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「今更何を迷っているんだい?」
満月の晩。
最もこの世界―リィンバウムの魔法力が高まる時間。
月からの魔法力が降り注ぐ中本当に久し振りに異母兄と言葉を交わす。
「なんだろうな・・・」
異母兄キールに問われるまで己に迷いが生じている事に気が付かなかった。
(この感情が、『迷い』・・・か)
十五の歳から二年間監禁状態であらゆる召喚術を頭と身体に叩き込まれ人間らしい感情なんて消え去ったものと己も周りの人間も信じきっていたのにキールはソルの人間らしい『迷い』の感情を見抜いていた。
「キミのやれる事は二つに一つだろ?」
顔は笑っているが冷たい眼でソルを見下ろし
「魔王に世界を滅ぼさせるか―」
俯いていたソルの顔を襟首を掴んで無理矢理上げさせ、熱い眼で抜け殻になっているソルの眼を睨み
「キミがボク達を殺すかだ!」
ソルの瞳に光りが戻る。
「・・・誰が誰を殺すって―?」
「キミが!!ボクやカシス、クラレットを殺すんだ!!!」
小声だがおもいっきり感情を乗せてソルにぶつける。
「できない―出来るわけない・・・」
消え去った筈の感情がソルの内から湧き出る。
「じゃあ、魔王を召喚するんだな」
そう言い放ちソルの襟首を解放する。
支えを失った身体はその場に崩れ落ちる。
「ソルっ!」
そういいながら駆け寄ろうとして来たクラレットをキールが制する。
クラレットは長兄に従いソルを見つめるに留まった。
ゆっくりと自分を呼んだ声の方に顔を向けるソル。
心配そうにこちらを見つめるクラレットが視界に入るとソルの心臓が速く脈打ち始めた。
「・・・だからキミでは駄目なのに」
冷めた眼をソルに落とす。
「・・・何がだ、よ」
ギロリと、キールを睨み返す。
「キミが最高責任者じゃ魔王を降臨させる事はできない。失敗するのが落ちだって言っているんだ。」
「さっきからお前は何が言いたいんだ?」
立ち上がりキールの胸倉に掴みかかる。
キールの瞳がみるみる温か味を帯びてくる。
「ボクはキミが羨ましい」
ソルのキールを掴む手の力が緩む。
怪訝に自分を見つめるソルの頭を両腕で抱き包む。
「何時でも何処ででもどんな姿になっても、ボクはソルの味方だよ。全力でキミの為に働くことをここに誓約する。」
ソルの頭を解放し一瞬眼だけでソルの瞳に微笑む。
「・・・な、んだよ、それ?」
問うソルに背を向け持ち場に戻りながら
「ソルの好きな様にしたらいい。キミの選択に従うって事だよ。」
そう言った。
呆然と立ち尽くしているソルを他所に儀式が始まる。
進行するにつれソルも参加するが集中できない。

(どうすれば、どうすればいい?どうするべきなんだ!?)

儀式が佳境に入る。






 ―クラレット






 ―カシス




  ―キー、ル!!








 助けて―






















     助けてくれっ!






































ソルの心の叫びは魔王召喚の儀式を失敗に導いた。
大爆発が熾きる。




























爆発の後に残ったモノは―