放課後は、読書の時間
「皆さん、今日は読書の時間ですよ。掃除が終わったら、来てくださいね」
そう言って、美人先生は、廊下をぱたぱたと走って、笑顔で、みんなに呼びかけた。
つられてみんなは、掃除をやめたり、早く終わらせて、教室に向かった。
小さな教室のまんなかに、美人先生が椅子に座って、
みんながそれを、ぐるっと囲むように、座っていた。
先生達も、みんなの横に座って聞いたり、離れたりして、
まぁるく、まぁるく、輪になって、みんなも先生も、輪になって聞いていた。
「今日は、ここを読みますね」
そう言って、美人先生は、窓ぎわのトットちゃんを、みんなに見せながら、そう言った。
私がSpecial Need Schoolを書いて、それをHPで公開した時、
たくさんの人から、いろんな感想を、いっぱいもらった。
スゴイですね、とか、感動しました、とかあったけれど、
そんな感想を本当に貰ったのは、私じゃなくて、美人先生の方だと、私は思う。
私は、勉強が出来なくて、とっても、頭が悪い子だった。
何かを覚えようとしても、大抵のことは、すぐに忘れてしまう。
そのうち段々、私は、自分で自分の、頭を、いちいち、叩く癖がついてしまった。
覚えたいときに、こつんと、叩く。とっても痛いけど、また、私はそれをしてしまう。
だけど、美人先生の、朗読の時間は、それが、ちっとも出なかった。
美人先生は、あれこれ工夫して、どんな風にしたら、
みんなが一番わかるのか、どんな声の高さで言ったら、よく聞こえるのか、
いっぱいいっぱい、口には出さないものの、考えていたと思う。
美人先生は、声の強弱をつけ、顔に表情を出して、
そして、みんなの顔と、目をみながら、美人先生は、読み聞かせた。
私は、いつもこっそりと、先生の横に座って聞いた。
普段は、みんなわいわい、がやがや喋るけど、
美人先生が、朗読を始めると、すると、どうだろう。
どの子も、すっと、ぴたっと、話すのを止めて、耳をかたむけた。
Special Need Schoolを書こうと思った時、
真っ先に思い出したのは、美人先生の、ことだった。
放課後に、決まった曜日に、きまった時間に、ほんのちょこっとだけ、あったあのこと。
だけど、それは、私にとって、とっても大きなモノになった。
そして、Special Need Schoolを卒業して、暫くした後、
近所の古本屋で、偶然にも、窓ぎわのトットちゃんを見つけた私は、
ぱらぱらっと、めくって、見て、そして、ココロの底から、びっくりしてしまった。
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