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特攻人形とは終戦末期、九州の知覧や鹿屋の基地から出撃する若い神風特別攻撃隊員に対して、その武運長久を祈り、女学生など、若い女性から贈られた毛糸で作った小さな人形のことである。
隊員は出撃にあたり、この人形を胸のポケットに入れ、あるいは飛行機の操縦桿に吊り下げて、目指す敵艦に体当たりして行った。
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「暑いいなあ!」と言いながら、中村軍医大尉が太った体を持て余し気味に、部屋に入って来た。部屋に居た全員が一斉に起立して、大尉に対し敬礼を行った。
「姫野は何処へいった?」と話し相手の顔が見えないことに中村大尉は怪訝な顔つきで、腰から重たい軍刀を外し、部屋の主、姫野中尉の所在を尋ねた。
私は早速、腰掛を大尉のところに運びながら、「ただいま、本部へ連絡に行かれました。もう、間もなく帰られると思います」と答え、古い扇風機のスイッチを入れた。大尉は 「そうか、暫く待っているわい!」と帽子をを取り、どすんと重たい腰を椅子に下した。
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昭和20年(1945)6月末、私達の戦車旅団、闘12533部隊の全員は、山中の霧島廠舎を後にし、この霧島駅前付近まで前進、学校、寺、旅館などに分散駐留していた。
私はこの姫野中尉の当番兵,兼書記要員として常時兵器班に勤務、O医院の離れ家を借りて居住、執務していた。
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