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▼過去作品▼
 
 

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01

 

久方の陽光 さは夕去りの 薄墨色の雲居を染めて  

水無月

02

 

 

 

 

くゆめる気空のせいたるか
けぶった視界に目を凝らせども
水滲(にじ)みたる描線は 
閉曲線と化せたりつ
眼(まなこ)閉ざさば ますます見えぬ 身辺落花の色(いろ)美(み)さえ
ただ胸中の漆黒闇の形も成せぬものに怯えぬ

いづくのときに気づけるや
己の足元の落花の芳香
極彩色(ごくさいしき)花(か)にかこまるる ありがたかりし自らの幸(さち)  

水無月

03

 

 

強くあれよと 他も我も 願いて戦地に赴けど
いつの間にやら歩は緩み 声も気力も萎えにしを
奮い立たせてこその花
奮い立たせることあたはぬは 弱者敗退の当然の理
いと情けなく いとけなく 力なく去る者の常   

水無月

04

 

 

 

 

卯月 小さな緑の葉があって
皐月 壊れた自転車が投げ捨てられた
水無月 蔦がそれをとらえて
葉月 新緑で形も判らない

いまここに在るものは、いずれいつかは朽ちるだろう。
しかし朽ちるものをも覆う、緑の生命を持つものたちは、
たとえ人が壊した地でも、辛抱強くその色に覆う。
いつか人が絶えたとき、どうか道路も建造物も、まばゆい緑に覆われて
見えなくなってしまいますように。   

葉月

05

 

 

遠き地に思いを馳せ 彼方の人の安否を思う
長き時間の過ぐるを思い いつか叶う願いを口ずさむ
私を必要といってくれるあなたが いてくれるから生きていける
私があなたを必要としていることが あなたにも伝わっているだろうか 

葉月

06

 

 

 

 

平行回転する半球を 思い描いて幸せになる
昔々の自分が何を 楽しみとしていたか思い出す

夜空に浮かぶ微光に目を凝らし
喚起していた頃は幸せ
今の私の瞳は濁り、微光を捉えることさえできない
眼前に頓挫する分厚い雲を吹き飛ばしたなら見えてくる
星々に変化などありはしないのに            

葉月

07

 

雲幕を 透かして注ぐ 望月光
黒き水面は 千々に乱れて  

長月

08

 

 

ぷつりと潰れて 光を放つ 夜光虫
さは死の証明 さは生の痕跡(あと)   

長月

09

 

 

 

鋼の翼を手放して 地上で一人 遥かな距離の空を見上げる。
それを哀しみ泣くことはない。それを僻み(ひがみ)恨んでも意味がない。
再び自由を手に入れた。
目的地へは歩けばいい。
幸いにして、今日は晴れ。
瞼を閉じても知れる光源に、ただ向かって歩けばいいだろう。  

神無月

10

 

肌寒き 気空を震わす 口笛の 音に薄穂(すすきほ)も 揺れ動き  

神無月

 
 
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