*語注
鮫島 庚=主人公、
ザイル=2人1組で組んで助け合いながらのぼっていくこと
立花 涼=親友、よき理解者の一人
ふいに、鮫島の脳裏にあることが浮かんだ。「山に、行きたい」
彼は16歳、普通の高校に暮らす普通の高校1年生だ。彼には趣味があった。
彼は山が好きであった。毎年、山にのぼる。
そして、今年六月に、彼は、最難関といわれる壬生岳に挑んだ。
そこで彼の人生を変える事件がおこった!!それは道がないのである!!!
彼の前には険しい山肌が露出していた。庚はその山の難しさを肌で感じた。庚はそこで立ち尽くした。
汗ばんでいた手が冷えていくのを感じながら。
庚はその前に、フリークライミングもした事があって一応腕には自信があった。
しかし、この山は想像を超えていた、今までのことがうそだったかのように。
ザイルを組んでいる親友の立花は、呆然と上のほうをみていた。
だが庚はかたくなに認めようとせず立ち向かっていこうとする。
山に恐怖をいだいた時、自分の心も完全に支配されるのを知っているからだ。
そして、勇気を振り絞り決意した。
「上ろう」と。
その瞬間、庚の体の奥から何か熱いものが溢れてきた。それは止めようもなく、あふれ出る。そして、庚は登り始めた。
庚のクライミングは美しく、豹のようなしなやかさで登っていく。涼もまた、まるで重力を感じさせない華麗な登りだ。庚は、ルートを考えながら、「俺はいけるっ!!!」と思っていた。
しかし、汗ばんだ手足でルートを慎重に選んで、少し集中力が切れた刹那、突風が吹いた。
「うわっ!!!」庚の体が宙に浮いた。庚はとっさに右手を出して岩を掴み、落下を免れた。
庚は
汗ばんだ体の汗が冷えてしまったのに気づいた。
そして、気を取り直し登ろうとしたとき、庚にある異変が起こった。手が出ない。
庚は自分にいい聞かせた。「登れっ!!!」
しかし体が動かない、ふいに下を見ると、庚にある感情が湧き起こった。
恐怖心である。さらに足まですくみはじめてきた。涼は庚のクライマーズハイから解けた事に気づいた。
涼はとめどもない不安に襲われ、途方にくれた。
自分には、どうしようもない、涼は自分の無力さを責めた。
そんな状況の中、涼は庚への希望だけを信じ、庚に「前へ!!!」と叫んだ。
声が山に響いた。庚の胸は高鳴り、鼓動は再び脈打った。
そう、彼は恐怖を振り切ったのだ!!
そしてその後、庚は、「うわぁぁーーーー!!!!!!」と叫んだ!!
彼の顔は紅潮して熱くなり、そして少しした後、涼に「行こう!」と言った。
涼は微笑し、「ああ。」と言った。庚は笑って岩に手をかけた。
頂上に向かって、登っていく途中、彼らは休憩をとらなかった。
休めそうな場所も何箇所かあった。しかし彼らは休まなかった。
庚、涼のなかに、「休みたくない。」とゆう根拠のない気持ちがあった。
休んだらもう上に登れないかもしれない、とゆう不安があった。
彼らの本能は当たっていた。もうすでにかなりの高さまで登っている。
下を向くと、もう岩が石ころのように小さかった。
(もうここからは戻れない。)庚の中に悲壮感が漂い、同時に決意がみなぎった。
疲れはピークに達しているはずなのに、庚はうれしそうな顔で上を見上げていた。
その時、雲間から日がかおを出し、まばゆいばかりの光が溢れていた。
空には鳥も飛んでいた。そして何かに導かれるように庚は登っていった。
うれしそうな庚を見て、涼は、
「どうしたんだ?酸素不足で脳がやられたか?」などと冗談を交わしながら登っていった。
二人とも、まるで子供がジャングルジムで遊んでいるように登っていった。
そして、いよいよ山の最大難所の「壬生殺し」に到達した。
そこを形容するなら、ねずみ返しである。
庚は、ある店のオーナーの言葉を思い出した。
「壬生殺しには登るな、あそこは悪魔の巣だ」とゆう言葉を。
毎年、何人もの死人が出ているところだ。
岩盤が崩れやすい上に、一番きついところは90度以上ある。
一息、庚が息を吐いた。そして涼と顔を合わせ、
「行こう!!!!!」といった。
そして、彼らが頂上に上ったとき、彼らに母なる山の祝福が降り注いでいた。