ただいま

3週間過ぎたら、私は我慢できなかった。

学校に行きたい、みんなに会いたい。

そうお母さんに言ったら、
あんた学校は大丈夫なの?また行っていいの?
と言われて、休む前の学校の生活が目に浮かんだ。

地獄としかいいようのない生活。

だけど、不思議とまた行きたい気持ちでいっぱいだった。
あそこにもう1度行きたい。

そしてその数日後、私は学校に行った。

やっぱり、外から見るのと、中に入るのとでは全然違った。

床の上に上靴をはいた足でたつと、重みを感じた。

高等部の教室は1階の廊下をずっとずっと先に行ったトコロにあるから
それまでの距離が、とってもあるような気がした。

1年の教室に向かう途中、色んな人に声をかけられる。

「沙誉ちゃん、お久しぶり!」「沙誉さん、おはよう」「あんた、やっと学校にきたね」
そんな言葉を背中一杯に浴びながら、私は何処かの王様のように歩いていく。

そして、とうとう高等部1年の教室の前にやってきた。

唾を飲みこむ。
中から沢山の笑い声がした。

教室にすぐに入るはずの足が動かない。
やっぱり恐かった。

「おはよう」

教室の戸を開け、大きな声で挨拶した。
みんながふりかえった。

一瞬の静寂。
だけど、それは数秒後には歓喜の声に変わった。

みんなが見えた。

先生も、みんなも。本当に嬉しそうに「おはよう」って言ってくれた。
その声を聞きながら、私はここに帰ったんだと実感を覚えた。
嬉しくて、嬉しくて、涙が出そうだった。

ここに帰ってきたんだ。

みんな、ただいま。

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