「俺たち、これからどうなっちゃうんだろう…?」
五反田智哉(男子12番)が泣きだしそうな声で呟いた。
そして、その事は誰もが思っている事でもあった。
智哉と一緒にいた加藤俊作(男子9番)も例外ではなかった。
「馬鹿野郎!弱気になってどうする。俺たちは生きてここを出るんだ!落ち着いて方法を考えよう。なっ?」
俊作は極力冷静に振る舞おうとした。
自分達のボス、桐原和也(男子10番)がそうであったように、
或いは憧れのひと、丸川理恵(女子17番)がそうであったように。
『生きてここを出る』
そうは言ったが、俊作自身本当に生きて出られるか半信半疑だった。
ボス桐原に出会えればあるいは…。
その凡人を遥かに凌駕する天才的な頭脳でなんとかなるかも知れない。
彼はいつも冷静で慌てている所など一度として見た事がなかったし、
想像もできないことだった。
彼ならばこの絶望的状況でも回避策を考えているかも知れない。
俊作にとってボス桐原は絶対で、この状況下での唯一の希望でもあった。
「でもさ、ぐずぐずしてたら殺されちゃうかも知れないんだぜ?
それでも落ち着けって言うのかよ?」
智哉が捲し立てるように言った。
「あぁ、それでも落ち着け。…焦ったって何も変わらない。
俺たちだけじゃどうにもならないかも知れないが、ボスならきっとなんとかしてくれる。
そう、ボスならきっと…」
俊作は『きっと…』と言った後、妙な胸騒ぎを覚えた。
それは本能的な直感で、えも言われぬ不安だった。
しかし、その不安を気に止めないように続けた。
「兎に角、まずはボスを捜そう」
俊作と智哉はとにもかくにも動き出した。
生きてここを出る。その思いを胸に。
大いなる希望と微かな不安。
さっき俊作の胸を過ったあのえも言われぬ不安。
だがそのときはまだ希望の影に隠れて不安感は忘れ去られた。
[残り40人]
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