12月18日
あいつは危険性ということについてどれほど理解しているのだろうか?
俺は時々疑いたくなる。
今日、一人の怪しげなものを撃った。そいつは偽装の下に、人を殺すことにしか使わないと思われる道具をいくつも隠し持っていた。
もう、敵に居場所を知られているのだ。
俺でも、守るには限界がある。
人間一人が守る力など微々たるものだ。世界は残念ながら、壊し攻撃するほうが簡単にできている。
俺はいつまで守ってやれるのだろう。俺のたった一人の親友を。
12月19日
あいつは死を覚悟している。
いや、生きようという意思さえないのではないか?
いや、そもそもあいつを助け出したあの日から、少なくともあいつの目は生きていなかった。死んでしまっていた。
俺は、俺のしたことを間違っているとは思っていない。
しかし、あいつは心の中で俺を拒絶していることを俺は知っている。
あいつは、死ぬつもりだ、
生き返ったのは、死ぬためだ。
俺は何ができるのだろうか?
12月20日
嫉妬している、などと言ったらあいつは笑うだろうか?
怒る、ことはないだろう。あいつは俺と違って、自分を客観的に見れるやつだ。
だからこそ、自分でどれだけ可笑しいことをやっているか、分かっているはずだ。
それでも俺はあいつに言わずにはいられない。
今日も、そうだった。
嫉妬、と言えばあいつはどうするだろう?
きっとあいつは今日のように笑っているだけなのだろう。
12月21日
いっそ殺してしまえば楽になるだろう。
それでも俺は何もできない。
それがあいつのためになると分かっていても。
12月22日
友情について。
俺はそんな簡単なことが分からない。
子供のときから友人などいなかった俺にとって、分かるはずがない。
――そんなことは言い訳なのだと分かっているが。
あいつは、死のうとしている。
俺は止めるつもりだった。
俺が止めようと止めまいと、どちらにせよあいつは俺の前からいなくなる。
止めても、俺を拒絶したあいつは連中に殺される。
結局あいつは殺される。
俺に何ができる?
俺があいつに。
俺は、止めたいのに。
俺は。
12月23日
あいつから一枚のCDを渡された。
「俺が死んだら彼女に渡してくれ」
そう言うと、あいつは満足げに笑った。
その笑顔は、まるで俺に「邪魔はしないでくれ」と言っているようだった。
俺は、どうすればいいのだ?
おれはあいつを、失いたくない。
12月24日
喫茶店であいつは俺に言った。
「明日僕は死ぬ」
それから。
「すまない」
一言だけ、あいつは言って。
笑った。
友達に生きてほしいと願うのは過ちなのだろうか?
友達の望むようにさせてやるほうがいいのだろうか?
誰も教えてくれなかった。
もちろん、あいつも。
12月25日
あいつは、死んだ。
俺はあいつの意志に従って行動しただけだった。
彼女の服はあいつの血で真赤に染まっていた。
「メリークリスマス」
俺が渡した、あいつが自分の声を入れたCDが流れた。
半ば放心して聞く彼女はプレゼントを忘れたサンタクロースのようにも見えた。
全てが流れ終わった後、彼女は声もなく泣いていた。
「どうすればいいの?」
彼女は俺に聞く。
きっと彼女も俺と似たようなことを考えているのだろう。
だから、俺は、自分の考えとは逆のことを口走った。
「おまえが泣くことがあいつへの最高のプレゼントだ」
結局。
あいつは死んだんだ。
12月26日
あいつは海に眠ることを望んでいた。
俺はあいつの言った通りに海に沈めた。
これがあいつにしてやれる、せめてものこと。
あいつへの、最後の礼。
12月27日
あの女は今ごろどうしているのだろう。
あいつが伝えたかったことを分かってやったのだろうか。
俺はこれからどう生きていけばいい?
俺は今、あの女に会いたい。
あって、どうするのだろう。
少なくとも、もう殺意は消えている。一度殺したものをもう一度殺す気はないし、何よりあれはあいつによって殺されている。
俺は生き返るのだろうか。
あの女はどうだろう。
それを教えてくれるものはいない。
あの女はもう答えを見つけただろうか。
俺は、今、何も持っていない。