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輝の証言 |
困りますよぉ。俺にそんなこと訊かれても。 光さんの携帯、通じないんですか?弱ったなぁ。 光さん、昨日お店に来てましたけど…… 事務所のほうに寄って、すぐに帰っちゃったんですよ。
あのね、ここだけの話なんですけど、ボク、聞いちゃったんですよ。 事務所で…すすり泣きが… いや、男の声だったんですけど…光さんか、じゃなきゃオーナーか…。 わかりません。聞き間違いかもしれないし。 ともかく誰にも言わないで下さいね!!
あ、もうお帰りですか?そんなに急がなくても…。 修行中のボ…俺と翼を教育するつもりで、もう一杯飲んでってくださいよぉ。
え?ホントに!? ドンペリ入りまっす!! |
流石はNO.2・・・ story by YUKIO |
翼の証言 |
・・・・・すいません。もうそろそろお店閉めるんですけど。
わっ!とっ、とっ。大丈夫ですか? ああ、こんなとき光さんだったら、軽やかにお見送りできるのに・・・。
そうですよ。もう今週で三週間目。一体どうしたんですかね。あの光さんがですよ。 この店の看板ホストがいないんじゃ、ねぇ。 この店だって、オーナーが光さんのために開店したって程なのに。 いや、ホントかどうかは知りませんけど、皆そう言ってんですよ。
あ、そうそう、光さんのことを心配してだか、ママが女の子を呼びつけてましたよ。 いえいえ、ママの持ってるもう一つの店で働いてる女の子ですよ。 何か頼みごとですかね、ぼそぼそと事務所で話しこんでたみたいですよ。 ああ、ほら階段これで最後ですよ。気を付けて・・・。 またぜひおこしください!光さんのぶんまで俺がしっかりお相手しますから。 ホントに大丈夫ですか? ええ、また今夜。star-voiceで・・・。 |
頑張れ、新人。翼はまだ入店3ヶ月くらいの予定。 story by 仁々 |
光の部屋 |
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カーテンの隙間から射しこむ光に目を覚ました。 ベットサイドのテーブルに手を伸ばし、ぬるい水を口に含む。 ・・・・血の味がする。 カーテンを少し開けると青空が見えた。空ってこんな色して・・・ 急に苦しくなって、すぐにカーテンを閉め、暗闇に身を埋めた。 ・・・俺は一体何をやっているんだ。
俺には居場所があったはずだ。 「star−voice」、そこへ行けば俺はもとの自分に戻れるんだ。 なのに、俺はもう・・・・。
女の扱いも男の扱いも、全て知り尽くしたつもりだった。 甘い言葉を耳元で囁く、瞳を見つめる・・・そんな単純なことでさえ容易く吐息を合わせてくる。 その日その日の快楽を得るのは簡単なことだった。 夜の街でのことは全部夢でしかない。
全部わかっていたんだ。 本当に?
・・・・俺はカラッポな自分に気づかないふりをしていたのかもしれない。
あの日彼女に逢わなければ、こんなに苦しまずにすんだのかもしれない。 青空さえ知らなければ、快楽の闇にいつまでも包まれていられたのに・・・。
・・・彼女に逢いたい。
例えそれが神に背くことだと知っていても。 |
story by 光 |