つまり・・・
あなたを利用して糧(かて)を得ていた、そして・・・あなた達の覚醒(めざめ)を待っていた」
私のお母さんは、ずっと・・・覚醒(めざめ)ないよう願っていたわ
私たちの中に眠る・・・監視者の血が・・・
はぐれ神魔よ・・・『闇へ!!!』」

 

マリ    「おとうさん!!」

 

リマ    「おとうさん!!!」

 

水波   「もう・・・いいんだよ、マリ・・・リマ、
監視者の炎からは逃げられない・・・」

 

美夕が放った炎に全身を包み込まれた水波・・・

 

美夕   「ラヴァ・・・二人をお願い」

 

強風を高波が水族館を飲み込んでいく・・・

 

美夕N  さらって・・・すべてさらっていって・・・亡骸(なきがら)も・・・
海の宝石も・・・

嵐が去り海の見える高台から水族館があったと思われる海岸を見ている北見
水族館の残骸だけが無造作に残っている・・・

 

女子生徒1 「また流されちゃったの?あの水族館」


女子生徒2 「すごい風だったもんね〜あの夜は」


女子生徒1 「そういえば・・・4組の水波さんいつ引っ越しちゃったの?」


女子生徒2 「あぁ・・・そういえば・・・」

 

北見N   違うさ!引っ越したんじゃない。
俺は永遠なんていらないけど・・・
人魚の心は手に入れたかった・・・もしそう出来ていたら・・・
海は彼女をさらわずにいてくれただろうか・・・
海に帰ったんだ・・・だって・・・
彼女は海の宝石だったんだから・・・

 

 

吸血鬼美夕 「海がさらった宝石」 完