結局また、ひとりになってしまった。
満月のよる、潮は満ちて。
あたしは遠くから聞こえる人々のこえを
テトラポットの上にこしかけて
聞いていた。
「努力することが大事だよ」
「変わろうと思ってごらんよ」
…遠くから聞こえる声・声・声。
でも。ごめんね、あたしばかだから
よくばってね、いろいろ手に入れたかったの。
でもね、こうしてひとりになると
とってもほっとする
ひとりぶんのごはんとくうかんでいい
それがあたしのみち
さみしいと思うからさみしい
ふこうだと思うからふこう
とおもったときに
ウミガメが33個のたまごを産み落とした
あれは涙なんかじゃぁないよ
あれはね、記号としての涙だ
どこかのえらい生物学者がそう言った
あたしはそれを聞きたくなくて
耳に貝殻をあてた
貝殻からは、過去のおとと、未来のおとが、どうじに聞こえてきた
あたしは、流木を拾って、くうになげた
流木は、しゅるしゅるしゅるっておとをたてて、夜の闇にのみこまれた
しめった砂浜はウミガメのたまごも
かつて生きていた木々も
あたしのなみだも
ぜんぶすいこんでしまった。
でも満月は、なにも見ていなかったかのように、ただそこにいて、光っていた。
しろく、しろく。