小さな学校
ある年の秋の日の昼下がり。
私は母の手につれられて、道を歩いていた。
「お母さん、何処に行くの?」
「学校だよ」
「学校?」
入り組んだ複雑な道がある。それを分け入って進んでいくと、校舎が見えた。
本当は、とても小さく狭い学校だったけれど、あまり学校に行ってなかった私には
とても、とても大きい学校に見えた。
玄関に行き、履いてた靴を脱ぎ、学校名が印刷された大きめのスリッパを履いた。
それから廊下を歩いていくと、何かの匂いがする。
それは病院特有の消毒臭の匂いだった。
気になるまま進んで行くと、養訓室というトコロに着いた。
当時の教頭先生が説明する。
「ココはですね、養訓室っていって、まぁ、普通の学校でいったら体育館みたいな所です。
みんな体育の時間は、ココで授業をするんですよ」
確か、その時はみんなでボーリングをしてたような気がする。
ペットボトルで作ったおもちゃのボーリングだ。
軽い玉を転がして、投げる。小さな音を立てて、ピンが倒れた。
「私も、したい」
したい、したい。あの中に入りたい。
「ダメだよ、今日は見てるだけだからね」母が言った。
「またみんなですればいいよ」教頭先生は、にっこり笑いながらそう言った。
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