| 「変なガイジン」 ![]() 日本語を熱心に学んでいるフランス人の友人がいる。 学んでいる、なんていう生易しいものではない。 大人になってからはじめた日本語なのに、新聞の経済欄だって日本 語で結構読める。漢字もよく書ける。 日本人の女のコを口説くために日本語をやっている、というよくあ るナンパなレベルをはるかに超えた?真剣なレベルの日本語をこな すのだ。 3年くらい彼が滞在していた日本にも、りっぱな友人が何人かいる らしい。 男同士で日本語で文通、なんていうのも熱心にやっている。 その彼と数週間ぶりに会って、仕事の調子はどうだった?な〜んて 軽い会話を楽しんでいたところ、会話に反応しながらも落ち着かな い様子で、彼特有のなまった日本語で、「すみません。日本の友人 から年賀状をもらったんですが・・・」と言いながら、ヤツはがさ ごそとカバンから何かを取り出してきた。 見ると綺麗な鶴が飛んでいる年賀状である。 「これを見ていて気になったんですが、鳥の鶴とツルツルという のは、何か関係がありますか?」 流暢な日本語でフランス人の友人からそんなことを聞かれて、思わ ず飲んでいたカフェを吹き出しそうになった私に、彼は急いで追い 討ちをかけるように言う。 「鶴の頭にはあんまり毛がないと思いますが、関係ありますか?」 えっ!え〜っ!?? 気が弱くて、その上あんまり教養のない私は、「鶴とツルツルは 関係無い」とは断定できないまま時間が過ぎていった。 彼ははっきりした回答を得られないのはまあ仕方ない、とすぐに あきらめて、カフェの窓ガラスを手で触って「ツルツルですねえ。 これ」なんて言って、にっこり。立派なビジネスマンのくせに、 奇怪な奴だな〜、何をいきなり!と思ったが、私はなぜかツルツル について何も言えなかった。 友人達は「違うでしょう。関係無いでしょう」と笑うだけで、 やはりツルツルの語源は誰も説明してくれなかった。 西洋の友人にとって日本語で面白いと思うのは、いわゆる擬態語、 擬声語であることが多いようだ。 ドイツ人の友人は、日本語では何でも自由に言葉を作っていいと 思っているらしく、にょんにょん歩く、なんて言ってる。 どんな感じで歩いているのか、想像は出来なくも無いが・・・。 先週は東京にいるバイオリニストの友人が忙しい中、携帯メール でこう打ってきた。(中国人の日本語試験の回答らしいが・・・) 問1:「どんより」を使って短文を作りなさい。 答え:「うどんよりソバが好きだ」 問2:「うってかわって」を使って短文を作りなさい。 答え:「彼は麻薬をうってかわってしまった」 問3:「もし〜なら」を使って短文を作りなさい。 答え:「もしもし、奈良県の人ですか?」 ここまでくると、凄い。 ガイジンとはいえ、西洋人のように文法や論理で日本語を攻めて くるのではなく、さすが音で勝負してくる感のあるアジア系の ガイジンである。 しかし、「フランス語にもう不自由しなくなりました!」なんて 偉そうにパリの街中を徘徊している私の話すフランス語は、例え ばお買い物の時には、どんな風に聞こえているのだろうか。 「ちゅいまちぇ〜ん!トマトくださ〜い」 「マドモワゼル、あなたは今日も美しい」 「ちってるわよ〜、そんなこと!早くトマトちゅちゅんでちょう だい。今日はお客が来るから時間がないのよ〜」 「2ユーロです!良い週末を、マドモワゼル!」 「ありなとう!良い週末を、ムッシュウ!」 憧れのパリでフランス語の粋な会話を楽しんでいると思いこんで いる私にとっては想像したくないことだが、私の会話がこんな調 子ではない、と断言することは難しい・・・。 しかし、外国語はレベルに構わず、堂々と喋るのがとにかく好ま しい。 変なガイジンは、どこの国でもほほえましいものに違いない。 東郷さやかにコンタクト:info-pd@wanadoo.fr
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