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(こんな所に来て俺は一体何がしたいんだ??)
只今の時間夜十時過ぎ。
予備校の帰り道、幼馴染の夏美を家まで送った。
後は真っ直ぐ自宅に向かえはいいだけだった。
だが空に浮かぶ月を見ていたらふらふらっと道を間違えて―と言っても自覚症状はあったのだが今、綾の家の前に勇人は立っている。
南向きに建つ家。
庭は広く緑が沢山あるらしい。
(もう秋なんだなぁ)
鈴虫だかなんだかよくはわからないが忙しなく鳴いているのが聞こえる。
二階の一室の窓が開いた。
暗くてよく見えないがあの長い黒髪は綾だ。
綾は外に出るなり上を見ている。
(月?見てんのかな)
月を見上げる綾。
綾を見上げる勇人。
勇人も樋口家の塀に背を向け寄り掛かりながら月を見上げる。
半月より少し太った月。
(きれいだな)
暫らく月を眺めているとバイブレーションにしたままの携帯が呼った。
勇人はかなり驚いて携帯をポケットから取り出す。
綾からの着信。
振り向き綾を見上げるがいつの間にかベランダから姿が消えていた。
深呼吸を一度して通話ボタンを押す。
「あ、勇人くん?樋口です。」
携帯から聞こえてくる綾の声に体温を上昇させられながらも冷静を装おうと返事を返したがどもってしまった。
そんな勇人に気付きもしないといった様子で綾は月について力説している。
「月がとっても綺麗なんです!!心なしか赤みがかかってる、というか、ピンクの月なんです。」
「ピンクぅ?ああ、言われてみればオレンジっぽいかも。」
「オレンジじゃないですよぅピンクなんです!!」
綾は再びベランダに出てきて月を見上げる。
勇人は綾を見上げる。
「きれい」
月を見上げそう呟く綾の姿がきれいで勇人は
「・・・ほんとにな」
そう返した。
月を見上げていた綾が何を思ったか下を見下ろす。
勇人と綾、二人の視線はバッチリと重なった。
今だ通話中の携帯から綾の勇人を呼ぶ声が耳に響く。
勇人はバツが悪そうに軽く片手を上げる。
「今下りて行きますからっ」
綾はそう言うと携帯を切りベランダから消えた。
(ストーカーとか思われちまったかもっ)
勇人は目を瞑り顔を真上に向け天を仰ぐ。
程なく綾が玄関から出て来た。
「今晩は」
そう言った綾の声は思っていたより明るかった。
勇人は綾の次の言葉が何かドキマギしたが予想とは反して
「ピンクですよね?月。」
先程よりも幸せそうに月を見上げる綾。
「頑固だなぁ綾は」
勇人も幸せそうに月を見上げる。
二人は思っていた。


遇えてよかった、と。





ピンクの月
勇人バージョンです。
あんまり変わり映えしないですね〜・・・
その割には難産でした。
なんかラスト気にくわないし・・・
知らぬ間に変わっているカモしれません。なんて。