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崩壊の足音4 |
「光・・・・光・・・・!!大丈夫か??!」
どこかで聞いたことのある声が、自分を呼んだ。
ゆっくりと瞼を押し上げると、黄色い閃光が瞳を射抜く。
「・・・・・・ん・・・」
半分だけ開いた瞼を、人の気配がする方向へかたむける。
「・・・光?」
「・・・由宇?!」
ぼんやりと見えるその姿は、ベージュのニットに黒のジャケットを羽織り、 細身のブラックジーンズを履いた、男の姿。 見慣れない格好とはいえ、そのタイトなルックスには見覚えがあった。
「光・・・こんなとこで何してんだ??」
「・・・え・・」
ようやく光に慣れてきた目で周りを見渡すと、 澄んだ早朝の空気の中に、緑の葉の間から零れる薄いクリーム色の日光が、 冷たい黄土色の地面をちらちらと照らしているのが眼に入った。 辺りに人気はなく、さわさわと微かな風に木の葉の揺れる音がする。
・・・ここは、公園?
自分は、ベンチの上に横たわっているようだ。ゆっくりと起きあがって辺りを見回す。 地面には茶色の葉が折り重なり、朝露が表面を包んでいる。 冷たい風がひょう、と音をさせて吹き抜けた。 状況が飲み込めない。 と、頭の上から、大げさなため息が降ってきた。
「お前・・・。仮にもホストが、公園のベンチに寝てるんじゃないよ。 ナンバーワンの自覚、持たなきゃだめじゃないか」
「あ・・・あぁ・・」
「酒にでも呑まれたんだろ?ザルにも限界はあるみたいだね」
「・・・?俺・・・何して・・・・、・・・・・!!!!!」
そこでようやく昨日(もしくは数時間前)の記憶が光に戻ってきた。
「涼子!!涼子は!?涼子はどこだ???!!!」
「は?涼子??」
光は慌てて立ち上がった。そしてもう一度辺りを見回す。
「涼子ーーーーっっっ!!」
「・・・って最近お前が熱入れてる女のことか?」
由宇の質問には答えず、光は由宇の横をすり抜け、公園の門に向かって走り出した。
その背中に向かって由宇は叫ぶ。
「光!!・・・図書館はまだ開いてないぞ!!」
その声に光ははたと立ち止まる。 ゆっくりと由宇が歩いて、光に近づいていく。 「今6時。開いてるわけないだろ。・・・何があったか知らないけどさ、 とりあえず落ち着けって」
塗れた葉を踏みしめる音に光は振り返らず、ぼそりと言った。
「帰る」
「そうか」
ゆっくりと二人は公園の門を出た。 |
story by + さし美 |