「生活珍事」

パリの地下鉄やカフェ、バーには、至るところネズミがウロウロ
ちょろちょろ・・・。

これは、日本にいるみなさんには意外に知られていないかもしれま
せんね。写真で見るパリは大変美しいですから・・・。

最近の地球温暖化で、南フランスからネズミやシロアリなどが北上
してきてパリに進出。街中(害虫?)デビューを果たしている、と
いう情報もありますが、そうです、パリには沢山いるんですよ、ネ
ズミが!

パリのネズミの数は、東京のそれよりもっと多いのです!
ま、筆者はまだ小さなイエネズミしか見かけませんが・・・。

超お嬢さま風に気取っている筆者の友人も、日本からパリへ遊びに
来ての第一日目、パリの地下鉄の椅子に腰掛けて優雅に列車を待っ
ていたところ、小ネズミさんがいきなりご登場・・・。

それが運悪く、彼女が座っていた駅の椅子のすぐ真下でした。

「キャ〜〜〜!きゃあ!!ぎゃあああああ!!!ネズミィ!!?」

フランス国籍のネズミにも、その叫び声の意味は何となく分かった
らしく、ネズミちゃんは早々に方向を変えて姿を消しました。

お嬢さまに全く相応しからぬ大絶叫を上げて、バッグを取り落とし
そうになりながら、何とも言えない驚き踊りを見せてくれた友人に
筆者は言いました。

「あちこちにいるよ。イヤなら立って電車を待っていた方がいいよ」

観光するには大変優雅なパリの4区、5区、6区などには、綺麗な
ガラス張りのカフェやレストランがたくさんありますが、こういう
カフェにもいるんですよね、例の小さなネズミさんが・・・。

良く見ると、カフェでは大変ダンディな若いフランス人のボーイさ
んが台の上でパンを切りながら、ひょいと足元に現れたネズミちゃ
んを蹴ったり(ひどいですね!ネズミちゃんにも人権が、いやネズ
ミ権がありますよね!?)、驚いて固まっている外人の客にウイン
クして、「いやあ、あれは僕のガールフレンドでねえ」なんて言っ
たり・・・。

清潔好きなドイツ人の観光客などは、そういう冗談には笑わないの
です。
爆笑しているのは地元のパリジャンばかり・・・。

ドイツに住んでいた頃は、レストラン経営者と話しをしたら、こう
言っていました。

「ちょろちょろっとネズミが走ったら、即営業停止だからね。だか
らもう大変だよ。地下室も見回って、ねずみ取りをしかけまくりだ
よ」

でも、パリで「ネズミが出たら営業停止」などと言ったら、たちま
ちほとんどのカフェが店をたたまなくてはならないかもしれません。

友人のチェリストは、優雅な地区だと思ってカフェやディスコバー
がたくさんある地区に移動しましたが、「チェロの中にネズミが入
ってしまって、夜に大騒ぎした」そうです。

まるで宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」のよう?ですが、動物と
友情を結ぶまでには至らなかったらしく、彼はカフェの無い地区に
引越しをしていきました。

筆者もパリのネズミの存在に気づいた時は大変ショックで、フラン
スは汚い!などと思っていたのですが、キオスクに行ったりすると、
山のようにあるかわいいネズミちゃんのハガキシリーズや文房具用
品に驚き、そのうち「自分の部屋にいなければいいや」と気楽に他
のネズミ騒動を眺められるようになりました。

え? 東郷さやかの部屋にネズミが出たことはないかって?

1回だけあるんですよ、これが!

夏にあんまり暑いので部屋の窓を空けっぱなしにしていたら、外か
らネズミが這い登ってきて(うちは4階ですが下にカフェがあるの
です)、そしてネズミはさやかちゃんのピアノの中に入ってしまい、
ついでに道に迷って出られなくなってしまったらしく、パニくった
ネズミちゃんのしっぽがピアノの弦にふれて・・・。

じゃらららら〜〜〜ん・・・。
ぴろろろろろろ〜〜〜〜ぉん。。。

はい、妙な音階を聞かされました。
夜中の2時くらいに・・・。

でも、東郷さやかのイメージダウンになるので、この話しはここだ
けの話しね・・・。

・・・。

ああ、書かなければ良かった・・・。(−−)

