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「これからも時々遊びに来なさい」という叔母の言葉に甘え、この日以降、私は叔母の家を度々訪ねるようになった。
あるとき、叔母の家の机の上に、立派に装丁され象牙の爪の着いた全集物の書物があった。本の表紙には「赤穂義士銘々傳」桃川如燕と書かれていた。叔母に「これを見せて貰らっても良いか?」と尋ねたところ、「いいよ!」という叔母の返事に早速装丁を開き最初の一冊を取り出して見た。
本は上質の和紙が用いられて、比較的大きな文字で内容が綴られていた。講談本であることから小学生の私にも比較的読み易く、理解し易かった。内容は勿論「刃傷、松の廊下」から「義士の討ち入り」までを講談調で、解りやすく書かれていた。
私は当時、この町唯一、娯楽の場であった「大正座」と言う劇場で、尾上松之助?演ずる「活動大写真」を見たことがあったので、すぐにこの本の虜になって了まった。注、(今の映画の事で、この頃は無声映画のため、映画のナレーションや筋書きを弁士という説明役が語っていた)
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