第4回 よし兄さん危機イッパツ!(殺意編)


とうとうヤツはその本性をあらわにしてきた。凶器の登場である。
刃渡り20cmくらいのサバイバルナイフだろうか?
暗くてよく確認は出来ないが。やっぱり彼はクレイジーだった。

ケンちゃん「止めろよ!」
ビーバップ「・・・・・・(無言で近づいてくる)」
よし兄さん「マジで逃げるしかないな。でも足がガクガクしちゃってるよう。」

と、その時、入口のドアがやっと、やっと開いた。副店長の登場だ。

よ「・・・・・遅いよう・・・・・・」
副「よし兄さん、どうしまし・・・・・・あれ?・・・・・なんでまたいる・・・・のかな?」
ビ「ああ、お前か。お前もさっきは良くも笑ってくれたなあ!?あ?」
ビーバップはナイフを後ろに隠している。副店長は気づかない。
副「すいませんでした」
ビ「おまけに俺のこと追い返したなあ?」
副「(プチッ)そんなつもりはないですけどね。」

う、うわ〜〜!!!なんでそんな事言うんだよ〜〜!!
死にたいのか?いや、むしろ死んだのか?それともアレなのか?どうなのか?さあ、早く!?
もう頭は真っ白である。とにかく何とかしなくては。

よ「い、いや、あのですね。どうも済みませんでした。」

本来ならば、「その場で取り押さえて現行犯逮捕、警察に突き出す」というのが常道なんだろうが、
実際にナイフを持っている人間を捕まえるなんてムリだし、友達も止めに来ている。
暴れ出したりでもしたら、それこそ最悪の結果を招いてしまう。
ココは穏便に済ませられるものなら済ませたかったのだ。
今思えば一発くらいブン殴ってやりたかったが。

ビ「あ?追い返したな?」
副「そんな事してませんけど!」
ビ「お前ら、ナメるのもいい加減にしろよ!!!シャキーン!!(ナイフを取り出す)」
副「う・・・・・」

更に状況悪化。
ようやく副店長も異変に気づく。遅すぎですよう。でも教えなかったよし兄さんも悪い。
というか、友達もケンちゃんもいる事だし、まさか凶行に及ぶことはないだろうと思っていた。
おもむろにタバコを吸い出すビーバップ。

「俺はなあ、遊びで来てるんじゃないんだよ。フフフ。
  俺が怒ったら何するか分かんないよ。アハハ。」

何故か穏やかな口調なのだが、それが更に恐怖を倍増させる。
当然の事ながら笑顔だが目は笑っていない。完全にイッてしまっている。
また少しずつこっちの方に近づいてきた。一歩、また一歩と。

よ&副「(ヤッベ〜〜・・・・・ジリッジリッ・・・・・)」
ビ「俺が怒るとどうなるのか知りたい?ねえ知りたい?知りたいのか!!!!???」

そういうと、ビーバップはあろう事か、持っていたタバコの火がついている部分を
人差し指と親指で握りつぶしちゃった!!
もちろん指の火傷の心配をしていたことは見逃さなかった。だったら最初からやるなよ。
消火完了。

よ&副「ヒイイイイィィィィ・・・・」

もう絶対アタマオカシイ。
マジッスか?
アツイよ?
熱いよ!絶対熱いよ!そんなん電撃ネットワークの仕事じゃん。
アンタがやってどうするの?
僕たちが泣きたくなるだけだよ?
何?恐喝?何なの?

ビ「いやいや、冗談冗談。アハハハハ・・・・・・」

そういうと、ビーバップは店内に入って行った。
あの、全然笑えません。冗談って、こう言うときに使う言葉だったかなあ?使い方違うよね?
ケンちゃん何やってんのさ!?

よ「あの、いい加減止めてもらえないですか?あんまりヒドイと警察呼びますよ。」

よし兄さんはケンちゃんにどうにかヤツを止めてくれるように懇願した。これ以上放っておくと、
本当に命を狙われかねない。
しかし、ケンちゃんからは絶望的な一言が。

「すいません。ああなると、もう誰にも止められないんですよ・・・・」

力無く笑うケンちゃんなのだった。
もう何もかも終わった。ケンちゃん、アンタは一体何しに来たのさ?
誰にも止められないって・・・・・まさに暴走特急じゃん。
スティーブンセガールもビックリじゃん。
毎回こんなになるわけ?
なんでそこまで飲ませるの?いい大人でしょ?やってる事犯罪ですよ?
こっちは命の危険感じちゃってるんですよ?
殺されてからじゃ遅いんですけど・・・・・いや、マジで。

