一輪の花

貴方は何を見つめているの?

儚い命なのに・・・

 

冷たい風が吹き荒び

私の心を凍らせる

 

吹きすさぶ風は容赦なく

私を大地に打ちのめす

 

立ち上がろうとする私の足は

幾度となくすくわれる

 

やがて私は起き上がることもできず

只そこに蹲っていた

 

私は自分の心に壁を作り

その隙間から外界を窺っている

じっと息を潜めて・・・

 

私は壁の中に安息の地を求め

私の世界を創造する

誰にも邪魔されない世界を・・・

 

外界では情報が錯綜し

時流の波に翻弄されていく

 

壁の中の世界で私は

啓示を受ける

 

「目に映る全てを破壊しろ

     物も

     人も

   そして自分自身も・・・」

 

 

やがて私は私自身を制御する心を失い始める

私の中でもう一人の私が生まれ

語りかけ始めた

「苦しみを捨てろ

 おまえは只の傀儡

 おまえは存在すべきではない

 何もかも無に帰せよ

 おまえの存在は悪であり

 生まれるべきではなかった 

 おまえは無力であり  

 存在価値はない

 目の前にある凶器を手に取り

 啓示に従うのだ」

私の心はもう一人の私に支配されていき

そうすぐ私はいなくなってしまう

一体私は何の為に生まれたのか?

生きていく価値はあるの?

誰か教えて・・・

 

もうすぐ私の心は完全に無くなる

私はもう一人の私に対して

抗う術を知らない

たった一つの方法以外

 

もう私には時間がない

やがて私は啓示と

もう一人の私の意のままになるだろう

 

心の中に二人の私が存在し

徐々に支配され行く中

私は最後の方法を使った

 

首筋を伝い落ちる赤い雫

その雫は瞬く間に量を増やし

私の体を濡らしていく

 

私は薄れゆく意識の中

もう一人の私が苦しみ悶える様を

只じっと見ていた

まもなく全てが終わる・・・

 

 

私を最後まで見ていた一輪の花が

儚い命を終わらせ

ゆっくりと枯れていった