全教科満点とりなさい<後編>


やれるだけのことを、やったのかどうか、わからない。
BESTをつくしたといえば、そう言うかもしれないし、
そうじゃないんじゃない?とも言われれば、そうだと思う。

私は、全教科満点を、とれなかった。

両親から提案されたゲームに、勝つことが出来なかった。
コンピューターという名前の、機械でつくったゲーム中なら、
主人公は何回死んでも、適当な魔法や道具を使えば、簡単に生きかえる。
だけど、私は、テレビの向こうにいるんじゃないんだ。

唯一満点をとれたのは、音楽だけだった。
苦手な数学と地学は、どうしても70点台までしか、いかなかった。
後は全部、90点台だったけど、それも両親の提示した条件には、遠くおよばなかった。

お母さんは、返ってきたテストを見ながら、頑張ったねと、言った。
その横で私は、般若のような顔をしながら、次の言葉が来るのを待つ。
数学の答案用紙を見ながら、お母さんは溜息をついた。
言わなくても、次の台詞は、わかってる。きっと、こういうんだ。
「頑張ってるけど、数学がねぇ・・・・・・。数学が。
だって、あなた学校でこんなに簡単なのをとってるのに、
点数がこれだったら・・・・・・他の教科は、まだいいんだけど」
私は、顔をあげて、真っ直ぐお母さんの、顔と目を見ながら、叫んだ。

「わかってるよ、それぐらい!だけど、だけど、私、頑張ったんだよ!」

涙が出てきた。これまでに、もう何十回泣いてきたのか、わからない。
言いながら、叫びながら、私は、段々悲しくなってきた。
どんなに叫んでも、どんなに訴えても、この人達はわかってくれないんだ。
それなら私は、どうしたらいいんだろう。

必死の懇願に折れたのか、結局、私は予備校に行かせてもらえることになった。
夏休みの間だけという、限定付きだったけど、とても嬉しかった。
地元で、かなり厳しいけど、その分、合格率が高いと評判の予備校に、期待をふくらませた。
今はまだ、勉強してもあまり覚えられないけど、でも、今からだって遅くない。

頑張ろう。


戻る