う、うちのアパートは普通の綺麗なア、アパートです!
パ、パリの普通の・・・。

          (現代の妖怪:2003年3月14日掲載文)

「生活珍事」

ひょうきんなドイツ人青年がある話しをしてくれました。

「小型の飛行機に乗っていたら機体が激しくゆれて、落ちそうにな
ったんだ。僕の人生上でもっとも恐怖を感じた瞬間さ。」

おおげさな作り話かと思ったけれど、話は本当のようでした。

「で、機内にはいろんな国籍の連中がいた。アメリカ人、イギリス
人、オ−ストリア人に我々ドイツ人。みんなビジネスマンだったよ。

スチュワーデスが、電気系統の故障であることを神経質に説明して
安全ベルトを締めるように言ったら、アメリカ野郎がスチュワーデ
スに向かってすぐにこう言った。

『ベイビー!飛行機が落ちる時には、俺が君をしっかりと抱きしめ
ていてやるぜ。心配するなよ!』」

アメリカ映画に出てくるようなセリフじゃない!と言って、筆者は
笑ってしまいました。

青年は話しを続けます。

「アメリカ野郎は、けっこうにやにやしていて余裕だったけど、オ
ーストリア人のビジネスマンは、真っ青になって新聞を読んでいる
ふりをしつつもナーバスな様子を隠せなかったさ。

最悪は俺たちドイツ人で、まず先輩が大声で文句を言い出した。

『ここで死んでしまうと、また女房に何か言われるぞ。しかしこの
揺れはなんだ!搭乗時刻が大幅におくれた上に、こんなに揺れて恐
怖を味わわなければいけないなんて、おれは絶対に納得しないぞ。
・・・あ!水がこぼれた!いかんいかん!間違いなく揺れ過ぎだ!』

僕を含めてみんなが絶え間なく文句を言っていて、自分達でもちっ
とも面白くなかったよ!
我々ドイツ人なんて、いつでも細かいことで文句を言ってるのさ。

でも、僕は生涯忘れられない。

乗っていた数人のイギリス人集団は、飛行機に乗ってから機体が揺
れ始めて、そして大丈夫になってちゃんと機体が無事着陸するまで、
平然とポーカーをしつづけていたんだ。

ポーカーは着陸と同時に終わって、奴らは機体が揺れていたことに
ついて一言も言わないまま、荷物を手に取ると、平然と下りていっ
たよ」

まあ、彼はイギリス人贔屓のドイツ人青年であったので、話しには
多少色をつけてあったかもしれないけれど、いくら地球がひとつで
世界はひとつ、といっても、国籍ごとの容姿の違い、キャラクター
の違いは、現実としてかなりあるのは本当。

筆者独自の見解ですが、アメリカや日本と違うヨーロッパの気質に、
「各国を名指しでけなしたり、珍話のネタにして激しく喜ぶ」とい
うのがあります。

アメリカでそんな発言をしたら、大変な人種問題発言になる!とい
って、ヨーロッパに来てヨーロッパ風の冗談に肝をつぶす友人を何
人か見てきましたが、ただでさえヨーロッパというのは、かなり批
判精神が発達していて、嫌味のキツイ人でごったがえしているよう
なところがあるようです。

そして、持ち前の辛らつな勢いで「イタリア野郎が何をほざきやが
る!」とか、「フランス人は糞だ!」」などと彼らがいっているの
を見て、はじめはびっくりしたけれど、慣れてくると、彼らがお互
いにお互いの気質や容姿を面白がっていることにも気付くし、何を
言われても、それほど気にしていないようなマイペースでラフな態
度にも少し安心しました。

失礼なイタリア人が、ある時レストランで私にこう言いました。

「なんだい、君たちアジア人は!家を出てくる前に、ドアに激しく
鼻をぶつけてきたのかい?鼻がえらくつぶれているぜ!」

イタリア人の鼻は、フランス人のそれよりもかなり高い・・・。
彼らにしてみれば、鼻が「たか〜い」のは普通で、アジア人の鼻が
奇妙に見えるのは、たぶん本当のことでしょう。

真実には逆らわないほうがいい。
でも、こんな事を言われてヨーロッパで黙っているのはいけない!

