生活スタイル

人間は1回ダメになっていくと、どんどんダメになっていく。
一本の糸はきることは簡単に出来るけど、元に戻すことはなかなかできない。
その頃の私も、似たようなモノだった。

高校1年の頃の思い出の品なんてアルバムしかない。
文集も作ってなかったし、作文もあまり書いていなかった。
一枚の紙に書けるほどの思い出がなかったから。

アルバムをめくってみると、その時の写真が見える。
沢山写真はあるけれど、どの写真も笑顔じゃない私がいる。
対面式の時は作り笑いを浮かべて、
運動会の時は、仕方がなく私はここにいるんだという顔を満面に浮かべていた。

写真を見ながら思い出す、あの頃。

私は、中学1年の時に水ちゃんと絶交して2年の時に仲直りをした。
仲直りといっても彼女のことを本当に好きで仲直りをした訳じゃなくて、
学校の廊下や更衣室で彼女と会うたびに無視されたり、
睨みつけられたりするのが嫌で仲直りをしたにすぎなかった。

仲直りをしたら本来の友人の関係に戻るから
もう無視されたり睨まれることはありえない。
そう計算しながら彼女にごめんねと言った私は、
自分は本当に合理的だなと、苦笑する。

多少リスクを背負うことになるけれど、
それから得られるメリットに比べればずっと安いモノだと。

そうだと自分に何回も言い聞かせながら、ごめんなさいと言ったあの日。

本来に近い友人関係に戻るけれど、
学部が違うから、あまり接点がない。
だけど、私が高等部に入ったことで水ちゃんとぐっと近づいた。

友達同士の付き合いがあるから高1の時は本当に遊んでいた。

世間ではカラオケと呼ばれるようなトコロに行ったのも初めてだった。
水ちゃんは、私が高校生になったというのに、
それまでカラオケに全く行ったことがないことを聞くと本当に驚いた顔をした。
だけど、すぐに「それなら私が教えてあげるよ」と言って
得意げに手馴れた指でリモコンのキーを打ちながら
入力して、操作の方法を教えてくれた。


両手にマイクを持って、次々と変わる文字を追いながらたどたどしく
水ちゃんが歌った歌を思い出しながら歌う。

何もかも、初めてのことばかりだった。

初めて行ったカラオケは本当に楽しかった。
その後、私は味をしめて水ちゃんとその友達とカラオケによく行くようになった。

外が真っ暗になるまで歌って、夜遅く家に帰り、翌日社長出勤で学校に行く。
それが私の高校1年の生活スタイルだった。


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