それでも、ずっと、あなたのことが好きでした<後編>

「別れよう」

当然の言葉なのに、私には、信じられなかった。
何で?何で?何でそんな言葉を言うの?ねぇ、何で?
私が、どんなに、優君に、やり直そうと言っても、優君は聞いてくれなかった。
優しい優しい、優君は、私にメールや電話で、説明してくれた。
だけど、どんなに優しい声をしても、文面でも、優君の気持ちは変わらなかった。

2002年春、私は、優君と別れた。

涙が出てきた。
大好きな、大好きな優君。
だけど、これで、これで、サヨウナラ。
「つぎに会う時は、二人がおじいさん、おばあさんになってから会おうよ」
そう電話で言ってた時の優君の声は、どうしようもなく、爽やかで明るかった。
優君、私、待てないよ。おばあさんって、私、どうすればいいの?
これまで、自分の生活の中心が優君だった。

学校から帰ってきて、優君からのメールを、毎日読んでいた。
優君がおやすみなさいと言って、初めて私は寝るようになったし、
あの嫌な、お腹をぽんぽんと、叩くことさえ、日常生活のひとつになっていた。

毎日、気がつけば泣いていた。
相談する相手がいない私は、一人でえーん、えーんと、泣いていた。
あの時の私は、どうすれば良かったんだろう。

そしてある日、PCの前で泣いていた時、ハサミが目に入る。
それを見て私は、引き出しの中にあるカッターを探した。

あった。

見つけたカッターは銀色で光ってて、とってもキレイだった。
これで死ねたら、どんなに楽なんだろう。
胸が高鳴る。

もう

何も、見たくなかった。何も、触れたくなかった。何も、聞きたくなかった。
この目が嫌だった。この手が嫌だった。この耳が嫌だった。
優君のメールを見る私の目、キーボードを触る私の手、優君の声が聞こえる耳。

私という人間を、消したい。
カッターを手に持った。ちょっとだけ、重いような気がした。

手首にしようとせず、私は真っ直ぐ目の方向へ持って行く。
もうPCなんて、見たくない。彼のメールを見たくない。
これで目ん玉を、傷付けるんだ。
数秒後を想像する。私の目は、ぐにゃってなって、きれて、いっぱい血が出るんだ。
あせが出た。

数分後、私は、カッターを机に戻した。

私は、自殺未遂すら、出来なかったんだ。

その後、私は狂ったように、入れ替わり立ち替わり、
男の人とお付き合いをするようになった。
だけど、誰と付き合っても満足しない私は、すぐに付き合っては別れるようになった。
そして、丁度その頃、私のココロは本格的に病んでいて、どんどんどんどん、鬱病になっていった。

手を刺繍針で、赤くなるまで刺した。
部屋に入ると、いっぱいいっぱい、大きな声で叫びたくなってしまうことがあった。
車を見ると、その中に飛びこんでしまいそうになった。
学校のベランダから、下に飛び降り自殺をしてしまいそうになった。
火事になって、焼け死ぬ自分の姿を、想像してしまうことがあった。

結局私は、優君のことを、自分の中で解決できないまま、
迫りに迫った、受験の大山、夏休みを迎えることになった。
そしてこのことは、私の勉強にも、影響するようになった。


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