母なる罪びと
― memory of sisterM ―


美しいその少女
あまりに気高い微笑みに
気後れする僕がいる
彼女の放つその光は
闇夜になれた僕には強すぎた
光の源は彼女の腕の中
あまりに強いその光に
僕は暗闇を求めていた

そのすべてを見通す眼差しは
僕を絶望へと駆り立てる
彼女の求める理想には
僕は必要でなかった

穢れし者を排除するその理想
まとわりつくのは邪念の主
すべてのものが醜すぎた
崇高なものは穢れとの表裏をなす
悲しき現実に彼女は光を照らす
光あるとこ影はできる
陰と陽避けられぬその存在


少女の光は同時に強い闇を生み出した
救いは同時に絶望で
すべては希望ではなく悪夢だった


そんな現実に生きるのはあまりにつらい
善があるから悪があるのか
悪があるから善があるのか
どちらもさほど変わらない
正義も悪魔も変わりない

誰かが愛されると同時に誰かは憎まれる

光あるとこ影はあり
少女の理想は淀みなく
小川の清流のごとく澄んでいた
嵐のあと濁流と化す小川
邪念に囚われた人が知るその理想
変わりない

犯罪者マリア 犯罪者マリア 彼女は泣いていた
その瞳に湛えた涙は
美しい彼女の顔の赤い流れとなる
悲しげな表情で見つめるその現実に
彼女の腕に抱えるその光は
強くそして同時に儚い物質となる


絶望は同時に希望を生む
多様なものを唯一へと変えるその力は
すべてのものを絶対とする何かとなる
彼女の持つ二面性
聖なる人にして罪びと
愛されるべき憎悪の対象
すべての始まりは愛憎の塊
光は膨張す

その理想は唯一でない光だった
太陽になれないそのものに
絶対性は存在しない

物憂げな少女の持つ光は
血の涙流す彼女の腕で膨張す
炸裂したその瞬間
彼女は微笑む
彼女は光とともに闇を持ち込み
希望とともに絶望を持ち込み
愛とともに武器を持ち込んだ


彼女の理想は理解できなかった
穢れたものには見えていた
その光の強さに悪魔の姿を
絶望の瞬間
微笑む彼女は女神だった
微笑む彼女は悪魔でもあった


唯一となるその力は
しょせん憎まれるものであった
現実を空想で破壊するのと同じこと
唯一な者に逆らいし反逆者は
唯一になることはできない
彼女の光はしょせんまがい物
世に闇をもたらすためのもの
犯罪者の光に絶対は介在せず
絶対者の庇護の下
光放つ闇夜の月
絶望の淵
世界はいまだに闇夜を錯綜す


すべての罪はMのもの
Mの存在は光であり闇であった