我等がへっぽこ応援団長<中編>


5月の中旬を過ぎた頃、運動会の練習が、本格的に始まった。
元々少ない授業の時間は削られて、前よりも、もっと、少なくなった。
私や明英君は、授業が潰れた潰れたと言ってたけれど、
その分、受験勉強する時間は、確実に減った。

私は例年通り、運動量大のグループに入った。
障害の重さに合わせて、運動量小、中、大と合わせて3種類に
分かれているんだけど、私はこの種目が大好きだった。
障害の差こそあれ、みんながみんな、頑張れる。自分のペースで頑張れる。
走れない子は、玉を投げてボーリングで頑張ればいい。
ボーリングの玉を持てなかったら、先生に支えてもらいながら投げればいい。
ひとつがダメでも、ふたつがあった。

そして、この競議は、自分で競議のタイトルや、曲、内容を決められた。
だから、みんなはいっぱい、意見を出す。
小学部の子も、中学部の子も、そして高等部も。
中には、一日で決められないから、2日、3日と先延ばしになることだってある。
だけど、みんなの目は輝いていた。
私は、そんなみんなの顔を見るのが、好きだった。

運動量別の競議と並んで、もうひとつ大好きだった種目があった。
それは、運動会特有の、応援団という存在。
額に鉢巻をしめて、真っ黒な学生服を着て、センスを片手に声を出す
応援団のお兄さん達は、とってもかっこよく見えた。
それ以来、毎年私は、ほぼ毎年応援団に入った。
高等部、中学部のお兄さんお姉さんの後ろで、
着慣れない学生服を着ながら、大声を出すのが、毎年楽しみだった。

それが出来るのも、今年で最後。

小学部、中学部、高等部合同の最初の話し合いの時に、
先生が誰か応援団長をしませんかと言った。
深緑の黒板に、白いチョークで「応援団長(1)」と書かれている。

応援団長をするのは、高等部3年生と決まってて、
みんなの目が私やマジメ君に集まった。
二村さん、やらない?そんな声が聞こえたようなした。

「やります、私、応援団長をします」

その数日後、私は応援団長をすることになった。


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