二泊三日のフランス旅行!〜帰国編〜






   前回のあらすじ・・・。
   雛子と亞里亞が偶然にも福引きでフランス旅行券をゲットした(しかも連チャンで)。
   当初はフランスに行く気満々だった亞里亞だが、じいやが恐くなって行きたくないと言いだした。
   でも昶の説得により行くことを決意する(キスとともに)。
   はてさて、フランス旅行は今日で最後。
   昶と12人の妹たちは何をしているのでしょうか? ちょっとのぞいてみましょう。





  ――『お〜い、待ってくれよ龍也ぁ』
  ――『おら〜、おっせーぞアッキー』
  ――『昶さん、がんばってぇ!』
  ――『はあ、はあ、・・ふう。やっと追いついた』
  ――『ははははっ! 見事な走りっぷりだったな』
  ――『お疲れ様です。昶さん』
  ――『うう、ひっでーなー2人とも・・・』
  ――『ウフフッ。お詫びに・・・』
  ――『え? うわ! あ、亜矢さん!! ちょっと待っ!!』


  「うう・・・あ、亜矢さん・・・。はっ!」
    俺は目を限界いっぱいに広げて眠りから覚めると、ふたつの唇がすぐ目の前に迫ってきていた。
  「うわあああああああ!!」
    ドンッ!
  「きゃっ!!」×2
    俺はいきおいで跳ね除けると、ふたつの声がそろって短い悲鳴を響かせ、後ろに消えていく。
    あさっぱらからこれかい!
  「咲耶、春歌! 朝から心臓に悪いことすな!!」
  「むぅ、失礼ねお兄様。こぉーんなにかわいい妹に暴力を振るうなんて」
  「兄君様。ノリが悪いですわ」
  「あのなぁ・・・」
    はあぁ。モチベーションが一気にダウンするなあ。
    パジャマを着た妹のキスで1日が始まる生活なんて、俺ぐらいしか経験できないぞ。
    嬉しいような、悲しいような・・・。
  「ふああぁぁ。とりあえず、おはよう。みんなは、まだ寝てるのか?」
  「うぅん。可憐ちゃんと花穂ちゃんと衛ちゃんは敷地内の散歩で鞠絵ちゃんとヒナちゃんはミカエルの散歩。鈴凛ちゃんは中でいろん
    な部屋を見学してるわ。千影ちゃんはフランスに住む霊と談笑してくるとか言ってた。起きてないのはお兄様と・・・」
  「亞里亞ちゃんだけですわ」
  「亞里亞?」
    俺は体を起こして、亞里亞が寝ているベッドへと向かう(って言ってもすぐそばだけどね)。
    たしかに、シーツで全体を覆っている。まだ夢の世界にいるようだ。
  「亞里亞、朝だぞ」
  「ん・・・兄や・・・?」
  「うん。ほら起きなさい」
  「うん・・・」
    亞里亞は体を起こして、さっきの俺みたいに大きくあくびをする。
    まだ眠そうなまなこを手でごしごしとかいている。
  「おはよう兄や・・・。咲耶ちゃん、春歌ちゃんもおはよう・・・」
  「ああ、おはよう」
  「おはよう亞里亞ちゃん」
  「おはようございます」
    亞里亞の目の焦点がまだ合ってないところからみると、まだ夢の世界が亞里亞を誘っているようだ。
  「とりあえず、服、着換えようか?」
  「はぁい」×3
    と言って俺の目の前で脱ぎ出す3人。
    うお!!
  「こ、コラァァァァ!! ものには順序があるだろうがぁ――!!!」
    ううっ。俺、人生に挫折しそう・・・。



