砂時計
−刹那という一瞬の闇に埋没した自我を見る―



時間は決して止まらない
振り返ることもないだろう
刻まれる秒針
目を閉じる
その時にすべては消滅するかもしれない
見開いた瞳には何も映らない
自分の実体さえ捉えられない
あるいはその瞬間にすべてが始まるのかもしれない
まばゆい光に戸惑いつつ開いた眼に
突き刺さる鮮烈な光景
それは救いの世界か、破滅の世界か
わからない ワカラナイ
ただそこには何かが広がる
そして創世記は語り継がれる

目を閉じる
その刹那 散りゆく命は泡沫
一瞬の盲目 訪れた悲しみに
抗うことのできない運命を見つける
飛び散った幼児の体に唖然とする自分
その刹那 僕と君を隔てたものは何なのか
時という波の飛沫は残酷なまでに冷たいものだ
散りゆく命は泡沫

朝目覚め
昨日と同じ一日が広がることはない
決して同じ一日は繰り返されないだろう
連なる輪 そして揺れる螺旋 
光はやがて闇を迎え
民はまた光が訪れたことに感謝する
その刹那 闇に埋没する螺旋の崩壊は訪れるのか

老婆を見た
ゆっくり腰を下ろし
時計を見る仕草
自分の脈を取る老婆を想像し
重ねあわす
生の確認
時の流れを感じ取ること
自分の鼓動を確かめること
生きている証
刻まれる時 その刹那動く秒針に
削られる生命 
その刹那に脈打つ心臓
生きている 生きている
その刹那は生きていた
その直後はまだわからない
一瞬先に訪れるかもしれない 螺旋の崩壊プログラム
その生命はいつか終わるだろう 溶け出す氷は止められない

滴る雨の雫は水たまりに拡がる波紋に
生命はやがて記憶に…
その存在の残す波紋は消え去るだろう
それでいい それでいい
やがて悲しみも忘れられる

刹那にすべて感応し、充足は訪れる
砂時計に埋没するボクは落下する砂の重みを知っている