アキちゃんが死んだ
いつも
チューブをして、にこにこ顔を笑ってた人がいた。
数少ない、ココロの底から親友と呼べた人だった。
今は、いない。
私の通っていた学校はSpecial Need School(養護学校)
だから、どうしても病気や手術に身体が耐えられなくて、なくなってしまう人が
普通のみんなが通っている学校よりも、ほんの少しだけ多い。
私は、小学4年の時に、初めて友達のお通夜に出たことがある。
1年生になったばかりの、ぴかぴかの1年生だったはずの、おんなの子のお通夜に。
そして、少したった後、もう一人の子も、後を追うように亡くなってしまった。
担任の先生は、生徒がいない教室の中で寂しそうにしていた。
みんな、生きたかったはずなのに。
どうして、こんなことになってしまったんだろう。
私が中学3年の時に、アキちゃんは中学1年生だった。
眼鏡をかけてて、髪の毛を長く伸ばしてて。
とてもカワイイことを言うと思ったら、冷静な面もあったりと、
子供だけど、何処か大人びている子供だったような記憶がある。
その頃の私は
彼女と正反対で、髪の毛がとても短くて、外を走りまわってるような子だった。
血の気が多くて、いつもアキちゃんに落ちついて、落ちついてと言われてたような気がする。
当時、アキちゃんには大好きな男のコがいた。
一君っていう男のコで、大食いで、責任感がとっても強い優しい子のことを、
とっても、大好きだった。
彼に、告白しようかどうしようか、とても迷っていた。
その頃、丁度私は一君から、「アキさんって、好きな人いるのかなぁ。。。」といわれたことがある。
話を聞いてみると、一君も、アキちゃんも、
お互いのことが大好きなんだけど、恥かしくてなかなか、「好きだよ」って言えないみたいだった。
だけど、勇気があったのはアキちゃんの方で、好きっていって。
二人は両思いになった。
今は
彼氏・彼女が一つのステータスに(アクセサリー)なってしまったけれど
二人は、そんなのとは全然違った。
手を繋ぐことすら、恥かしくて出来ない。
目を合わせることも、照れくさい。
キスしたいけど、とても言い出せない。
だけど
お互いのことを、すごく思いやっていた。
アキちゃんは、10月ぐらいから身体をこわして、学校を休みがちになっていった。
1ヶ月たっても、調子は良くならず、反対にどんどん悪くなってアキちゃんは病院に入院した。
だけど、入院しても、アキちゃんはいつもにこにこしてて、ステキだった。
病院に面会に行っても、きついはずなのに、沙誉ちゃん来てくれてありがとうって言ってくれた。
そして、嬉しそうに、あみかけのマフラーを出しながら、
これは一君に編んであげるんだよ。と嬉しそうに言っていた。
終業式が近づいても、アキちゃんは学校に来れなくて。
先生が、アキちゃんは終業式にこれません。身体の調子が悪いから
家族の方がお見舞いは遠慮してくださいといってました。
先生も控えるから、沙誉さんも一君も、遠慮してねと言った。
それでも
一君は、雨が降っても、風邪をひいても、毎日、少しずつお見舞いにいっていた。
新学期が始まっても
1年の教室にアキちゃんの姿は見えなかった。
そして3月。
ある日、家に電話がかかってきた。
学校の連絡網だった。
母の声がする。
「はい、はい。。。あぁ、川田式場で。。。時間は。。はい、夜の7時に」
嫌な予感がした。
電話を切り終わった後、母は父に言った。
「今日通夜があるみたい」
「誰の?」
「アキさんっていう人。沙誉の学校の人みたい」
「は?」
聞き返す。
「アキさんって。。。。」
絶句。
違う。
違う、違う、違う。
アキちゃんが、死ぬもんか。
通夜になった式場は、広かった。
大人の人も子供の人も、あふれかえるほどいた。
それが
アキちゃんと一くんが結婚して、そのための式場で、そのために多くの人がきている
そんなことだったら、良かったのに。
どうして、自分はここ今にいるんだろう。
ご焼香の列に並んで待っていると、坂好先生に会う。
坂好先生は涙目で「みんな向こうで遊ぶみたいだけど、沙誉さんもいったら」と言った。
向くと、後輩と友人たちが楽しそうに雑談していた。
お前等何しにきたんだよ、人の通夜に満足に出れないのなら帰れ!と叫んで殴りたい衝動を必死に抑えた。
順番が来て、家族の方に頭を下げる。
アキちゃんのお母さんが、沙誉ちゃん、よく来てくれたねと涙目で言ってくれた。
「アキ、ほら、沙誉ちゃんがきたよ」お母さんが、声をかけた。
棺桶の中にいたアキちゃんの顔は
とても気持ちよさそうに眠っているように見えた。
これがアキちゃんの最期なら少しは良いのかもしれない。
「寝ているように見えるでしょ?この子。とても気持ち良さそうに」
花やお菓子に包まれたアキちゃん。
とても、とてもきれいだった。
だけど、もう彼女は帰ってこない。
2度と、あの笑顔で「沙誉」ちゃんと、呼んでくれない。
アキちゃん。
その夜は、声が枯れるまで泣いた。
気を紛らわすために、トイレに行っても、風呂に入っても
無情にも涙は溢れるように出てきた。
あれから、4年の月日がたとうとしている。
このピンクの色は、アキちゃんが一番好きな色だった。
彼女に何もしてやれなかった私は、これを彼女に捧げたいと思います。
アキちゃん、頑張ったね。
おやすみなさい。
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