| 第1回 よし兄さん危機イッパツ!(遭遇編)
前からそうだったが、よし兄さんは酔っぱらいがキライだ。
いや、酔っぱらうのは別に問題ないんだけど。
よし兄さんも酒が弱いので酔っぱらう事もある。
じゃ、何がキライって、全て「酔っぱらってる」の一言で片づけてしまう事。
酔っぱらってれば何をしてもいいのか!?店内でオシッコしても良いのか!!??
え?責任者出てこい!!
人を殺しても許してもらえるのか!?どうなっとんだ日本は!?
酒飲んだのは自分の責任じゃないのか!?殺された人間は殺され損なのか!?
なんて事を常日頃思ってたんですけど。
まさかあんな事が自分の身に降りかかってくるとは
この時のよし兄さんには知る由もなかった・・・・・・
土曜日午前3時過ぎ。
よし兄さんの働くコンビニでは週末になると酔っぱらいが多く訪れる。
酔っぱらいがやって来るのは毎度の事なので、別に驚く事でもなんでもない。
その日も何人かの酔っぱらいがやって来た。
3時過ぎ、3人の男女がやって来た。初めて見るお客さんだ。
女一人と男2人の3人組。仮に女をさっちゃん、男をケンちゃん、バカとしておこう。
友達同士で飲みに行った帰りだろうか。3人ともすこぶる上機嫌だ。
見たところ、3人とも20代半ばくらいだろうか。
さて、 バカだけど、見た目は普通のさわやか青年。
格好も黒いTシャツにジーパン姿。髪もセンター分けのさらさらヘヤー。
しかし、アノ人にそっくりさんだ。
「ビーバップハイスクールの仲村トオルじゃない方」
我ながら例えが古いような気がするけども、本当なので仕方ない。
だって、本当にそっくりだったんですから。
栗田貫一のルパン三世と良い勝負だと思った。もしくはコージー富田のタモリ。
あるいは、ココリコ遠藤と鳥羽潤。
キムタクとよし兄さん。
「ビーバップハイスクールの仲村トオルじゃない方」って呼ぶのはメンドイから
以下、ビーバップと呼ぶ。まず始めにケンちゃんが店内に入って来た。
「いらっしゃいませ、こんばんは〜」
まあ、普通のお客さん。こっちも普通に応対。
しばらくしてさっちゃん。
「いらっしゃいませ、こんばんは〜」
さっちゃん。とケンちゃんは飲んではいるけど、まあシラフに近い状態だったんだろう。
ごくごく普通。ただ、3人とも車でやって来た事をのぞいては。飲酒運転はダメですよ。
この時に、後に起こる惨事に気づくべきだったが、そんなの気づく訳ないじゃん。
しばらくしてビーバップ登場。
しかし、なかなか入店して来ない。なにやらドアを5cm程あけたまま、
店内をのぞき込んでいる。
そして、よし兄さんがそっちの方を見ると
「見つかった!ヤベッ!」
と言わんばかりのイキオイで車の方に走って逃げるのだ。
え?隠れんぼ?