    今日で旅行は最後だ。長かったようで短かった。いや短いってストレートに言ったほうがいいな。
    んで、俺たちは今、じいやさんの引く馬車で空港に向かっている。
    それにしても、亞里亞が俺と変わらないぐらい熟睡していたのがひっかかるなあ。
    亞里亞はほとんど早起きなんだけど・・・。どうしたんだろう・・・?
  「兄チャマ、撮影の方はパーフェクトで終わりました。これがそうデス」
    馬車に揺れながら、俺たちは四葉がプリントアウトしてくれたデジカメ写真を手に手に持って見入る。
    亞里亞のことは、後で考えよう。
  「これはみんなでエッフェル塔に入ったときの写真だね。あ、そう言えばお兄ちゃんここで腰抜かしてたよね」
  「う、俺、高所恐怖症なんだよ・・・」
  「これは・・・がいせんもん、だったっけ? 花穂大きくてびっくりしちゃった。えへへへっ」
  「あ! これボクが雛子ちゃんの風船を取ってあげたやつだ。いつの間に撮られてたんだろう?」
  「衛ちゃん、あの時はありがとう」
  「ん? 咲耶、お前いつ服なんか買ったんだ?」
  「(ギクッ!)え? どうして・・?」
  「だって、服屋のなかに写ってるぞ」
  「そ、それは安いブロンド品がないか探してただけよ」
  「四葉の調べによると、咲耶ちゃんが買ったのはエルメスと言う高級なブロンド品で、値段はジャパンイェンで2万円前後デス」
  「ほほぅ。咲耶ぁ。俺に内緒でそんな高い買い物を?」
  「ご、ごめんなさいお兄様!」
  「あら? これはミカエルといっしょに散歩をしていたときの」←ミカエルも実は同席していた。
  「うわ! こ、これは・・・」
  「ん? どうした鈴凛?」
  「い、いや、なんでも」
  「遠慮するなよ。見せてみろ」
    俺は鈴凛の手から写真をもぎ取った。
  「・・・・・・おい。なんだこの手に持ってる大量のモノは?」
  「え、あぁ〜・・・」
  「四葉の調べによると、鈴凛ちゃんが買ったのは新しい防具セットと機械のパーツです。せめて2万6千円デス」
  「・・・今月の小遣いは無しな鈴凛」
  「ええ! あ、アニキィ、ごめんなさい!」
  「きゃっ! これは姫がフランスパンを食べてる時の写真ですの!」
  「・・・ん? ふふふっ。フランスの霊も・・・なかなか・・・愉快だね・・・」
    千影の話題にはふれないでおこう。
  「あら? ワタクシの鞄が盗られたときの写真ですわ」
  「あ、そうだ。あの後どうしたんだ春歌?」
  「ええ、たっぷりと犯人を懲らしめてやりましたわ」
    春歌って、こういうとき恐いんだよなあ。
  「あ、亞里亞の・・・」
  「お、これは亞里亞がお菓子食べ放題のところで撮った写真だな」
  「亞里亞、恥ずかしい・・・」
    みんな、思い出の写真ができてよかったな。
    お? もう空港か・・・。
    時がたつのは、早いな。
  「ありがとうございました!」×13
  「こちらこそ、ありがとうございました。短い間でしたけど、みなさんと会えて、じいやもうれしゅうございます」
    俺たちはロビーの前でじいやさんと握手をして、別れの挨拶をして、日本行きの飛行機へと向かう。
    本当に短い間だったけど、思い出はたくさん作れたから、くいはない。
    みんなもはずんだ顔で、飛行機に乗りこんで行く。
    みんな・・・・・・ん?
    あれ、亞里亞は?
  「おにいたま! 亞里亞ちゃんがいないよ!」
  「お、おう。みんなは飛行機に乗っててくれ! 俺、探してくる!」
    バビュッと、探しにでたものの、周り中、人、人、人。
    この中から亞里亞を探すのは到底無理だろう。
    ・・・・・・しかたない、力を使うか・・・。
    俺は目を瞑り、空港内のどこかにいる亞里亞の意志に干渉する。
  『じいや・・・ハイ、これ』
  『亞里亞さま』
    亞里亞の意志に干渉してみると、ちょうどじいやさんとの会話どこだった。
  『じいやとはもう、あえないけど・・・。これ・・・あげる』
  『・・・これは、人形ですか?』
  『うん。・・・春歌姉やに教えてもらったの・・・。じいや人形・・・』
  『亞里亞さま・・・』
  『? どうしたの? 亞里亞・・・わるいことした?』
  『いいえ・・・。亞里亞さま、立派なレディになられなしたね』
  『・・・・・・うん!』
    そっか。だから、あんなにねむたげだったのか・・・。
    ・・・俺は亞里亞がいる場所に向かうと、じいやさんが優しく亞里亞を抱きしめていた。
    俺はそっと、2人に近づいた。
  「あ、兄やぁ!」
    俺に気づいた亞里亞が抱きついてくる。
  「心配したぞ」
  「ごめんなさい」
    俺は亞里亞の頭をなでてやり、じいやさんに視線を向ける。
    じいやさんはなにも言わず、ぺこっと頭を下げて、ひとごみに消えていった。
  「帰ろうか?」
  「うん!」
    俺は亞里亞と離れないように、しっかりと手を握ってやる。
  「兄や」
  「ん?」
  「亞里亞・・・立派なレディーになってる?」
  「うん。なってるよ。レディーじゃなくて、お姫様みたいだよ」
  「ほうとぉ?」
  「ああ」
  「・・・兄や」
  「なんだい?」
  「大好き(はあと)」
  「俺もだよ。亞里亞」
    俺は、少し強めに握ってる手に力を込める。
    絶対に、離さないように・・・。




