| ガーネットは、目を開ける。視界がかすんでよく見えないが、ピントを合わせるように数回瞬きをした。今自分がいる場所がどこだか、ガーネットには分からなかった。 なぜなら、ガウンと名乗る、魔獣族に襲われた場所ではなかったからだ。 真実 霧が立ち込めていて、はたしてここはどこなのか。 ガーネットの名を呼ぶ声が聞こえた。ガーネットには聞き覚えのない声だった。 誰かが、ガーネットのそばに近づく気配がしたが、誰だかよく見えない。 「どこなんだよ。全く、さっきからずっとわけの分からないことばっかり。」 そう呟いて、ガーネットはその場に座り込んだ。すると、ガーネットは肩を後ろから二回叩かれた。 振り向くと、なんか、教科書か、肖像画で見たことがある顔の女だった。教科書とか、肖像画に描かれるくらいであるから、かなりの有名人だろうが、授業はまじめに聞いていなかったので、誰だか覚えていない。 ガーネットと同じ髪と目の色で、肩より少し下まで伸ばした髪。年齢は、30はとっくに超えているだろうが、魔法使いの場合、若作りをしている場合が多い。王族かもしれないが、ドレスを着ていた。 「やっぱり、ガーネットだわ。」 正面からがっちりと、両肩をつかまれた。 「あの、あなたは?」 おそるおそる名前を尋ねた。 「あら、忘れてたわ。私の名前を知らないと?」 「はい。」 「単刀直入に言うわね。私はアメシスト・ナウンディア。」 同じ苗字を持つ者にどう反応すれば分からなかった。 「・・・。ナウンディア?奇遇ですね。私もナウンディアなんですよ苗字が。」 笑いながらガーネットは言った 「あなた、分からないのね。それでも。この国の女王であって、私はあなたの母親です。ガーネット、あなたは王女です。」 アメシストは呆れながら言った。 「女王?私の母親?ってことは・・・。」 と思った瞬間、へらへら笑っていたガーネットの顔が引きつった。 「まぁ、場所が場所だから、信じてはもらえないとは思うんだけど。」 「じゃぁ、女王様、ここがどこだか分かるんですね。」 「ええ、もちろん。ここは、あなたの意識の中。私の残った魔力で、あなたの意識の中にもぐりこんだんだけど。」 「意識?潜り込む?」 ますます、ガーネットにはわけが分からなくなっていた。 「あなたに会話を交わす機会はもうないわ。本当に無念だけど。」 「残った魔力って、まさか、もう。」 「あなたが考えたとおり、私の死期がもうすぐそこに迫っているの。」 「死ぬんなら、今になってそんな魔力を使うことないんじゃ・・・。また元気になったときに私の意識の中に潜り込んだらいいんじゃないですか。」 「そうしたいけど、そんなことができない。もう二度と目が覚めることも話すこともできない体なのよ。」 アメシストの目から涙がこぼれた。 「私は、あなたを孤児にしてしまった。孤児にしてしまうのは仕方がなかった。王女のあなたを隠すために、孤児と言う名の煤をつけた。孤児にしてしまったあなたに償わなければならないの。」 「?」 「王位継承者としての権利を行使させること。これが私のガーネットへの償い。」 ガーネットはアメシストの手を両手で握った。 アメシストは、ガーネットに微笑みかけて、 「ということで、あなたは王女なの。王位を継ぐ権利があなたにはあるの。だから、王宮に行ってね。話しは通じるから。」 と言う。 「女王様。いや、お母さん!あれは、孤児という名の煤じゃないです。償いなんていわないで。」 ガーネットが言い終えた頃には、アメシストは消えていた。 ガーネットが気が付くと、何処かの民家の天井が見えた。近くからは金属を叩く音が聞こえた。 窓の外は、青空が広がっており、遠くには、大きな建物が見えた。 いつの間にか、金属音はやんでいて、部屋の扉が開いた。 「気がついたか。」 この家の主なのか、頭二つ分背が小さい少し年が行った男が言った。 「あの、おじさん。ここはどこなんですか?」 「あぁ、ここか。私の家だよ。」 「そうじゃなくって、この街!!」 「城下町だよ。向こうに見える大きな建物が王宮だよ。今、特別警戒中だの何だのって、結界が城下町と、城に張られているはずだよ。」 城下町と聞いて、すかさず、 「おじさん!!王宮に連れてって!!」 と頼んだ。 「それより、君は何者だね。ナウンディア荒野で倒れていたけど。」 「あ、私はガーネット・ナウンディアです。荒野で、魔獣族に襲われて、意識を失って気がついたらここに。」 男の顔色が変わった。表情も少々引きつっているように見える。 「そんなに、王城へ行く用事があるのなら連れて行こうじゃないか。ちょっと待っておきなさい。」 男は急いで身支度を始めた。 |