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幕間

 

 

独りに慣れているせいか

彼女に会えなくても辛くはない。

 

 

 

 

 

 でも喧騒の中に立っていると、名前を呼ばれた様な気がして振り返る。

 

華奢な後ろ姿、

俯き加減に歩いて来るロングコート、

すべてが彼女に見える。

 

 

 

 

 

 それから何度も何度も小さな落胆をする。

 

 

 

 彼女がこの掌に細い指でなぞった文字を、広げた雑誌の中に探す。
 彼女から貰ったお守りを、この掌に握りしめる。

 

 

 何度も何度も...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひとりには慣れていた。彼女に会えなくてもつらくない、かなしくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れた日の午後だった。

 

白い廊下を多くの人が行き交う。

その中を、涼子はゆっくりと歩いていた。

手には小さめの花束をもっていた。

やがて、彼女はある一室の前で歩を止めた。

ほんの一呼吸おいてから、涼子は軽く、目の前の白い扉をたたいてみた。

 

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

聞こえるか、聞こえないかほどの小さな返事のあと、

 

涼子はゆっくりとその扉を開けた。

 

 

 

 

 


story by ☆ + 仁々

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