マサヤン

授業中に突然、切り裂くような声が聞こえる。
その数秒後に、机の倒れる音が聞こえた。
その瞬間、一瞬クラスは静寂になるけれど、
その直後、必死に、たっくんやマジメ君、授業の担当の先生が必死に彼を抑えつけようとするけれど、
彼の力は他の人達よりも圧倒的に強くて叶わない。

「お前等、死ねッ、死ねッ!ぶっころっす!!」

助けにきた応援の先生達が必死になって彼をなだめ、
我に返ったマサヤンは大声で暴言を吐き叫び、泣きながら教室を出ていった。
これが、1年の頃の毎日の授業の風景だった。

普通校から高等部にやってきたブルマンは精神的に不安定なせいなのか、
中学の頃、いじめられて高等部にくるまでずっと入院してたらしい。

本当は

暴れたくなかった。
大声で叫びたくなかった。
皆を傷つけたくなかった。

だけど、不器用なマサヤンはこれ以外に人に伝える方法がわからない。

当時の彼は、入学したばかりでとっても緊張してたらしい。
それに気づかずに、私は授業中に必ずといっていいほど暴れて授業妨害する彼を、ただ非難していた。

中学の頃、いじめられてたせいなのか、
マサヤンは時々人が自分の悪口を言ってるように聞こえる時があった。
そして、自分の言いたいことがうまく伝わらなくて相手に勝手に解釈されたりすると
決まって叫び声をあげ、机や椅子をなぎ倒して物にあたり、みんなを傷付けようとした。

だけど、それでも、マサヤンはとてもステキな人だった。

私は

今までにSpecial Need School(養護学校)にいたり、PCを持っているせいか
現実世界でも、ネットの世界でも色んな人に出会えた。

本当に、数え切れないほとの人に会ったんだけど、
マサヤンは、多分ダントツで私の中でのスゴイ奴ランキングの中に入っていた。
だけどスゴイ奴ランキングの中にマサヤンが他の誰もを圧倒的に追い越して入るのは、ずっと後からになってからだった。

彼は、いつも暴れて後、別の部屋に行ってから自分が暴れた理由を言った。
その理由は、どれもいいことばかりだった。
みんなが気づいていなかったことを、マサヤンだけが気づいていたこともあった。

そのうち段々、私は彼を「理由がないと暴れない人」と認識するようになった。
彼は、必ずしも理由がないと暴れない。
彼が暴れる先には、必ず何かその根源となるようなモノがあるのだと思った。

だけど、そう思うようになったのは、
高校1年の時のある事件を通してからだった。

それまではずっと、私はマサヤンのことを最低な人だと思っていた。
授業中に勝手に騒ぎ出し、注意すると聞くどころかますますエスカレートする。
はっきり言って、手のつけられない。

何度も、何度も、担任の先生に文句を言った。

マサヤンがどんな病気なのか、彼がどんな気持ちで暴れるのかをわかって、
また、私がどんなに怒っているのかも知っていた担任の先生はどうすればいいのだろうと激しく困惑した。

このままだと、マサヤンがみんなから外れてしまう。

当時担任だった榊原先生は一生懸命に
彼に、もう暴れたらだめだよ、我慢しようねと何度も何度も言った。

それでも、止まらずに彼はまた暴れ出す。

彼は、彼なりになりに、頑張っていた。
少しずつ、落ちつこう、暴れちゃダメだ、そうしていた。
だけど、どんなに頑張っても
理性より本能の方が先に出てしまう。
そんな子だった。

だけど、その時の私は、彼がどんなに暴れないぞと
頑張ってるのか知らなかったし、また知ろうともしなかった。

入学したばかりなのに、こんな学校生活を送ることになるなんて。
高校1年生になったばかりの私は、段々、高等部にきたことを後悔するようになった。

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