「男子15番。冬馬クン」
板木がそう声をあげた。
とうとう、冬馬の番が廻ってきた。これで残りは15人となった。
徐に立ち上がり、椅子の下に置かれていた自分のバックを拾い上げ、ゆっくりと前に歩を進めた。
「名神冬馬!さっさと歩け!」
兵士の一人、名を武田というらしい。左手を引き金に掛けていることから、どうやら左利きであるらしい。肩にある階級章が見えた。金色の細い線が1本に星が3つ。どうやら曹長の階級に属するようだ。(なぜ、そんな階級が分かったかって?この国では知らないことは命取りになる。一応中学生にも階級は存在するし)
冬馬は前に行き兵士の一人(上杉というらしい)からデイパックを受け取った。
 受け取るとすぐに廊下に出た。ひんやりとした夜風が心地よくもあった。妙に心が落ち着いていた。辺りは静かに感じた。廊下を真っすぐ行くと、突き当たりに光が見えた。出口のようだ。
 校舎の外に出るみると、空虚な空間がそこにあった。
 と、突然、黒い影が襲ってきた。伊東昭則(男子3番)だと気付くのにそう時間はかからなかった。50分も前に出ていった奴が何故ここに?考えている余裕はなかった。昭則のナイフが頬を掠めた。
 「誰かいるの?」
その声に気を取られていた昭則の顔面に渾身の右正拳が入った。
体格差はあったものの、それでも1〜2mは吹っ飛んだ。
 冬馬はその声の主であった哀の手をとって駆け出した。もうただ無我夢中で走った。
何も、考える余裕なんてなかった。

[残り49人]



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