きたない仕事、みにくい仕事、ほこれない仕事<前編>
「ようご、がっこう?」
履歴書を見て、苦くなった顔を見て、私は思わず、下を向いてしまった。
もう、これで何回目なんだろう。なんでみんなは、おんなじ言葉を言うんだろう。
「二村さんって言ったっけ?あなた、養護学校に通ってるの?」
「養護学校に行ってるなら、ちょっとね。ほら、うちはハードだしさ」
数日たっても、何日待っても、電話はこなかった。
大学に合格したことを聞いて、私はほっとした気持ちになったけど、それと、同じぐらい悲しくなった。
もう、引き返せない、今度こそ、本当に私は、行きたい所に、行けなくなるんだ。
だけど、もう嫌だとは、言えない。
どうしても諦められなかった私は、バイト先を、探すようになった。
アルバイトをして、お金を貯めて、きっといつか、行きたい所に、自分は行くんだ。
だけど、正社員所か、バイトでも、やっぱり、世間一般の冷たい目はまだあって、
履歴書の中にある「養護学校」という文字を見ただけで、
採用する人の顔は、とってもとっても、難しい顔になってしまう。
10社ぐらい受けて、全部のバイトに落ちた私は、すっかり、途方にくれてしまった。
ある日のことだった。
私は、近所のコンビニに行って、求人雑誌をぱらぱらっと、めくっていた。
何気なく見ていくと、すみっこの方に、テレホンアポインター募集っていう文章がのっていた。
テレホンアポインターって、何だろう?かっこいいな。
住んでいる所も近いし、時給も、他の所に比べて、
比較的に高いことを知った私は、そこを受けようと思った。
だけど、学校の先生達は、私がテレホンアポインターをしたいっていうことを聞いたら、
二村さん、そこは、やめておきなさいと、どの人も、口を揃えて、おんなじ言葉を言った。
先生が、苦笑して、私に言った。
「あんた、テレホンアポインターが、何か知ってる?」
ちょっと考えて、知りませんと、私は答えた。
テレホンアポインター、日本語になおすと、電話勧誘だった。
そんなこと、ちっとも、知らなかった私は、やめようかと思った。
だけど、そのことを知った日が、面接を受ける日だった私は、
とりあえず、行くだけ、行こうと、思った。
どうせ、この前みたいに、採用されないと思うんだけどと、ココロの中で言いながら、
とりあえず私は、その会社に、とぼとぼと、歩いて行った。
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