私が生徒会長をやります
私は一人になったら、よく友達が死ぬことを考える。
生きているはずの友達は死んでて、彼女の葬式に出る私の姿を思い浮かべる。
そしてその後、実際にそうなったらどうしようと泣く。
今いるはずの友達は死んでいないのに。
とってもとっても
変なことなんだけど、それを私は昔からしていた。
だけど、その回数はアキちゃんが死んでから、ずっと多くなった。
Special Need Schoolだからなのだろうか。
それとも、私の妄想が強すぎからなのだろうか。
何故かは、わからない。
友達が死ぬことをイメージすることはとても恐かった。
それなのに、いつもそれをしてしまう自分がいる。
無意識のうちに、自分で気づかないうちに。
友達の中でも、本当にココロを許して話せる友達がいた。
ずっとずっと幼い時からいつも一緒にいた、
明英君と、桃子ちゃんという子だった。
二人とも、身体はとっても弱くて、重い障害を持ってたんだけど
だけど、とってもスバラシイ人たちで、
私はその人達のことを大好きだった。
だから、余計に恐かった。
明英君や桃子ちゃんが死ぬことが。
そんな時、桃子ちゃんが生徒会の選挙に出ると言っていた。
しかも、受かったら生徒会長をするらしい。
桃ちゃんは来年受験を控えてるのに。
無理をしたら、どうなるんだろう。
結果は、わかっていた。
だけど、私がいた学校の中で、一番生徒会長をやってほしかったのは
小島君っていう子と、明英君と、桃子ちゃんだった。
3人とも、誰よりもこの学校を知っていたし、誇りに思っていた。
それに、自分が通っていた学校を本当に愛していた人達だった。
素直に応援してあげるべきなのに、それが出来ない私がいた。
私の中でのイメージは、どんどんふくらんでいった。
このままだと、見殺しにするようなものだ。
もう、中3の時のような思いはしたくなかった。
私も生徒会に立候補することにした。
マジメ君も俺もやりたいと言ってて、手を挙げていた。
ずっと学校を休んでた私が、みんなから選ばれるわけがない。
だけど、それでも何もしないよりはよかった。
ポスター作りから始まって、演説する原稿を書いて。
選挙運動をやって、とうとう立会い演説会の日がやってきた。
緊張した。
私は校長先生でもないのに、紙をとりだして見ていた人達に演説した。
そして演説の最後に、
「桃子さんは身体がとっても弱いんです。私は友達を、また失いたくない。
だから、桃子さんにかわって私が生徒会長になります」と、こう宣言した。
その言葉が、桃子ちゃんをどんなに傷付けたことに気づかないまま、
私はよくやったぞと、顔を誇らしげに自分の席へかえっていった。
そして翌日、私は先生に呼び出された。
教室の中に入ると、
進路指導の鈴木先生が椅子に座ってて、とってもとっても恐い顔をしていた。
「お前、自分が何を言ったのかわかってるのか?」
「え?」
一瞬の沈黙。
それから鈴木先生は話し始めた。
「あんなこと、言ったらいけんだろう。うちの学校は病弱養護学校で、よく人がなくなる。
だけど、言ったらいけんだろう」
先生の話が聞こえない。
頭がパニック状態になった。
それを察した鈴木先生は、途中で山田先生と交代した。
山田先生は、こう静かに話し始めた。
「沙誉さん、あのね、一番わかってるは本人なんだよ。
あんたが、あぁ言った気持ちはわかるけど、一番わかってるのは桃子さんなんだから。
桃子さんはとても人が出来てるから、あんたには何も言わなかったけど
先生には、そうですね。ちょっと嫌でしたと苦笑いしてたんだよ」
頭が真っ暗になった。
目から涙が出て頬を流れた。
そして鼻からは、いっぱい鼻水が出たけれど
涙も鼻水も、どんなにティッシュでかんでも止まらなかった。
私は、一番大切に思っていた大好きな友達を、自分で傷付けてしまった。
彼女にごめんなさいと言ったら、桃子ちゃんはいいよと軽く笑っていった。
一番いいよと言えないのは、桃子ちゃんなのに。
どんなに、ごめんなさいと言っても、桃子ちゃんの痛みは消えない。
あれから3年近くになる。
桃子ちゃんのココロの傷跡は小さくなったのかなと思ってても、
彼女を目の前にすると、何も言えない私が、ここにいた。
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