「うっわぁー。撃ち合っとるでー。めっちゃ最悪やーん。最悪なところに出くわしてしもたぁ。
どうしよ〜。動いたら撃たれるんやろなぁ〜。ほんま最悪やで。」
前林克成(男子22番)は運悪く、銃撃戦の真っ只中にいた。
どうしてそうなってしまったかというと、克成は開始後に分校から西にある林に入り、その木の上で休憩していた。夜行性ではないのか、とにかく眠かったので木の上で仮眠をとっていたのだ。
人の声がしたので克成は目を覚ました。
そういうことには敏感なのだろうか?
兎に角その木の下には、福井昌子(女子14番)、山上真依(女子23番)、横川繭花(女子25番)の3人の姿があった。
克成がふと目にした時計の針は4時を指していた。
そういえば、明るくなりつつあった。
いや、そんなことよりも、3人はどうやら口論をしているようだ。
あれはあんたが悪い?私は正しかった?そんなん関係ないから、兎に角どっか行ってくれ。
克成がそう思っていた時、単発の銃声が2発。
昌子が撃ったらしい。真依が倒れている。血が溢れ、水溜まりのようになっていくのが、仄暗い林の中でも分かった。
真依はぴくりとも動かない。
次の瞬間にあとの2人の姿は木の下からなくなっていた。
左右の林に分かれて隠れたようだ。
「なにしやがんだテメェ!」
「お前らが悪いんだ」
2人の言い争いは続いていた。声が高く、耳にキンキン響く。
さらに今回の言い争いには銃声のBGMまでついていた。
なんと優雅な朝の一時……、いや、そうじゃないだろ。朝と言うには早すぎる。
そうでもない。兎に角、ここから離れたい。でも降りたら殺される。克成は動けないでいた。
5分程して、右の林からドサッという音が聞こえた。
銃声が止んだ。
左の林から出てきたのは繭花だった。
昌子の弾も当たっていたらしく、左肩から血が滴っていた。
どうにか決着がついてホッと一息をついたのも束の間。
「きゃああぁぁぁ」という悲鳴が聞こえた。
さっき勝利したばかりの繭花の背中からカマが生えていた。
そのカマを繭花の背中から抜き取ったのは、華奢な身体に美しく端正に整った顔の島咲京香(女子8番)だった。
克成は京香と目が合ってしまった。
京香はにこっと微笑んだ。
思わず、克成は見愡れてしまった。
京香は落ちていた銃(真依のマカロフと繭花のCz75)を拾い上げて、銃口を克成の方に向けた。
8発の銃声が響き渡った。マカロフの弾が切れたようだ。たが、克成はすでに木から落ちていた。
血だらけになって意識はなかった。
本当に今日は運が悪い。なにしろ死んでしまったのだから。
それから、京香は昌子の銃(ブローニングHP)を拾い上げて去っていった。克成の武器は捨て置いた。金槌と釘なんて必要無かったのだろう。
なにしろ、銃を3つ手にいれたのだから…。
[残り41人]
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