ワニ殺人記
第一章 事情聴取
「あなたはたくさんの人をたべたので、少し話を聞かせていただきます。」
難しそうな顔をした警察官は、犯人だと思われるほど恐ろしい顔を
しているワニに問いかけた。するとワニは顔にあわないほどの素直さで答えた。
「すみませんでした〜。これからはもっと多くの人を食べていきますぅ!」
と頭をペコリとさげてあやまった。
「では、これからはもっと多くの人間を・・・・?多くの人間をどうするって?」
警察官は今聞いたばかりのことをまた問う。
「・・?だから、前よりもっと多くの人を食べるんです。もしかして耳わるいですか?」
ワニは悪気のなさそうに答えた。
警察官は苦笑いしながらつい思ったことをつぶやいてしまった・・・。
「だから人間食べちゃだめだって・・・。」
そのつぶやきを聞いたワニはとたんニコニコ笑って話しはじめた。
「それなら大丈夫ですよー。私、悪い人しかたべませんから。」
とてもたくさんの人を食い殺したとは思えない顔だった。
「そうなんですか?」
良い分けない。とわかりながらもつられて聞いてしまった。警察官は
既にワニの口車にのせられてしまっていた。そしてワニは無実になるため、
「ええ、そうなんですよ。しらなかったんですか?法律でも
悪人なら食べても良いと決まってるじゃないですか・・・」
「私もまだまだです。そんなことも知らなかったなんて・・・」
・・・・・・「!」
しばらくして話しているうちに我に返った警察官はワニの策略にはまって
しまったことを悔やみながらいった。
「だめです!」
悲鳴にも似た声で。そして先ほどの声が嘘のようにボソボソと
「もう人間を食べては・・・」
ひきつった顔で言った。(もしかして自分が食べられてしまうのでは?)
という顔だ。
恐怖に満ちた彼とはべつに、ワニは泣いていた。
「そ・そんなぁ〜私は人間しか食べられないのに・・・人間をたべなかったら、
私、死んじゃうじゃないですか・・・あなただって、牛や豚、鳥を
食べたりするでしょう?私にとってその動物たちが人間なだけなんです!」
などとあまり意味のわからないことを力説しはじめた。
いままでそれをただ黙って聞いていた警察官はいつのまにかライフルの
銃口をワニに向けてしみじみといった・・・
「そうなんですか―――お気の毒に・・・これからずっとたべられずに
苦しむより今、ここで楽にしてあげましょう・・・。」
そういってひきがねを引いた。その瞬間、大きな銃声とともに
ワニの悲鳴が響いた・・・・
「うわぁぁ〜〜」
・ ・ ・ ・
『 「 あれぇ? 」 』
一人と一匹はそうつぶやき目をあわせる。
なんともない・・・
というか、ワニの身体には撃たれたあと・いや、かすり傷ひとつない。
あんなに至近距離から狙ったのだ。まさかはずしたはずはない。
・ ・ ・ ・
しばらくの沈黙の後、先に口をひらいたのはワニのほうだ。
「さすが私の毛皮♪やはりライフルごときなんともなかったか。」
その顔はとても満足そうだ。
呆然としていた警察官はこの先どうするか必死で考えた。
このままにしておけば次ぎに食べられるのは自分だ。
そうして考え出したことは、とりあえず檻に閉じ込めておくこだった。
・ ・・ ワニが檻に閉じ込められてから数日後 ・・・
バキッ バキバキィッ
ワニの檻のあたりで奇妙な音がし、不思議に思ったワニの見張りは
音のしたほうにむかってあるいていった。そして一つ角をまがって
その見張りが見たものは檻に入っているはずのワニの後ろ姿だった。
そしてそれは彼の見た最後の光景。つまり彼はワニに食べられてしまったのだ。
・ ・・数時間後ワニの見張りを交代しにきた、係員は異変に気がついた。
交代のはずなのに前の人がいない。それどころか檻は壊されている。
そして、その壊されたおりのなかに一枚の紙が・・・
そこには、「今までお世話になりました。檻の生活に飽きたので行きます。
バイバイ★ ワニのポヒより。」 と書かれていた。
これをみた係員は血相をかえてその場から走り去った。
「ワ、ワニが逃げました。檻が壊されて・・・」
係員がむかったのは彼の上司のもとだった。そして今見てきたことを報告した。
それを聞いた上司は信じられないとでもいうように目を見開き、
「檻が壊されるなんて・・なんておそろしい・・・。」
そうつぶやくと今度は部下にむかって、力強く言った。
「今すぐワニを指名手配しろ!これ以上人を食べられてたまるか!」
と。