リストカット


最近、よく耳にする言葉。
リストカット。
その行為をする者。
リストカッター。
手首もしくは腕を切り刻む行為。
常人が見たり、聞いたりしたらどう思うだろうか?

「異常」

「精神錯乱」

「人格崩壊」


こんなとこじゃないか?





僕の腕には無数の傷がある。

腕にも。

手首にも。









そう・・・。

僕もその一人だ。


僕がリストカットをやりだしたのは、高校一年の9月。


僕の高校では、二大行事(体育祭・文化祭)が盛んだ。
その日、僕の学校は体育祭の用意をしていた。
僕はもう長いこと一人だった・・・。


入学したては友達もいた。
部活もやっていた。
馬鹿もやっていた。
結構疲れながらも、楽しくやっていた。

――研修旅行で全てが音をたてて崩れた・・・・・・。


研修最後の日。
僕はたまにでる目眩で動けなくなっていた。
今でもたまになるのだが。
親には自律神経失調症では?と言われる。
とにかく、それになったら寝ていても目が回る。
動けば吐く・・・というような状態に陥ってしまう。

気力を振り絞って、掃除をしているとクラスの人間に呼ばれた。

「嫌な予感がする・・・」

案の定。
呼ばれた部屋には何人ものクラスの人間が。
でも、僕は怖いとかそんなことは思わなかった。
ただ・・・だるかった。

「あんたさぁ、うちの悪口言ってるって?」
とある人間の開口一番がこれだった。
「言ってない」
本音。
「お前は馬鹿か?」
「でもさ、言ってるの聞いたって子がいるんだよね」
「・・・誰?」
「それは言えないわ」

周りはクスクス笑ってる。
しかし、どうでもよかった。
だって・・・高校だぞ?
僕は高校生になったはずだが・・・?

そんなやりとりが続いて解放されたけど。

その後の学校生活は地獄だった。
何をするにも一人だった。
僕は孤独になった・・・。


そんなこんなでずっと生きてきた。

その日の昼休みも一人で弁当を食べ、図書室へ。
五時間目が始まるギリギリにカッターを借りた。
「体育祭の準備でいるんだけど、持ってなくて・・・。」
借りたカッターを持って、僕はトイレに駆け込んだ・・・。




死ぬつもりだった。
生きている意味はなかったから。
これで苦しむこともないと思った。
・・・でも。
死ねなかった。
手首に当てた刃を横に動かすことすら出来なかったのだ。
僕は・・・泣いた。

それから保健室へ行って、ベットで寝るといって一人になった。
死ぬことも出来ない自分に腹が立ち、腕に刃をあてがった・・・。
何度か切って・・・。

それから僕はリストカッターになった。



今はほとんどしない。
でも・・・。
完璧にやめることも出来ない。
ほとんどしなくなった反動で、切る時に狭く深く切るようになった。
前は、どちらかと言うと広く浅くだったのだが。



でも、今僕には友達はいる。
この行為を止める友達がいる。
僕は・・・幸せだと思う。
でも・・・全てが伝わるわけではないから。
僕が弱いから・・・。
やっぱり切ってしまう。



リストカットは自分との戦いだ。
負ければ腕にそれだけ傷が残るのだ。
今のとこ僕は勝ってるのかな。
連勝とはいかないけど。

ここを見てるかもしれない貴方。
リストカットとは無縁かもしれない貴方。
そんな貴方に僕は言いたい。

どうかこんな人間がいることを分かってほしい。
常人はお利口な道徳観念を振りかざして結局僕たちを分かろうとはしない。
自分たちがあくまで「普通」なのだと思っている。
確かに僕は「普通」ではない。
でも・・・普通って何だ?
僕が思うに「普通=その人のものさし」だと考える。

本当にこの世に「普通」などありえないのだから。

だから。
どうか僕という人間もいるということをわかってください・・・。


カナタ拝




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