名神冬馬(男子15番)と藤坂哀(女子15番)は分校から800mぐらい南西に走って、今は林の中に身を潜めていた。
そこでようやく冬馬と哀は会話を交わした。
「どうしたの?何があったの?」
「昭則だ。昭則に襲われた。いきなりで何がなんだか」
「どうして私を?」
「気付いたら君の手を取って走り出していた。他にもあいつみたいなのがいたら危ないと思って」
「私は? …私がこのゲームに乗るとは考えなかったの?」
「無我夢中だったから…。それに君はそんなことをしないって信じてた。それよりも俺のことは恐くないの?勝手に連れてきてしまったけど…」
「うん。…私も冬馬クンのことは信じてるから。冬馬クンおこと、ずっと…見てたから」
 本来ならもう少し堅い口調で口にされていたかもしれない言葉だった。
できれば、もう少し、贅沢は言わないが、せめてもう少しばかりロマンチックな状況で聞きたい言葉だった。
「……」
「……」
 二人の間にしばし沈黙が訪れた。沈黙を先に破ったのは冬馬だった。
「まだ歩ける?」
「うん、大丈夫」
「じゃぁ、少し動こう。落ち着ける場所を探そう」

[残り48人]



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