    その後、俺たちを乗せた日本行きの便は、問題なく飛び立った。

  「ん・・・兄や・・・」
  「・・・亞里亞ちゃん。また眠ってるのね」
    横の座席から、咲耶が亞里亞を起こさないように小さな声で話しかけてきた。
  「ああ。がんばったもんな、亞里亞は」
  「??」
    咲耶が俺の顔を見ながら、なんのこと? と不思議そうに聞いてきた。
  「亞里亞が、大人に一歩近づいたんだよ」
  「????」
    ますますわからなくなる咲耶だが、俺はクスッと苦笑いをしてしまった。
    すぐ横では亞里亞が幸せそうな寝顔を作っている。
    いったいどんな夢を見ているんだろうか?
    俺は、そっと亞里亞のフワフワした髪の毛をなでてやる。
    ―――おつかれ、亞里亞。もう立派なレディだぞ、亞里亞は。
    俺の心の声が聞こえたのか、亞里亞は寝顔に笑みをかたどる。
  「兄や・・ずっと・・・・ずっと・・・・・いっしょだよ・・・・・・」
    ・・・・・・寝言・・・・・・か?
    それとも本当に俺の心の声が聞こえたのか?
    俺の、亞里亞やみんなを思う気持ちが、聞こえたのかな?
    なあ亞里亞。
    もし、俺の声が本当に聞こえてたとしたら、亞里亞、お前はもっと大人に近づいていけるんだぞ。
    そのときは、みんなでいっしょに祝おうな。
    亞里亞も俺にとっては大事な妹だから。
    みんなと同じくらい大切な妹だから・・・。
    絶対に、離したりは、しないからな。
    絶対に、なにがあっても守ってやるからな。
    だから今は、ゆっくりと寝てていいんだぞ?
    幸せな夢を、見てても、俺は、邪魔をしなから。
    亞里亞・・・。
  「ふふっ・・・。兄や・・・だぁーいすき・・・(はあと)」
  「俺も、好きだよ・・・。亞里亞・・・・・・」
    じいやさん。俺、亞里亞を守りぬきます。
    だから、どうか、心配、しないでください。
    ただ、ほんの、ほんの少しでいいですから、亞里亞を、見守っててやってください。
  「兄や・・・・・・、亞里亞、幸せです・・・」
  「・・・兄やぁ・・・」
  「・・・・・・・・・・・・大好き」








作者コメント
亞里亞、寝言が多すぎた・・・(反省)。
帰国編、話しが短すぎた・・・(反省)。
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