店内ではなにやら副店長がヤツの相手をしているようだ。
何故かご機嫌なビーバップ。愛想笑いをする副店長。
どうやらアイスが食べたいらしい。しきりにアイスの所を見ている。
アイスを買おうにもお金は持ってないんだが。
取りあえず店内に戻ろう。
どうやらご機嫌も戻ったみたいだし、早めにお引き取り願おう。
ハッキリ言って、めちゃくちゃ腹が立つが仕方ない。ここは大人しく話を合わせておこう。

ビ「なあ、お前ら勤務時間は何時までだ?」
よ「8時までですけど・・・」
ビ「ああ、そうか。なかなか頑張るなあ。」
よ「あ、ありがとうございます。」
ビ「8時か。まだ起きてるな。うん」
よ「???」
ビ「今やったら、人がいなくなっちゃうから、8時にまた殺しにくるわ。お前をな。ハハハハハ」
よ「え?」
ビ「こうやってな。(シュッ)」
ビーバップは再びナイフを取り出し、よし兄さんの前で大きくナイフを振り下ろすのだった。
よし兄さんの顔まであと10cm。
じょおおおおお・・・・・・

うっわ〜・・・とうとう殺人予告されちゃいました。
多くのみなさんがそうだと思いますけど、人生に置いて、
殺人予告された事ってないんじゃないかと思います。
もう人生最大のピンチです。

ビ「裏から逃げるなよ。」
よ「・・・・(父さん母さん先立つ不幸をお許し下さい。)」
ビ「いやいや、冗談冗談。ハハハハハ」
よ「(・・・アンタの冗談は冗談に聞こえません)」
ビ「せいぜい覚悟しとけよ、いや冗談冗談。」
よ「・・・・・・・。」
ビ「じゃ、またな。覚悟しとけよ。ハハハハ・・・・・」

そう言い残すと、ビーバップとケンちゃんは帰って行った。
その間、足はず〜っと小刻みに震えていた。
ようやく危険は去った・・・・・のか?本当にヤツは来ないのか?
もしかしたら来るのかもしれない。
本当に殺しに来るかも知れない。いや、所詮ただの酔っぱらいだ。そんな訳ない。
しかし、本当にそうだと言い切れるか?
絶対に安全か?
でもケンちゃんも状況は知っている。今度こそ止めてくれるだろう・・・・・
でも、もしかしたら。
現在時刻は4時30分。あと3時間30分しかない。
言いようもない不安がアタマの中を駆けめぐる。

よ「どうしよう・・・・・・」
副「ヤバイッスねえ・・・・・」
よ「本当に来るかなあ」
副「大丈夫だとは思いますけどねえ・・・」
よ「・・・・・・」
副「・・・・・・」
よ「・・・・・・・・・!!!そうだ!監視カメラだ!コレを警察に見せよう!」

パニクっていて、こんな簡単な事も思い出せなかった。
監視カメラがあるじゃないか!コレを見せて警察に守ってもらおう!こう言うときこそ警察だよ!
よし兄さんは震える足で事務所へと急いだ。

「あ・・・・・・・・スイッチ入ってない・・・・・・」

録画のスイッチが入っていなかった・・・。
こんな肝心な時にスイッチが入っていないなんて・・・・・
思わずその場に座り込んでしまった。
こんな状況で警察を呼んでも仕方ない。多分来ないさ!うん。きっと来ない!
泣く泣く自分に言い聞かせるよし兄さんなのであった。



結局、7時半頃オーナーが出勤してきたときに報告をし、
警察を呼んで張り込みをつけてもらったが、
ヤツはやって来なかった。事件発生から10日以上たった現在、
パーマネント娘。、ケンちゃん、ビーバップは一度も顔を見せていない。
もちろんシラフに戻って話を聞いたであろうビーバップが謝りにやって来る事はない。
怒りが収まらない。
彼等は自分たちがやった事を理解しているのだろうか?
酒に酔ったからと言って許されるような事ではない。
酒を飲んだのも自己責任なら、酔ってやってしまったことも自己責任だ。
きっちりと責任を取って欲しい。
メイワクするのは周りの人間なのだから。
いい大人になって、我を見失うような飲み方は止めていただきたい。
だから酔っぱらいはキライだ。


全国のお酒好きに言いたい。
「酒は呑んでも呑まれるな」と。

よし兄さん危機イッパツ! 完

 

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