ぬけぬけと私は言いました。

「そっちこそ、その顔をドアに横向きにぶつけてから出てきたんじ
ゃないの?かなり不格好よ!」

近くのテーブルに座っていたフランス人には、「ブラボー!マドモ
ワゼル!!」と言われ、笑い出したイタリア人には、なんと巨大な
ティラミスをご馳走になりました。

ティラミスが出てきたせいではないけれど、こういった出来事を面
白く感じたわたしは、「鼻がつぶれている」を「偏見」とは思わず、
気楽にレストランを後にしました。

          (現代の妖怪:2003年1月3日掲載文)

「生活珍事」

始めてパリへやって来た時、筆者は凱旋門の近くの小さなホテルに
宿をとりました。
ホテルに荷物を置いてすぐに街へ出て、凱旋門からにょっきりと下
っていくシャンゼリゼ通りをぶらぶら観光したりしていました。

ふと凱旋門を遠くから眺めていたら、門の屋上に米粒のように小さ
いながらも観光客の姿が見えたのですが、凱旋門の根元を探しても、
凱旋門屋上への観光ルートの入り口は見あたらない・・・。
当惑しつつもホテルに戻り、ふとホテルのフロントにいたお兄ちゃ
んに聞いてみました。

「凱旋門の上にはどうやって上がるんですか?」

パリジャンのお兄ちゃんは、即答してくれました。

「ヘリコプターで登るんですよ、マドモワゼル」

少し落ち着いて見回せば、凱旋門からほんの数十メートル離れた所
に観光の為の入り口があったのでしたが、「パリ観光!」という気
持ちでいっぱいだった私の目には大きな建物しか目に入らず、落ち
着いてモノを探す余裕も無かったのです・・・。

後から思い起こすと、観光している時のちょっとしたドジな話しは、
旅の思い出を更にふくらませてくれていることに気付きます。

          (現代の妖怪:2002年12月20日掲載文)

「生活珍事」

先週、日本語をかなり話せるフランス人の友人を家に招いて、日本
食を作ってもてなしていた。
日本食でもてなすといっても、人を呼ぶときには、ガイジンが泣い
て喜ぶお寿司だのしゃぶしゃぶを作ることはあまりなくて、私はい
つも鳥の唐揚げだの、お味噌汁のついている、ごく普通の家庭料理
で人を呼ぶことが多い。
さて、その日のメニューは焼き魚にお味噌汁に、ごま風味の和風サ
ラダなど・・・。
お味噌汁を飲んでいた友人が、入っていたサトイモを箸で器用につ
まんで、こう聞いてきた。
「これは?お芋のようだけど。ジャガイモとは違う?」
「サトイモっていうのよ」
「ふ〜ん。サツマイモっていうのもあるじゃない?」
「あら、良く知ってる」
「うん、でも、これは焼き芋っていうのとも違うみたい」
・・・。ヤキイモね・・・・・・。
もちろんきちんと説明したけれど、国籍の違う者同士で話をしてい
ると、特別すごい話題がなくても、お互いに結構楽しい勘違いがあ
ったりして、思わぬ所で活気のある会話になることが多い。
しかし、笑える事ばかりではない。
ぎょっとさせられることもある。
ある日、別のフランス人に日本のアルファベットを見せてと言われ
て、馬鹿正直にこまかく説明していたら、彼は深くため息をついて、
「ねえ、この複雑な日本のアルファベットが、10年後には我々の
アルファベットと同じようになってくれる日が来ると、君は想像で
きるかい?」
まあ、外国に住んでいると、色々なシチュエーションに遭う。
「何を!傲慢なことを言う!」「どうやってあんたん所のアルファ
ベットで高尚な、薫り高き俳句を書けっちゅーのよ!」などとカリ
カリしてはいけない。彼は一応親切なのである。
私は即答した。
「こっちのアルファベットもいいかもしれないけど、どうもそれも
イマイチなアルファベットよねえ・・・。全世界でアルファべット
を廃止したほうが、話が早いかもしれない!」
わたしにはかなり強烈な妖怪がはりついていて、そうした皮肉を言
わせたのかもしれない・・・。
文化交流もほどほどに!?
国境沿いの妖怪どもが、活発に悪さをし始めるかもしれないので・
・・。
          (現代の妖怪:2002年11月19日掲載文)



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