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だから人間てえものは、無駄なときばかり骨を折ったってダメですナ。何かそういうチャンスがきたときに、それをガッチリとつかまえて奮闘することですよ。
けれどもただ奮闘するといっても、はなに自分がそれだけのものを仕入れておかねえことにゃダメなんで、ネタのない手品はつかえないわけですからね。ただ気分だけじゃどうにもならぬ。(p-55)

(それから)気ちがいになった先々代の弥太っぺの馬楽という人は、江戸時代にお刀御用をつとめたというレッキとした家柄に生まれた人でしたが・・・

結局あたしたちの商売というものは、そういうふうに下町のはしにも棒にもかからないような人間がなっているんです。たいがいはね。そうして、さんざ浮世の苦労をなめつくして、すいも甘いも知りぬいた人間が聞くべきものなんです。それが落語というものなんですよ。


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