入学式
桜が少しずつ散り始めた頃、私は今まで通ってきた
Special Need School(養護学校)の高等部に入学した。
4月1日。
身体が緊張していた。
中学生の頃から着ていたブレザーに紺色のスカートと、
すっかり定着した格好で、私は春風に押されながら学校にでかけた。
学校の玄関につくと、
きれいな字で大きく「平成12度入学式」と書かれていた。
それをまじまじと見ながら学校の玄関をくぐり、養訓室に行く。
養訓室には、もう人が沢山集まっていた。
高等部の先生に、小学部、中学部の先生も行る。みんな嬉しそうな顔をして、
ぴしっと立っていたり、あちこちを忙しそうに移動していた。
新入生の席に座っていた明英君と和美ちゃんは私を見つけると、
嬉しそうに遅いよと言いながら手を振っていた。
「ごめん、ごめん、寝坊しちゃって」
「普通入学式の時に寝坊するかい」
そんなことを言われながら、自分の席に座る。
横には、小学部からの友人、マジメ君が座っていた。
マジメ君は、私の姿を見つけると、楽しそうに茶化した。
「ほら、沙誉さん。前に良い男が二人いるぞ。声をかけたらどうだい?」
言われて前を見ると、確かに知らない男の人が二人座っていた。
一人はひょろ長くて、頭は坊主がりで眼鏡をかけてて前を見ていた。
そしてもう一人は、背はおっきいけれど落ちつけないのか貧乏ゆすりをしていた。
そして和美ちゃんと華ちゃんの横には、少し太ったおんなの人が見える。
みんなそれぞれ緊張しているのか、それぞれの方法で落ちつこうとしているように見えた。
そろそろ、時間だ。
教頭先生が、声高らかに宣言した。
「只今から、平成12年度、北九州市立、企救養護学校の入学式を始めます。一同、起立」
いっせいに先生達のたちあがる音が聞こえる。
それにつられて、私達も立った。
そして、新入生代表の挨拶。
明英君の挨拶する声が聞こえる。
彼の身体はとても小さいのに、声はとても大きい。
勇ましかった。
入学式が終わって、学校の玄関の前でお母さんと一緒に写真を撮る。
自分はどういう顔をしていいのかわからずに、ただつったておく私に対して
お母さんはとても嬉しそうに笑っていた。
そして、家に帰った。
行きと同じ、春風に吹かれながらゆっくりと急ぎ足で。
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