繰り返すこと数回。ようやく入店してきた。
そして、意味もなくニヤニヤしてはこっちを見ている。
ハッキリ言ってキモイ。イジメ、カッコワルイ。
「この人はちょっとヤバイ」
って本気で思った。顔は笑っているが目が据わっている。
「なんでこっち見るの?なんでなんで〜?」
ってニタニタ笑いながらこっちに一歩、また一歩と近づいてきた。
「うっわー!こっち来ちゃった・・・・・。」
「ねえねえ、アイスある?アイス!!アイスある?エヘヘッヘ」
「あ、あちらですけど・・・・」
「あ、こっち〜?アイスアイス。あった〜!!」
「(うわ〜〜〜っっっっ!!!!)」
その時、よし兄さんは5cmは飛び上がった。
ちょっとチビったかも知れない。
「さっちゃんとケンちゃんは何してるんだよ〜、タスケテクレヨ〜。」
「スマン。俺達の代わりに死んでくれ」
と目で訴えていた。
「そ、そんな〜〜・・・・・・・」
「このアイスおいしいよ。このアイスおいしいよ。このアイスおいしいよ。
食べたことある?ない?あ?ある?(以下繰り返し)」
「い、いや無いですけど・・・・」
「このアイスおいしいのに。おいしいのに。おいしいのに。おいしいのに。
ヘイ!ドングリ〜!!!ウハハハハ〜〜ッ」
よし兄さんの本能が訴える。
「絶対キケン」
※ネタかと思う人もいるだろうけど、これは実話である。
なぜなら、ビーバップが帰った直後によし兄さんが書いた
「よし兄さんメモ」が手元に残っているからである。
いつでもどこでもネタ探しをしている自分が悲しい。
おびえるような目でビーバップを見ていると、なんかよし兄さんに飽きたのか、
今度は店内をウロウロし始めた。
そしておもむろにレジの方を向き、
「グオオオオ、クオオオオオ・・・・・」と唸り始めた。
まるで、カメハメ波を出す前の悟空のように。
どんどん「気」が充満しているようだ。
ああ、もう発射されてしまうのね・・・・・・よし兄さんに向かって・・・・・・・
3秒前。
2秒前。
1秒前。
「ヤッベ〜〜ッッッ!!!!」
ヤッベ〜波が発射されてしまった・・・・。
よし兄さんもこれまでか・・・・・短い人生だったけど、楽しかったよ。
みんなありがとう。
あれ?なんともないぞ。生きてる!!!(当たり前)
自分の無事に感謝しつつ、何もタスケテクレナイ、
さっちゃんとケンちゃんに不信感を抱くよし兄さんであった。
「早く帰ってくれよ〜。頼むよ〜」
もう心の中は無事生還出来た喜びと、
どうやってネタにしようかと言うワクワク感でいっぱいだった。
ここまで来ると「コワイ」なんて言ってられない。
絶対ネタにしてやる!
てな事を考えてるウチのさすがにさっちゃんとケンちゃんもヤバイと思ったのか、
そそくさと買い物を終わらせて、レジに並んだ。
さっちゃんは
「ゴメンナサイ」って感じでこっちに苦笑いをしていた。
しゃーない。良いネタが出来たから今回は見逃してやろう。
「ただし、次は無いよ。エヘッ」
て、もちろん思ったけどね。
ようやく3人が出ていき、無事に事件が終了した安心感からか、
一部始終を一緒に見ていた副店長と爆笑してしまった。
副店長と言ってもオーナーの息子で、まだ二十歳なのだ。
よ「見た?ヤッベ〜!!!!だって!バカですな、バカ!
あんな大人にはなりたくないね〜。」
副「こんなんしてましたよ!(ヤッベ〜波のポーズ)」
よ「良いネタ出来たけど、二度と来て欲しくないね。」
副「ホントホント。他にお客さんがいなくて良かった。出入り禁止にしたいですね。」
ふと、ドアの外を見ると、人影が見えた。
明るい店内からドア越しに外を見ると、暗くてよく見えないのだ。
お客さんが来たのかな?と思って、しばらくそっちのじ〜っと見てしまった。
しばらく見ていると、顔がようやく見えた
「・・・・・・ヤツだ・・・・・・・しかもこっちをにらんでる
・・・・・ヤバイかも・・・・・・・・・」
ヤッベ〜波のマネとかして、爆笑してた所も見られたか?
バカにしてるように見えたか?(実際そうだけど)
良く見えなくてじっと見てたのが睨んでるように見えたか?
「なんかキレてるぞ・・・・・二人が止めてるみたいだ・・・・・・キケン・・・・・」
ただいまのヤバ度60。
二人が何とか説得したのか、しばらくすると男は車の中に戻っていった。
ホッとした。やっぱ、完全に見えなくなるまでウカツな事は出来ないな、
と、ちょっぴり反省するよし兄さんだった。
その前に、お客さんバカにしちゃいけませんね。
しかし、本当の悲劇はこれから始まるのだと言う事にはまだ気がついてはいなかった・・・・・
遭遇編 完
襲撃編につづく
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